ペプチド
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バリン-グリシン-セリン-アラニンから成るテトラペプチドの例。この例ではペプチドのN末端残基であるバリンを緑色で、C末端残基であるアラニンを青色で示している。

ペプチド(: Peptid、: peptide 英語: [?p?pta?d], ギリシャ語の πεπτο? 〈消化できる〉に由来する)は、アミノ酸ペプチド結合(英: peptide bond)により短い鎖状につながった分子の総称。

ペプチド結合は、2個以上のアミノ酸の間で一方のアミノ基から水素が、もう一方のカルボキシル基からヒドロキシ基が、水分子としてとれ(脱水)、(?CO?NH?)の形で縮合している。ペプチドに組み込まれたアミノ酸を残基(英: residue)という。残基が2個のものをジペプチド、3個のものをトリペプチド、4個のものをテトラペプチドなどといい、残基が10個以下のものをオリゴペプチド、多数つながればポリペプチドなどと呼ぶ。およそ50個以上つながった長いペプチドはタンパク質として理解され得る[1][2] が境界はあいまいであり、アミロイドβ(残基は36?43個)やインスリン(残基は51個)などは長いペプチドとされている。

ペプチド(アミド)結合は典型的な炭素窒素単結合よりもいくらか短い、そして部分的に二重結合の性質をもつ。なぜならその炭素原子は酸素原子と二重結合し、窒素は一つの非共有電子対を結合へ利用できるからである。

機能性ペプチドは、皮膚細胞の増殖活性を促すとして、化粧品原料として用いられることもある。生体内で産生されるペプチドはリボソームペプチド、非リボソームペプチド、消化ペプチドの3つに大別される。
歴史

19世紀後半、エミール・フィッシャーらが最初にペプチド、彼の説明ではグリシルグリシンについて記述し、1901年にはフィッシャーらが合成したことを発表し、また様々なペプチド構造について説明していった[3]。次第に他の科学者が天然のペプチドを同定し、新たなペプチドを合成し、その機能について学び始めた[3]

1973年には、Loren Pickartが銅ペプチドGHK-Cu(銅グリシン-ヒスチジン-リジン)を合成、80年代後半には化粧品に配合されるようになるが、それでもまだペプチドの開発はゆっくりであった[3]。2000年にパルミトイルペンタペプチド-4(マトリキシル)が合成されると、創傷治癒から美容に使われる合成ペプチドの開発と研究が増加してきた[3]
リボソームペプチド

リボソームペプチドはmRNAの翻訳により合成され、(しばしば)成熟型を形成するためにタンパク質分解を受ける。これらの機能は、典型的に高等生物においてはホルモンシグナル分子である。いくつかの下等生物は(microcin J25のような)抗生物質としてペプチドを産生する。翻訳された時点に含まれるアミノ酸残基は20種類(例外的に、一部の細菌古細菌において、本来ストップコドンであるUGAがセレノシステイン(21番目のアミノ酸)を、UAGがピロリジン(22番目のアミノ酸)をコードするケースがある)に限られており、翻訳後修飾によってリン酸化水酸化スルホン化ジスルフィド形成等がされる。これらは一般に線状であるが、投げ縄構造も普通である。
非リボソームペプチド

非リボソームペプチドはモジュラー酵素の複合体(その機能は工場ベルトコンベヤーに似ている)を使用して合成され、主に単細胞生物植物菌類に限定されている。核構造が全てのこれらの複合体に共通であり、生成物の操作をする多くの異なったモジュールを含む。それらのペプチドは一般に環状であるが(しばしば高度に複合した環状構造を持つ)、しかしながら線形の非リボソームペプチドも普通である。システムがモジュールで、脂肪酸ポリケチドを形成する機構と密接に関連しているので、構成体化合物がしばしばみられる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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