ホンダ・N-BOX
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N-BOX(エヌ ボックス)は、本田技研工業が生産・販売しているトールワゴン型の軽自動車である。

本稿では便宜上、派生車種のN-BOX +(エヌ ボックス プラス)、N-BOX SLASH(エヌ ボックス スラッシュ)も併せて記述する。
初代 JF1/2型(2011年 - 2017年)

ホンダ・N-BOX(初代)
ホンダ・N-BOX +
JF1/2型
N-BOX(前期型)
N-BOX+ カスタム(2012年7月初期型)
G・ターボパッケージ
N-BOX+ 2トーンカラースタイル(2012年7月初期型) 室内
ブルー&ホワイト
概要
販売期間N-BOX : 2011年12月 - 2017年8月
N-BOX+ : 2012年7月 - 2017年8月
ボディ
乗車定員4人
ボディタイプ5ドア 軽トールワゴン
駆動方式前輪駆動/四輪駆動
パワートレイン
エンジンS07A型:
658cc 直3DOHC
S07A型:
658cc 直3DOHCターボ
最高出力43kW (58PS)/7,300rpm
(NA車)
47kW (64PS)/6,000rpm
(ターボ車)
最大トルク65N・m (6.6kgf・m)/
4,700rpm(自然吸気車)
104N・m (10.6kgf・m)/
2,600rpm(ターボ車)
変速機CVT
サスペンション
マクファーソン式
後前輪駆動:車軸式
四輪駆動:ド・ディオン式
車両寸法
ホイールベース2,520mm
全長3,395mm
全幅1,475mm
全高N-BOX・N-BOX+:1,780-1,800mm
車両重量930-1,060kg
(N-BOX +含む)
その他
2015年6月までの累計販売台数73万5,942台[1]
系譜
先代+車いす仕様車:ホンダ・ゼスト
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軽自動車事業の刷新に先駆けて行われたマーケティング調査で「軽ラインアップがライバルに比べ手薄であること」が指摘された。そこで、軽自動車市場の約3割を占める人気カテゴリーでありながら、既存のホンダ軽自動車のラインアップにはない軽自動車規格のミニバンともいえる「軽スーパーハイトワゴン[注 1]」を開発することとなり、当時大人気だったダイハツ・タントに対抗させた。[2]

初代は開発に際し、シャシーとエンジンをセットで考えるという観点から、LPL(ラージプロジェクトリーダー、開発責任者)の浅木泰昭を含め、第2期ホンダF1に携わったメンバーが開発スタッフとして参画している[2][3]。浅木は後に開発の背景として、当時「超円高で輸出ができず、国内で生産できるクルマを何か造り出さないと、工場をリストラしなければならない」状況だったことを挙げ、輸出を考えない国内専売車種として新しい車を作ることが求められていたことを語っている[4]

市販とは直接関係ないものの、デザイン要素の多くは2006年ロサンゼルスオートショーにて公開されたステップバスコンセプトから取り入れられており、実質N-BOXの原型と言える。

市販モデルは、2011年平成23年)に開催された第42回東京モーターショーに出展され、『N CONCEPT 1』は『N BOX(標準形)』、『N CONCEPT 2』は『N BOX Custom』(エヌ ボックス カスタム)、『N CONCEPT 3』は『N BOX +』として市販された[5]

2012年(平成24年)7月には、「新しい可能性をプラスする」をコンセプトに、N BOX +を発表(詳細は後述)、2014年(平成26年)12月には、ロールーフ(チョップドルーフ)モデルであるN-BOX SLASHを発表・発売した。

製造は従来よりホンダの軽自動車を手掛けている八千代工業(現・ホンダオートボディー)ではなく、鈴鹿製作所で行われる[6]。開発過程では、通常本田技術研究所(栃木研究所・四輪R&Dセンター)において行われる開発作業の一部を、「東日本大震災の影響で栃木研究所の建物がダメージを受けコンピュータが使えなくなった」という事情から生産ラインである鈴鹿製作所において行ったが、開発部門と製造部門のすり合わせ作業がスピードアップし、効率よく作業が進むという「怪我の功名」もあった[7]

発売直後から数多くの賞を受賞し、軽4輪車部門の新車販売台数では2014年(平成26年)を除いて首位を獲得。更にホンダ4輪車史上最速となる累計販売台数100万台を達成するという大ヒットを記録、ホンダの看板車種にまで一気に登り詰めた。
メカニズム

空間効率を最大限にするため、新設計の「Nシリーズ共通プラットフォーム」に加え、フィットに用いられたセンタータンクレイアウトをホンダの軽自動車で初めて採用した結果、クラスでもっとも低いフロアを実現した。同時に「ミニマムエンジンルーム」の思想を採り入れたことによって従来比で70 mm前方に圧縮し、その分を室内長として活用している[2]

搭載されるエンジンは、それまでライフゼストなどに搭載されていたP07A型エンジンから、新開発され構造を刷新したS07A型エンジンを設定した。吸気側の連続可変バルブタイミング・コントロール機構(VTC)やロングインテークマニホールドハイドロリックラッシュアジャスター、低張力ピストンリングおよびピストンパターンコーティング、スイングアーム式ロッカーアームなどの採用によって、軽量およびコンパクトでありながら扱いやすく高出力な特性を獲得している[2]。なお、ホンダが生産する軽自動車へDOHCエンジンが搭載されたのは、1963年昭和38年)登場のT360以来48年ぶりで、4バルブ方式のDOHCエンジンは初採用となった[8]

変速機も、ホンダの軽自動車として初めてかつ専用に新開発された無段変速機(CVT)を採用した。また、ホンダの4WD車でCVTが採用されるのは2010年(平成22年)に販売終了となったエアウェイブ以来である。加えて、NAエンジン全車にアイドリングストップ機構を採用することなどにより、JC08モード燃費でNA・FF車で22.2 km/L(N-BOX +は21.2 km/L)、ターボ・FF車で18.8 km/L(N-BOX +は19.4 km/L)の低燃費を実現しており、N-BOX・N-BOX +共にNA車は駆動方式を問わず平成27年度燃費基準を達成している[2]。また、軽自動車としては初めてVSAヒルスタートアシストシステムを全車に標準装備した[2]

ボディー鋼板には、新日本製鐵(現・日本製鉄)製の高張力鋼板(ハイテン)が採用され[9]、車体軽量化に寄与している。

サイドパネル・590 MPa級ハイテン(冷延鋼板)

サスペンションアーム・780 MPa級ハイテン(熱延鋼板)

センターピラーには国内ホンダ車初めて1,500 MPa級ホットスタンプ(熱間プレス成形)材[10]が採用された。

コスト削減のため、積極的に海外製の部品を採用しており、例えばフロントウインドシールドガラスは中国の「フーヤオ」製である[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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