この項目では、オオヤマネコの種類について説明しています。その他の用法については「ボブキャット (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ボブキャット
ボブキャット
保全状況評価
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]
分類
ボブキャット(英語: bobcat)は、ネコ科オオヤマネコ属に属する中型獣である。
体長65–105cm、尾長11–13cm、体重6–15kg。アメリカを含むカナダ南部からメキシコ北東部にかけての森林・草原・半砂漠地帯に生息し、12種類の亜種が確認されている。個体数は72万5000頭ほど。体色は砂漠では黄色っぽく、森林では暗い色をしているなど、生息する地域によって異なる。
グレーから茶色の毛色と髭、黒い飾り毛の付いた耳を持ち、中型のオオヤマネコのような外観を持つ。同じ地域に生息するカナダオオヤマネコよりは小さいが、大型のイエネコの二倍くらいの大きさである。特有の黒い線が前足にあり、名前の由来となる先端が黒い短い尾を持つ。
夜行性で、主にウサギやジリスなどの小型草食獣や鳥類を捕食するが、基本的には虫でも小さいネズミ科の動物やシカも何でも捕食する。捕食の対象は生息地域や季節によって変化する。他のネコ科の動物と同様、縄張りがあり単独で行動するが、場所によっては人間の生活する場所が縄張りと重複していることもある。縄張りは猫同様、爪の痕や尿・便によるマーキングで行う。ネコ科の動物としては比較的長距離走に耐える。木登りもうまい。発情期は冬の終わりから春にかけてで、妊娠期間は50日前後。1度の出産で1 - 4子を産む。
ボブキャットは人間により、娯楽と毛皮の目的でハンティングされているが、頭数は減っていない。ボブキャットはアメリカインディアンの神話やヨーロッパからの開拓者の民話にも登場する。 これまでにオオヤマネコを4種にしてオオヤマネコとしての分類にするか、ネコ属の一種として扱うか、オオヤマネコ属かネコ属に分類するかで議論が分かれている[2][3]。今日ではオオヤマネコ属としての分類が認知されており、現代の分類ではボブキャットはオオヤマネコ属に掲載されている。 ジョンソン(とその他)によるとオオヤマネコはピューマ、ヒョウ、イエネコの分岐群に含まれ、およそ750万年前まで遡り、オオヤマネコとして分岐したのはおよそ324万年前とされている[4]。 ボブキャットはユーラシア大陸に生息するオオヤマネコから進化したものと考えられている。ユーラシア大陸からの祖先種の侵入は少なくとも二度生じている。一度目の侵入は更新世の時代、遅くとも260万年前までにベーリング海峡からアメリカに到達し、アメリカ南部にまで生息域を広げたが、その後氷河の発達により北部の生息域は失われた[3]。この集団が現在のようなボブキャットに進化したのは2万年前頃と@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}言われている[誰によって?]。二度目の侵入ではアジアから北部へ移住したもので、それが今日のカナダオオヤマネコとなった[2]。ボブキャットとカナダオオヤマネコの交雑は複数回発生したと考えられる[5]。 現在、13種類のボブキャットの亜種が認知されている。しかし亜種の区分けについてはボブキャットの地域的な縄張り区域がはっきりしていないことや亜種同士の違いが非常に小さいことから疑問視されている[6]。
分類
亜種
L. rufus rufus : アメリカ中西部から東部
L. rufus gigas : ニューヨーク州北部からノヴァスコシア、ニューブルンズウィック
L. rufus floridanus : アメリカ南東部、内陸からミシシッピ盆地
L. rufus superiorensis : ミシガン州、ウィスコンシン州、オンタリオ州南部、殆どのミネソタ州を含む五大湖西部
L. rufus baileyi : アメリカ南西部とメキシコ北西部
L. rufus californicus : カリフォルニア州のシエラ・ネヴァダ西部
L. rufus mohavensis : カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠
L. rufus escuinipae : メキシコ中部、北部の一部からソノラ州南部への西海岸
L. rufus fasciatus : オレゴン州、カスケード山脈西のワシントン州、カリフォルニア北西部とブリティッシュコロンビア州南西
L. rufus oaxacensis : オアハカ州(メキシコ)
L. rufus pallescens : アメリカ北部、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州とサスカチュワン州
L. rufus peninsularis : バハ・カリフォルニア
L. rufus texensis : ルイジアナ州西部、テキサス州、オクラホマ州中南部と以南、タマウリパス州、ヌエボ・レオン州、コアウイラ州[7][8]
身体的特徴水を見つけたボブキャット.
ボブキャットは他のオオヤマネコと似た姿をしているが、平均すると4種の中では一番小さい。毛色は区々だが一般的には褐色からグレーがかった茶色で黒い線が身体と前足と尾についている。この毛の柄がカモフラージュになる。耳は先が黒く尖っていて短く黒い飾り毛が付いており、口の周り、顎、腹部の毛は通常オフホワイトである。南西部の砂漠に住むボブキャットは毛色が一番薄く、北側の森林部に生息するものが一番色が濃い。子供のときから多く毛が生えており、斑点の柄も付いている[9]。メラニン色素の多い黒いボブキャットはフロリダ州で捕獲されたが、これも黒くても斑点の柄が付いていた[10]。