ホルスコリン
IUPAC名
(3R,4aR,5S,6S,6aS,10S,10aR,10bS)-6,10,10b-trihydroxy-3,4a,7,7,10a-pentamethyl-1-oxo-3-vinyldodecahydro-1H-benzo[f]chromen-5-yl acetate
識別情報
CAS登録番号66428-89-5
フォルスコリン(英: Forskolin)は、インド原産の植物であるコレウス・フォルスコリにより産生されるラブダンジテルペンである。ホルスコリンあるいはコレオノール(Coleonol)とも呼ばれる[2]。ホルスコリンは、一般に細胞生理学の研究や実験でサイクリックAMP(cAMP)の濃度を上げるためによく利用されている。ホルスコリンは、アデニリルシクラーゼの酵素活性化とcAMPの細胞内濃度を高めることによって細胞受容体を再活性化する。cAMPは、ホルモンおよびその他の細胞外シグナルに対して細胞が適切な生物学的応答に必要な重要な信号伝達を行う。これは、視床下部又は下垂体軸における細胞の情報伝達のために必要とされ、さらにホルモンのフィードバック制御に必要とされる。サイクリックAMPは、プロテインキナーゼAとEpacのようなcAMPに反応する経路を活性化する役割をする。 天然の大型のジテルペン類の他の類似体と同様に、ホルスコリンはゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)から生成される。ホルスコリンは、複素環を形成するテトラヒドロピランの存在を主要な要素として、いくつかの特徴のある機能的な要素が含まれている。カルボカチオンを媒介した環化によって形成されるトランス縮合炭素環が形成された後にこの環状化合物が生成される。残りの3級カルボカチオンは、水の分子によって消滅される。脱プロトン化の後で、残りのヒドロキシル基は複素環を自然に形成する。この環は、二リン酸が失われることによって形成されるアリル[要曖昧さ回避]カルボカチオン上にアルコールの酸素の攻撃によって、または二リン酸の置換のようにSN2類により形成される[3]。これがホルスコリンの主要環Aを形成する。主要環Aの残りの形成は、更なる酸化とホルスコリンに見られるようにケトンと酢酸エステル部分をエステル化するポリオールBを形成する一連の酸化反応として理解され得る。生合成遺伝子群が解明されていないので、この推定された合成経路は、ほぼ任意の順序で発生しうる酸化とエステル化の反応の流れのうえで不正確かもしれない。 ロリプラムに加えてホルスコリンは、大腸癌細胞の増殖および生存を阻害する可能性がある[4]。また、これら2つの薬剤は、共同して神経組織の長期増強をもたらす[5]。ホルスコリンは血管拡張作用がある。現在までに、ホルスコリンの減量の補助剤としての効果を調べる2以上の臨床試験が行われた。
生合成
医療面での利用の可能性