ホスゲン(許容慣用名)
二塩化カルボニル、カルボニルジクロリド(系統名)
別称炭酸ジクロリド
識別情報
CAS登録番号75-44-5
?118 °C, 155 K, -180 °F
沸点
8.2 °C, 281 K, 47 °F
水への溶解度hydrolysis
構造
分子の形Planar, trigonal
双極子モーメント1.17 D
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 0007
GHSピクトグラム
GHSシグナルワードDanger
HフレーズH314, H330
PフレーズP260, P264, P271, P280, P284, P301+330+331, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310, P320, P321, P363, P403+233
NFPA 704041
引火点不燃性
関連する物質
関連物質チオホスゲン
ホルムアルデヒド
炭酸
尿素
一酸化炭素
クロロギ酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ホスゲン (英: Phosgene) とは、炭素と酸素と塩素の化合物。二塩化カルボニルなどとも呼ばれる。分子式は COCl2 で、ホルムアルデヒドの水素原子2つを塩素原子で置き換えた構造を持つ。毒性の高い気体であり、毒物及び劇物取締法によって毒物に指定されている[2]。1812年にイギリスの化学者ジョン・デービー(en)(同じく化学者であるハンフリー・デービーの弟)によって発見された[3]。 化学工業分野で重要な化合物であり、1812年に初めて合成された[4]。一酸化炭素と塩素から多孔質の炭素を触媒として合成される。ポリカーボネート、ポリウレタンなどの合成樹脂の原料となる。 有機合成分野でもホスゲンはアルコールと反応して炭酸エステルを、アミンと反応して尿素あるいはイソシアネートを、カルボン酸と反応して酸塩化物を与えるなど用途が広い。ただし猛毒の気体であるホスゲンは実験室レベルでは使いにくく、近年では炭酸ビス(トリクロロメチル)(通称 トリホスゲン)が代用試薬として用いられるようになった。この試薬は安定な固体だが、トリエチルアミンや活性炭の作用で分解し、in situ で3当量のホスゲンを発生する。ホスゲンに比べて格段にハンドリングが容易なため、近年使用例が増えている。 また、フロン類(クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン)が加熱される事でも発生するので、特に冬季など暖房器具を使用する時期には中毒事故が発生しやすかった。
用途