ボイス・オブ・アメリカ
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Voice of America
略称VoA
設立1942年2月1日 (82年前) (1942-02-01)
種類国際放送
本部ウィルバー・J・コーエン連邦ビル(英語版)(ワシントンD.C.
所在地.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

アメリカ合衆国

理事長ジョン・チャップマン(代行、2023年10月着任)[1]
ウェブサイト ⇒voanews.com
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カリフォルニア州デラノにある中継所(2007年10月閉鎖)ワシントンD.C.にある本部

ボイス・オブ・アメリカ(英語: Voice of America, 略称:VOA)は、アメリカ合衆国政府が運営する国営放送。40を超える言語でニュースを提供している。VOA は国営放送として米国放送理事会(USAGM)を通じて連邦資金が提供されている[2]

日本語での呼称は「アメリカの声」である。本項では、原則として VOA (「ボイス・オブ・アメリカ」) という呼称を用いる。
歴史
初期(1942年 - 1947年)

1941年6月13日、フランクリン・ルーズベルト大統領は情報戦に対応するため戦争情報局 (OWI) を設立。ヨーロッパ及び西アフリカ占領した当時のドイツ日本軍南太平洋を占領した当時の日本に向けニュースを発信するため、7月14日に海外情報局 (FIS) を設立した。

1942年2月24日に放送を開始。送信機CBS及びNBCによって使用された短波送信機からVOAラジオを送信した。このラジオ局は1947年2月17日に当時のソビエト連邦(現:ロシア)へラジオ放送の送信を始めた。対ソ放送を組織した人物の中には、後にCCFの事務局長をつとめ、1950年代の日本における反共文化工作に影響を与えたニコラス・ナボコフがいた。
冷戦時代(1948年 - 1992年)

冷戦の間、VOAは対外宣伝のための機関である合衆国情報庁(U.S. Information Agency[3])の下で運営された。1980年代に、VOAはテレビジョンサービス、同じくキューバ、ラジオ・マルティ (Radio Marti) 及びテレビ・マルティ (TV Marti) へ特別な地域プログラムも加わった。通常の放送局に加え、艦上に送信機を搭載して地中海に派遣し、東側陣営向けの放送を行った実績もある。

VOA憲章は1960年に起草され、1976年7月12日にジェラルド・フォード大統領によって調印された (公法94-350)。VOA憲章は三つの指針からなる[4]。VOA憲章

安定して信頼できうる典拠の確かな情報源として、VOAは、正確で客観的かつ包括的なニュースを提供する

特定の米社会を代弁するのではなく、VOAは、米国を代表してバランスよく包括的にアメリカの重要な思想や制度を伝える

米国の政策を正確に効率的に伝え、アメリカの政策に対して責任ある議論や意見も提供する

情報通信技術の時代(1992年 - 現在)

1999年に再編により合衆国情報庁が廃止され、合衆国政府(国務省)の直轄による運営となった。また2000年よりインターネット上で英語放送を開始した。

2004年2月14日、アル・フーラの放送を開始。アルジャジーラに対抗した衛星放送(「フッラ」は「自由なるもの」の意)であった。ただし、アラブ諸国の民衆からは全く支持されず、失敗に終わっている。

7月6日、4年間報道局長を務めたアンドレ・デネスネラ局長の更迭を含む機構改革が発表され、多くの VOA局員が報道の自由と独立性が脅かされていることに対し議会に嘆願書を提出した[5][6]

2014年7月1日午前9時(JST)をもって、極東アジア向けの英語放送は廃止された。

2022年12月1日、 アフガニスタンのタリバン暫定政権が、同放送局の放送の受信を一部州で禁止した[7]
トランプ政権とVOA

2020年4月10日、半年後の大統領選挙を控え、メディアとの対立を鮮明に打ち出すトランプ政権は、VOAは国民の税金で「アメリカの敵国」のプロパガンダを報じているとする異例の声明をホワイトハウスのニューズレターとして発信した[8][9]。その根拠の一つはVOAが新型コロナウイルスに関連する中国の武漢封鎖政策を成功モデルと呼び、ロックダウン解除の祝賀式典の花火の動画を流したというものであり[10]、声明の前日には、副首席補佐官ダン・スカヴィーノが同様の内容を「恥を知れ」という言葉と共にツイートしていた[11]。VOA局長アマンダ・ベネットは、これに対し「ホワイトハウスの主張は全く根拠ないもの」であり、VOAは「中国による偽情報を徹底取材し、英語と中国語で放送している。VOAは政府管理のメディアではなく独立したメディアだ」との声明をだした[12]。ナショナル・プレスクラブやジャーナリズム・インスティテュートもVOAに同調し、NPCジャーナリズム研究所のアンジェラ・キーン会長は、「大統領およびホワイトハウス当局者によるVOAへの攻撃は、VOAの使命を損なうだけでなく、公的資金による報道機関を政治的干渉から守るファイアウォールを突き崩すものである」と批判し[13]、多くのメディアもこの告発を「報道の自由の危機」なるものとして報道した[14][15]

