ホームスクーリング
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「ホームスクール」はこの項目へ転送されています。タイのテレビドラマについては「ホームスクール (タイのテレビドラマ)」をご覧ください。
キッチンで日用化学製品の勉強をするホームスクーリングの子供と母親ホームスクーリングで、料理の本を用いつつ、実際に料理することで、料理法(調理法)を学ぶ子供たちホームスクーリングでタワー(の模型)を作るプロジェクトを行っている少年。ここでは、模型の材料として家庭にあるパスタマシュマロを用いている。構造物の構成法や構造力学の初歩を理解してゆく。Spokes America Homeschool Networkによって、機械工学に関するブレインストーミングを行う子供たち。

ホームスクーリング(英語: homeschooling)は、学校に通学せず、家庭に拠点を置いて学習を行うことをいう。オルタナティブ教育の形式のひとつであり、ホームスクール(英語: homeschool)、ホームエデュケーション(英語: home education)などともいう。ホームスクーリングが盛んな米国などでは、家庭を拠点としながら大部分の時間を戸外の教育機関で過ごすケースがあるため、在宅教育(ホームスクーリング)とともに、自宅ベース教育(home-based education ホーム・ベイスド・エデュケーション)という表現も使われる。

ホームスクーリングを教育形態で分類すると、教科書などを使い保護者等が教師役をつとめる、あるいは保護者監督のもとインターネットで在宅講座を受けるラーニング・アット・ホーム、他のホームスクール生徒とともに講義を受けるアンブレラ・スクール、子供の自主性に任せて本人の学習する意欲・興味に従って教育を進めるアンスクーリング(ナチュラル・ラーニング)等がある。
近代以前の状況

近代以前は、王族や貴族や裕福層など、特に一流の人々は、子供を学校に通わせずに、家庭教師などを付けるなどして自宅で教育することが多かった。自力で優秀な教師を選びに選んでから雇ったほうが、最高の教育を子供に与えることができたからである。家庭教師は引退した教授やポストが無い在野の科学者など、大学などに所属していない学者が雇用された。またマナーや教養なども含めた初等教育全般を引き受けるガヴァネスも存在した。

アレクサンドロス大王は、少年時代、家庭教師としてアリストテレスをつけてもらうことができ、世界最高の教育を受けることができた。17世紀フランスのブレーズ・パスカルも、教育熱心な父親のおかげで、家庭で最高の教育を受けることができ、父親自身が教師になって高度な教育を行ってくれたり、また、パスカル家にやってくる当時の超一流の学者たちから直接的に最高の学問を教えてもらうことができた。アルフレッド・ノーベルの父親は事業で成功し裕福だったことから、息子のために化学者のニコライ・ジーニン(英語版)をはじめとした学者を家庭教師として複数つけることができた。

その他、学校生活に適合できずに家庭で勉強を続け、その才能を開花させた例としては、発明王として知られるトーマス・エジソンが有名である。
各国・社会における状況ホームスクールの合法性.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  合法  ほぼ全域で合法、あるいは実践されているが論争中  非合法
世界的な状況

2000年代に入ると、eラーニングに多くの変革が起こった[1]。著名な大学は、その優位性を主張するように競う様な形で、多くの授業を無料で公開宣伝を行っている。この教育コンテンツは、Massive open online course(大規模公開オンライン講座)と呼ばれており、ネットの環境を持っていれば世界中で有名大学の授業を無料で受講でき、課題に合格すれば修了証が発行される。2014年には、ホームスクーリングをしていた(自己紹介では全てMOOCで学習していた)15歳の少年が、マサチューセッツ工科大学に合格している[2]
米国

米国では、1993年までに全ての州でホームスクーリングは合法とされている[3]。ホームスクーリングを実施する理由としては、1990年代後半には進化論の拒絶などの宗教的な理由が多かったが、2011年の調査では多発する銃乱射事件など学校環境の不安や、家庭での道徳教育、学校の指導への不満が多くなっている[3]。2011年時点で150万から200万人がホームスクーリングを実施している[3]

ホームスクーリングは親が子を学習放棄したり無視したり放任するのを防ぐため、定期的な標準学力テストの受験・親による指導・英語による指導・必修科目の指定・出席記録の教育局へ提出などを州政府がホームスクール法として法的・制度的に定めており、守って実施する必要がある[3]

ホームスクーリングをおこなう家庭を法的に支援するための民間団体として設立されたホームスクール法律擁護協会(en:Home School Legal Defense Association, HSLDA)の働きがみられる他、各地の草の根ネットワーク活動が活発である。ホームスクーリング関連のウェブサイト、ホームスクーラー向けの参考書や教科書、またそれを専門に販売する業者や店舗、インターネットスクールも多数存在する。また、主な大学のほとんどが、ホームスクーリング出身者の入学を受け入れている。ホームスクーリングで教育を受けたのちGEDを取得し大学に入学する学生がいる他、コミュニティ・カレッジではGED対策のためのクラスを設けている所も多い。

勝手に自宅で学習させることとは区別されており、「ホームスクールをする」と主張し通学しなかった高校生が警察によって学校に連れて行かれる例もある[4]
カナダ

カナダも全州において合法である。全国的なホームスクーリングのイベントとしては、The Canadian Online Homeschool Conferenceと National Home Education Conferenceの2つが知られている。北部の3つの準州とプリンスエドワード島州を除く全ての州にもローカルなネットワークが広がっており、活発な交流イベントを実施している。
イギリス

イギリスでは、学校に赴くことではなく、フルタイムで教育を受けさせることが義務とされている[3]。そのため、ホームスクーリングは「ホームエデュケーション」の名称で法的にも義務教育として認められており、2010年現在で60000人が行っていると推定されている[3]。学校が国の基準を守った教育をしているかを調査する教育水準局の担当者は、ホームスクーリングを実施している家庭を訪問して教育内容が適切であるかを確認することもある[3]
ドイツ

ドイツでは、ドイツ基本法には就学義務を定めた規定は存在しないものの、全ての州で就学義務が定められている[5]。ホームスクーリングの権利がドイツ基本法上認められるとの主張を元に訴訟も行われたが、通説・判例はホームスクーリングは禁止されているとしている[5]。長期の病気などの場合を除いて、ホームスクーリングは就学義務違反と判断される[5]。思想・良心的理由があってもホームスクーリングが就学義務を免除する理由にはならず、ドイツ国内の生徒にとっては通信制の学校も選択肢に入らない[5]。ホームスクーリング実施者は、数百人程度と推測されている[3]。ホームスクーリングを実施すると、多くの州で欠席した子供を所轄官庁や警察が強制的に学校に連行することができ、これに反する場合は科料の対象となる[5]。親についても数千ユーロ以下の科料の他、州によっては犯罪とされて6ヶ月以下の自由刑罰金の支払いを命じられる可能性もある[5]。就学を繰り返し拒否する親については、家庭裁判所の判断で、親権の停止または剥奪がされる場合もある[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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