ペニシリウム
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アオカビ
アオカビ(顕微鏡写真、x200)
分類

:菌界 Fungi
:子嚢菌門 Ascomycota
:ユーロチウム菌綱 Eurotiomycetes
:ユーロチウム目 Eurotiales
:マユハキタケ科 Trichocomaceae
:アオカビ属 Penicillium

学名
Penicillium Link, 1809
タイプ種
Penicillium expansum
Link (1809)

300種以上
アオカビやコウジカビを含む様々な無菌培養された菌類

アオカビ(Penicillium)はアオカビ属(ペニシリウム属)に属するカビの総称で、もっとも普遍的に見られる不完全菌の一つである。胞子の色が肉眼で青みを帯びた水色であることからその名がある。ただし、白や緑がかった色のものも見られ、必ずしもすべてのアオカビ属(Penicillium属)のカビが青いわけではない。

顕微鏡で観察すると、筆状体(ひつじょうたい、penicillus)と呼ばれる筆のような形の構造が見られ、その先端に胞子がついているのが判る。これがこのカビの学名の由来になっている。世界で初めての抗生物質であるペニシリンが、この種のカビから発見されたことは有名である。また、ゴルゴンゾーラロックフォールなどの代表的なチーズの製造に用いられるカビもアオカビの仲間である。


目次

1 生物学的特徴

1.1 系統分類学的位置

1.2 アオカビの胞子(分生子)

1.3 類似のカビ


2 アオカビとヒトの病気

3 アオカビによる植物の病気

4 アオカビの利用

4.1 アオカビとペニシリン

4.2 アオカビとチーズ


生物学的特徴

アオカビは最も普遍的に見られるカビの一つであり、常に空中に胞子が飛散しているので、パンなどには、真っ先に生えて来る。胞子は発芽すると基質中に菌糸をのばし、コロニーを形成する。すぐに胞子形成を始めるので、コロニーは青みがかった色になる。
系統分類学的位置

カビの系統分類は有性生殖を行うときの世代(完全世代)を基準に行われるが、中には完全世代の状態が見つかっていない(あるいは元から有性生殖を行わないという可能性もある)ものが存在する。これらは不完全菌という(やや便宜的な)分類群として扱われ、その無性生殖世代(不完全世代)の形態的特徴からさらにいくつかに分類されている。不完全菌のうち筆状体を作るものがPenicillium属に分類される。このため、ひとたびPenicillium属として記載された菌であっても完全世代が発見されると、それに見合った分類群に振り分けられ、新たに学名がつけなおされる。

完全世代が確認されたPenicillium属のほとんどは、閉子嚢殻という小さな球形の子実体を形成するが、中にはきのことして扱われる大型の子実体を形成するものもある。これらは子嚢菌のユーロチウム目に分類されているが、Eupenicillium属、Hamigera属、Penicilliopsis属、Talaromyces属、Trichocoma属と幾つもの属にまたがっている。「きのこ」を作るものにはPenicilliopsis属のカキノミタケやTrichocoma属のマユハキタケが知られる。

有性生殖が知られていないものについても、リボソームRNAの相同性から子嚢菌の系統に属することが確認されているものが多い。
アオカビの胞子(分生子)アオカビの構造

アオカビなど、不完全菌の胞子は分生子と呼ばれる。アオカビの分生子柄は、基質の表面に短く立ち、先端で幾つかの短い枝に分かれる。それぞれの枝の先にフィアライドと呼ばれる分生子形成細胞が数個並ぶ。フィアライドは紡錘形で、その先端から分生子を出芽するように形成する。分生子が完成すると、分生子とフィアライドの間は切り放され、前の分生子を押し出すようにして新しい分生子が出芽し、次第に分生子の数珠が作られる。

分生子柄の枝は、互いに小さな角度を作り、寄り添うように伸び、それぞれの先端のフィアライドも枝の先端方向を向くので、それぞれのフィアライドの先端の分生子の数珠も同じ方向へ伸び、全体としては筆や箒、松明のような形になる。分生子はどんどん作られ、数珠は長く伸び、やがて崩れるので、コロニー中心部では菌糸体は崩れた胞子の下に埋まってしまう。

フィアライドから分生子の数珠を作る点では、アオカビはコウジカビとよく似ており、完全世代でも類縁関係が確認されている。ちなみに、コウジカビや、その他の不完全菌にも青っぽい胞子を作るものがあるので、色だけで判断するのは無理である。
類似のカビ

肉眼的にはコウジカビが似ている。それ以外のものは、食品などに発生することが多くない。形態的に似ているのはPaecilomycesである。アオカビに似た分生子柄の分枝を持ち、先端のフィアライドから胞子の数珠を出すのも同じであるが、胞子は無色で、コロニーは白く見える。また、Gliocladiumも同じような分生子柄を持つが、これは胞子を鎖ではなく粘液球の形でつける。


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