ホット・ジュピター[1] (英語: Hot Jupiter) は、木星ほどの質量を持つガス惑星でありながら、主星の恒星からわずか 0.015 au (224万 km) から 0.5 au (7480万 km) しか離れておらず、表面温度が非常に高温になっている太陽系外惑星の分類の一つである[2]。roaster planets[3]、epistellar jovians[4]、pegasids[5][6]とも呼ばれる。恒星に極めて近く、強烈な恒星光を浴びるため表面温度は高温になっていると予想されている。「ホット・ジュピター」は直訳すれば「熱い木星」となるが、このような特徴に由来した命名である。日本語では 灼熱巨大惑星 と表記される場合もある[7]。この種の系外惑星は1995年頃から続々と発見されつつある。
主星の近くを高速で公転しているため、質量が大きい惑星の重力によって生じる主星のわずかな揺れを検出するドップラー分光法での発見が最も簡単なタイプである。最もよく知られているホット・ジュピターは1995年に発見されたペガスス座51番星bであり、太陽に似た恒星をわずか4日間で公転している。
ホット・ジュピターは比較的発見が容易であることから、系外惑星の探査の初期から多数が発見された。その他には軌道離心率の大きい彗星のような楕円軌道を描き、灼熱期と極寒期をめまぐるしく繰り返す巨大惑星エキセントリック・プラネットも発見されたが、いずれも太陽系には存在しない種類の惑星であり、これらの系外惑星の発見は既存の惑星形成理論に大きな転換をもたらした[8][9]。 ホット・ジュピターの中には様々なものがあるが、いくつかの共通した性質を持っている。
特徴2014年1月2日時点で、トランジット法で発見されたホット・ジュピター(黒丸)ホット・ジュピターの隠された水[10]
一般的な特徴
定義ともいえる特徴は、質量が大きく、短周期で公転している事である。質量は0.36-11.8MJで、公転周期は 1.3-111 日にわたる[11]。質量が13.6木星質量を超えると重水素の核融合反応が始まって褐色矮星となってしまうため、ホット・ジュピターに分類される天体の質量はこれよりも軽い[12]。
ほとんどのホット・ジュピターは軌道離心率が小さい、すなわち軌道が真円に近い[13]。主星からの潮汐力によって軌道が真円になっていると考えられている[13]。
密度が異常に低い事が多い。2007年までに発見されているホット・ジュピターの中で最も低密度の惑星は、TrES-4 の 0.222 g/cm3 であった[14]。その後さらなる低密度の惑星が続々と発見されており、例えば HAT-P-67b
自転が潮汐固定されており、同じ面を常に主星の方向に向けていると考えられる[18]。
公転周期が短く、潮汐固定されているため、極端で変わった大気を持っている可能性がある。大気の力学モデルは、大気は鉛直方向に強く成層し、放射強制力と熱・運動量の輸送によって駆動される強い風と自転速度を超える赤道ジェット (スーパーローテーション) を起こしていることを予測する[19][20]。