バイレベル・コーチ
Bilevel Coach
車庫に並ぶGOトランジットのバイレベル・コーチ
基本情報
運用者下記を参照
製造所ホーカー・シドレー・カナダ
バイレベル・コーチ(英語: Bilevel Coach)は、アメリカ合衆国やカナダ各地の通勤鉄道に導入されている2階建て客車。1977年から営業運転を開始し、2022年現在はアルストムによって展開が行われている[1][5][6]。 カナダ・オンタリオ州トロントの公共交通事業者であるGOトランジットは、1967年5月23日からGOトレイン(Go Train)のブランド名で通勤列車の運行を開始したが、1970年代以降乗客増加による列車の混雑が大きな課題となっていた。従来使用されていた1階建ての車両ではラッシュ時の乗客を捌ききれない状況であったが、増結のためにはプラットホームの拡張を行わなければならず、長期の工事期間が必要となった。そのため、GOトランジットはプラットホームの長さを変える事なく大量の乗客を輸送できる2階建て車両を導入する事を決定した[7][1][8][9][10]。 当初はアメリカ合衆国やカナダ各地の通勤列車に導入されていた2階建て客車であるギャラリーカーの導入が検討されたが、扉が中央に1箇所しかなく乗降に時間がかかる事、座席配置が窮屈である事などが課題として挙げられた。そこで、カナダの車両メーカーであったホーカー・シドレー・カナダ
歴史
バイレベル・コーチはサンダーベイの工場で生産が行われたが、1980年代にホーカー・シドレー・カナダはUTDC(英語版)およびSNC-ラバリン(英語版)に買収され[注釈 1]、2002年以降はボンバルディア・トランスポーテーション、更に2021年にはアルストムの工場となり、2020年現在は同社によって展開が行われている[13][11][5][6]。 車端部分が1階建て構造(中2階)となっている2階建て車両で、乗降扉は低床構造となっている1階部分に2箇所設置されている。八角形の側面を持つ車体はアルミニウム製で、台枠は鋼製となっている。初期の車両は製造の際にリベットが用いられたが、ボンバルディアの移行後は車体製造は全溶接式に変更されている。定員数は導入された事業者によって異なるが、従来の1階建て車両の1.5 - 1.7倍以上の収容力を持ち、最初の導入先となったGOトランジットで運用される10両編成の客車列車は着席定員だけでも1,400人以上の乗客の輸送を可能としている。これにより、運用コストも1階建て車両使用時に比べ15 - 30%削減される。車内電源は連結された機関車から供給される集中電源方式を採用している[7][13][1][5][10]。 通常の客車に加え、1983年からは2階部分に運転台を備えた制御車の生産も開始され、プッシュプル運転が可能となっている。
概要