ホプキンス・レヴィツキの定理
[Wikipedia|▼Menu]

この記事には参考文献外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注による参照が不十分であるため、情報源が依然不明確です。適切な位置に脚注を追加して、記事の信頼性向上にご協力ください。(2016年9月)

抽象代数学の一分野である環論において、秋月・ホプキンス・レヴィツキの定理 (Akizuki?Hopkins?Levitzki theorem) は半準素環上の加群において降鎖条件昇鎖条件を結び付ける。(単位元を持つ)環 R は、R/J(R) が半単純でありかつ J(R) が冪零イデアルであるときに、半準素環 (semiprimary ring) と呼ばれる。ここで J(R) はジャコブソン根基である。定理の主張は、R が半準素環で M が右 R-加群ならば、3つの条件

M はネーター的

M はアルティン的

M は組成列を持つ

が同値であるというものである。半準素という条件がなければ、M が組成列を持てば M はネーターかつアルティンであるということしか言えない。

Charles Hopkins の論文 (Hopkins 1939) と Jacob Levitzki(英語版) の論文 (Levitzki 1939) から定理は現在の形となった。そのためしばしばホプキンス・レヴィツキの定理 (Hopkins?Levitzki theorem) と呼ばれる。しかしながら、秋月康夫を含めることがある。数年早く可換環に対して結果を証明したからだ[1](Lam 2001, p. 55)。

右アルティン環は半準素であることが知られているから、定理の直接の系として、右アルティン環は右ネーター環でもある。同様の主張は左アルティン環に対しても成り立つ。これはアルティン加群に対しては一般には正しくない。ネーター的でないアルティン加群の例が存在するからである。

別の直接の系として、R が右アルティン環であるとき、R が左アルティン環であることと左ネーター環であることは同値である。
目次

1 証明の概略

2 グロタンディーク圏において

3 関連項目

4 脚注

5 参考文献

証明の概略

以下の主張の証明を書く:R を半準素環で M を左 R-加群とする。M がアルティン的あるいはネーター的であれば、M は組成列を持つ[2]。(この逆は任意の環上正しい。)

J を R のジャコブソン根基とする。Fi = Ji ? 1M/JiM とおく。すると R-加群 Fi を R/J-加群と見ることができる。J は Fi の零化イデアルに含まれているからである。各 Fi は半単純 R/J-加群である、なぜならば R/J が半単純環だからである。さらに、J は冪零イデアルであるから、Fi のうち 0 でないのは有限個しかない。M がアルティン的(あるいはネーター的)であれば、Fi は有限の組成列を持つ。Fi の組成列をつないでいって、M の組成列を得る。
グロタンディーク圏において

定理の一般化や拡張がいくつか存在する。1つはグロタンディーク圏(英語版)と関係するものである。G がアルティン的生成子を持つグロタンディーク圏であれば、G のすべてのアルティン的対象はネーター的である[3]
関連項目

アルティン加群

ネーター加群

組成列

脚注^ Akizuki, Yasuo (1935年). “Teilerkettensatz und Vielfachensatz”. Proc. Phys.-Math. Soc. Japan 17: 337?345. doi:10.11429/ppmsj1919.17.0_337. 
^ Cohn 2003, Theorem 5.3.9.
^ Toma Albu (2010). ⇒“A Seventy Years Jubilee: The Hopkins-Levitzki Theorem”. In Toma Albu. Ring and Module Theory. Springer. ⇒http://books.google.com/books?id=pwBF-FCLJ80C&lpg=PA7&dq=hopkins%20theorem%20grothendieck%20categories&pg=PA7#v=onepage&q=nastasescu&f=false

参考文献

Cohn, P.M. (2003), Basic Algebra: Groups, Rings and Fields, ISBN 978-1-4471-1060-6 

Hopkins, C. (1939), “Rings with minimal condition for left ideals”, Ann. of Math. 40 (2): 712?730, doi:10.2307/1968951 


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:9 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef