ペット
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この項目では、愛玩動物について説明しています。その他の用法については「PET」をご覧ください。
ペットを抱きしめる人ハムスター

ペット(英語: pet)とは、愛玩を目的として飼育される動物(愛玩動物)である[1]
概要ウサギ

ペットは、人の心を和ませたり楽しませてくれたりするといった理由で飼育される動物である。人はペットとの様々なやり取りを楽しんだり、その姿やしぐさ、鳴き声などを鑑賞したりする。ペットは生命をもった動物で、モノではない(ペットに似せたロボット[2]を除く)。ゆえに飼い主は、ペットが健康で快適に暮らせるよう、栄養環境など様々なことに配慮して、ペットのためにや飼養施設を用意するなど世話をする必要がある。ペットの歴史は古く、ネコ(猫)は古代エジプトの時代から現在のペットのような位置づけや、の駆除などの実用目的で飼われていたことが推測されている。また、イヌ(犬)に関しても太古から、実用と愛玩目的も兼ねて飼われていたことが推測されている。

ペットは、人の人生の質の向上に貢献する。ペットは人を癒やし、孤独感を解消する。さらに、思いやりの心などが育つなどの情操教育の効果もあるとされる。ペットを飼うことで、癒やし孤独の解消、思いやりの心が育まれるといった実利が得られる。研究からも、ペットが子どもの健全なを育てることが判明している[3]。子供は、自分自身を動物たちとのコミュニティに属しているととらえている[4]。ペット飼育者の多くは、フラストレーションの解消を目的に、話を聞いてくれる相手として人間と同じようにペットに話しかける[5]。米国ペンシルベニア大学の調査では、ペット飼育者の98 %は動物に話しかけた経験があり、そのうちの80 %はペットに対して人間と同様に話しかけていたという。抑うつ引きこもり、精神の矯正に及ぼすペットの癒やしの効果は精神分析医ソーシャルワーカーに着目され、老人ホーム刑務所でペットが効果を上げた例もある[5]。ペットのイヌが飼い主に運動を促すように、ペットとの交流は延命の一因となり得る[5]。人間とペットが交流している時間中、双方の血圧心拍数が低下するという実験結果がある。水槽の魚を眺めているだけでも医学的に有意な血圧低下が見られるという実験結果もある[5]

ペットの飼育には責任が伴う。それらを理解しないと、近隣や周囲の人々に迷惑を及ぼし、またペットそのものに害を及ぼすこともある。「#動物福祉」参照。動物虐待の防止や公衆衛生の観点から、ペットの取り扱いを規定する法律がある。日本では、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「狂犬病予防法」などの法令がある。「#各国におけるペット関連規制」参照。ペットの入手方法は、ペットショップで購入する以外にも、保護された動物を引き取るなどの方法がある。

なお、ペットは基本的に人間が愛玩の対象とし飼育する動物を指す語である。しかし、一部の霊長類などのある程度高度な知性・情動がその行動に感じられる動物では、異種の動物の特定の個体に対し、愛着を感じさせる行動を見せることがある。手話を理解したゴリラココは、自身の欲求として子猫を飼いたいと表明し、愛着を持って世話をした。さらには、この猫が交通事故にあって死んだ際には、深い悲しみを訴え泣いたことが伝えられている。
諸概念の定義セキセイインコ熱帯魚
愛玩動物

愛玩動物(あいがんどうぶつ)とは、一般に「愛玩用に家庭などで飼育されている動物のうち、特に愛玩飼育を目的として改良・繁殖が行われてきた動物種」のことをいう[6]

愛玩動物は従来からの愛玩動物、学校飼育動物、エキゾチックペットなどに分類される[6]
従来からの愛玩動物
従来からの愛玩動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、 小鳥(ブンチョウなど)、金魚など、古くから愛玩動物として親しまれてきた動物をいう[6]。イヌやネコは愛玩動物としてヒトに飼育されるようになってから数千年から1万年以上の時間が経過している代表的な愛玩動物で、その間にヒトにとって好適な愛玩動物として適応した[6]。また、従来からの愛玩動物の一部には、盲導犬聴導犬のように人間の生活を補助する補助動物もいる[6](ほかに介助犬身体障害者補助犬介助猿など)。
学校飼育動物
学校飼育動物とは、小学校や幼稚園などで教育的・社会心理的効果から教育・愛玩目的で飼育される動物をいう[6]。代表種はウサギ、ニワトリカメ、金魚などである[6]。児童は動物由来感染症に対する抵抗力の不十分な可能性もあるため衛生管理などに注意を要する[6]
エキゾチックペット
エキゾチックペットとは、カメ、イグアナヘビリスザルリス、鳥類(オウムなど)、野生由来の魚類など比較的新しく愛玩目的で飼育されるようになった動物をいう[6]。エキゾチックペットは野生動物を捕獲した個体であることも多く、飼育・管理方法が確立されていない、感染症などの原因・症状・診断法・検査法・治療法の知見が少ないなどのリスクがある[6]
コンパニオンアニマル

人々の動物に対する接し方が、より細やかで密接になる傾向を反映して「ペット」という概念(モノや所有物のようにみなす概念)に替わって伴侶動物(はんりょどうぶつ)やコンパニオンアニマル(英語: companion animal、人生の伴侶としての動物)という概念も普及してきている。
歴史レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『白貂を抱く貴婦人

太古のペットは、野生動物を捕獲したものである。人間が太古からペットを飼っていた証拠は、いずれの大陸からも発見される。最古の痕跡は、3万前の石器時代の遺跡にあるホラアナグマの飼育跡(洞窟)である。ただし、狩猟で捕獲したものを一時的に生きたまま保管したのか、継続的に餌を与えて飼っていたのかは不明である。ペットとして手当たり次第に飼い始めた野生動物の中から、家畜として有用なものが見いだされたと考えられる[7]

以下では、一部に家畜の歴史も含めて解説する。オオカミ(イヌ)の家畜化が3万年 - 1万5000年前から行われ、狩猟の際の助けとして用いられた。以下、トナカイヒツジイノシシブタ)、ヤギウシニワトリハトウマラクダなどが家畜として飼育されるようになった。また農耕の始まりとともに、害獣となるネズミなどを駆除してくれるネコやイタチのような小型肉食獣が珍重されるようになった。

上述の通りペットの歴史は家畜に先行していると考えられるが、明確に愛玩動物として飼育された最初の例として史料が残っているのは、5000年前の古代エジプトピューマである。南米インディオインコサル(猿)を飼っていた[8]

人間の飼育下で繁殖させたペットが普及するのは、家畜が定着するよりも後である。狩猟目的のイヌ、害獣駆除目的のネコなど、実用目的の家畜だったものが、その目的で飼われなくなって以降も人間に飼われるようになった。それらが、人間の飼育下で繁殖したペットの最初となる。ただし、どの段階で実用でなくなったのか明確な境界線を引くのは困難である。日本におけるニワトリのように、食のタブーでいったんはペットとされたものが、再び食用の家畜(家禽)へと変遷した例もある。
古代 - 近代

特にイヌの場合は、はっきりした主従関係を好む習性から、家族の一員として扱われた歴史が長いとされる。石器時代におけるイヌの墳墓(埋葬に際して添えられたと見られる花の花粉が見られたり、なんらかの食料の残骸が一緒に発見されたりするなどの特徴も見られる)も発見されている。その一方で、所有物という概念もあったようで、殉死によって飼い主とともに埋葬されたと思われるケースも見られる。欧米では、古来から現代まで王侯貴族や歴代大統領から一般市民の間で愛玩用、護衛用、狩猟用などとして飼われている。ジェームズ2世(イングランド王)やアメリカ合衆国大統領クーリッジなど多数の愛犬家がいる。

古代エジプトでは、ネコ科の動物は今日のペットに近い存在であったとされる。それらは神格化されたせいもあって(例:バステト)、高貴な身分にふさわしい愛玩動物として扱われた。丁寧に埋葬されたネコのミイラも発見されており、同時代に於ける同種動物の地位が如何に高かったかを感じさせる。

また農耕文化にも関連して、ネコやイタチ、キツネのような小型動物を捕食する肉食獣を、穀物食害から守る益獣として珍重していた文化が世界各地に見出されている。今日のアメリカ合衆国でも、納屋に住み着くネコを「barn cat」と呼び珍重するなどの風習が見られる。
近代 - 現代

今日ペットは、心を癒やしたり、あるいは愛玩されたり、共生したりするなど、様々な面を持つ。ペットは、家族同様の存在やパートナー、仲間として人の暮らしに密接に関わる。

現代の日本の2人以上の世帯では、48%の世帯が、何かしらのペットを飼っているという調査結果がある[9]。日本の2010年平成22年)における飼育ペットの割合は、犬59%、猫31%、魚類19%、鳥類6%(複数回答)である[10][注釈 1]

動物を尊重する人々の中には、言葉の用法に人間との同一視が見られることがある。たとえば、ペットの性別を「オス」「メス」ではなく「男の子」「女の子」と呼んだり「をやる」ではなく「ごはんをあげる」と表現したりする。

中にはペットに遺産を残したいと望み、負担付遺贈負担付死因贈与遺言信託の形式をとる場合もある[注釈 2]
統計。飼育されているペットの種類の1位と2位。
動物別

2015年の「ペット飼育率調査」によると、世界でペットとして飼育されている動物は、犬が33%、猫が23%、魚が12%、鳥が6%だった[12]

ペットフード協会によれば、日本での推定飼育数は、1994年のイヌは906万7,000匹、ネコは717万8,000匹である。イヌのピークは2008年の1,310万匹で、その後、減少傾向にある。2017年にネコ(952万匹)が、イヌ(892万匹)を追い抜いた。2018年のイヌは890万3,000匹、ネコは964万9,000匹である[13]

ペットフード協会の「2015年犬と猫の飼育実態調査結果」によると、日本で飼育されている犬の平均寿命は14.85歳、猫の平均寿命は15.75歳で寿命は毎年延びる傾向にある[12]
地域別

2015年の「ペット飼育率調査」によると、世界で最もペットが飼育されている地域は中南米(75%?80%)で、最も飼育率の低かった地域はアジア(30%?40%)とされている[12]
種類飼育されているカブトムシ

哺乳類

イヌフェネック

ネコ

フェレットミーアキャット

げっ歯類

ファンシーラットハムスタースナネズミトビネズミモルモットチンチラデグーシマリスリスプレーリードッグモモンガヤマネ


ウサギ

ハリネズミ

ルーセットオオコウモリ(フルーツコウモリ)

フクロモモンガピグミーオポッサム


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