しかし、トランプ政権はこれを足掛かりとして、VOAやラジオ・フリー・アジア (RFA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ (RFE) などの外国向け放送を統括する米国放送理事会 (USAGM) の最高経営責任者として、ドキュメンタリー制作者でオルタナ右翼のスティーブン・バノンとも親密なマイケル・パックを就任させた[16]。この人事案はトランプが2018年から構想していたものだが、パックの資金流用問題などで実現していなかったものである。パック就任で、VOAのアマンダ・ベネット局長とサンディ・スガワラ副局長が辞任し、またパックはUSAGM系メディアの局長らとUSAGMの監査委員会を解散させた[17][18]。またラジオ・フリー・アジアの編集長などが次々と解雇され[19]、また事実に基づかない陰謀論や誹謗中傷で物議を醸していたショック・ジョックとよばれる挑発的なラジオディスクジョッキーのフランク・ウーコなどを雇い入れた[20]

8月31日、VOAの記者グループは「トランプが指名した役員によって国内外のVOAのジャーナリストが危機的な状態に陥っている」との抗議文を発表した[21]。ナショナルプレスクラブとジャーナリズムインスティテュートによれば,「新CEOのパックがVOAのジャーナリストのビザ更新の許可を出さず、世界中にいる数十人の記者の任務だけではなく、生命の安全すらも脅かして」いるとして、VOA記者たちの期限切れビザを更新するよう要請している[22]

2021年1月14日、ジョー・バイデン大統領の就任6日前、VOAのジャーナリストグループがパックらの辞任を要求する書簡を提出。パックは新大統領就任の2時間後、バイデン大統領の要請によって辞任した[23][24]。また、パック就任の足掛かりとなった2020年の「VOAは外国のプロパガンダ」声明は、ただちにホワイトハウス公式ホームページから削除された[8]
VOAのプログラム
IBB放送活動、VOA以外

VOAは専門的な聴取者に向けた幾つかのプログラムを放送している:

en:Radio y Television Marti
はキューバ向けである。

en:Radio Sawa はアラブ世界の若い視聴者向けである。

en:Radio Farda はイラン向けのペルシア語の若い視聴者向けである。

ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)及びラジオ・フリー・アジア(RFA)はVOAではないが、USIA傘下にあり、特にヨーロッパ及びアジア、元共産主義及び圧制的な国へ向けた姉妹サービスである。

各言語版及びプログラム

ボイス・オブ・アメリカは、英語母語としない人々に向け、平易な語彙と文法を用いた上で、通常の3分の2の速さでアナウンサーが語るスペシャル・イングリッシュという英語放送がある。これを含め、現在50前後の言語で放送されている。短波放送で受信可能であり、インターネットでは、ボイス・オブ・アメリカの公式サイトでのインターネットラジオをはじめ、ポッドキャストYouTubeなどでビデオ放送などがいずれも無料でダウンロードすることができる。また、日本では有線放送でも放送されている。

ボイス・オブ・アメリカは、かつては戦時情報局アメリカ合衆国広報文化交流局(USIA)の元で運営された。USIAのテレビ部門が後にBroadcasting Board of Governors(BBG)に受け継がれ、現在のボイス・オブ・アメリカはBBGの管理下に置かれ、放送内容もBBGの監修を受けている。なお、BBGは、「海外の聴取者に正確・客観・公正的な、アメリカと世界のニュース及びにその関連情報を放送し、以て放送地域の民主化を促進・強化させる」ことを職責としている[25]

番組内容は米国の国益に基づいて決定され、広告収入を財源とする民間放送局と違って、制作資金もアメリカ合衆国議会から出資されるので、米国の外交政策上の優先順位の変化によって、特定地域に関する番組の制作資金が減らされたり増やされたりする。制作資金は、視聴者が自由で公正なニュースにアクセス出来るかどうか、現状の番組にどれだけ有効性があるか、米国の戦略的利益になるか、といった観点から決定される[26]

2010年1月現在、放送されている主な言語は以下の通り。共通しているのは“民主化を要する”国・地域向けが多いこと。

オロモ語

アルバニア語

アムハラ語

アルメニア語

アゼルバイジャン語

ベンガル語

ボスニア語

ビルマ語

広東語

標準中国語

クレオール言語

クロアチア語

ダリー語

英語(世界向け、スペシャル・イングリッシュジンバブエ向け、カンボジア向けの4種)

フランス語

グルジア語

ギリシア語

ハウサ語

ヒンディー語

インドネシア語

クメール語

ルワンダ語

ルンディ語

韓国語

クルド語

ラオス語

マケドニア語

ンデベレ語

パシュトー語

ペルシア語

ポルトガル語

ロシア語

セルビア語

ショナ語

ソマリ語

スペイン語

スワヒリ語

タイ語


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