ペット・サウンズ
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『ペット・サウンズ』
ザ・ビーチ・ボーイズスタジオ・アルバム
リリース1966年5月16日
録音1965年11月1日 -
1966年4月13日
「スループ・ジョン・B」のみ
1965年7月12日
ジャンルバロック・ロック
サイケデリック・ロック
時間36 25
レーベルキャピトル・レコード
プロデュースブライアン・ウィルソン
専門評論家によるレビュー


Allmusic link

チャート最高順位

2位(イギリス[1]

10位(アメリカ[2]

ザ・ビーチ・ボーイズ アルバム 年表

ビーチ・ボーイズ・パーティ
(1965年)ペット・サウンズ
(1966年)ベスト・オブ・ザ・ビーチ・ボーイズ
(1966年)

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『ペット・サウンズ』(Pet Sounds)は、アメリカのバンド、ザ・ビーチ・ボーイズ1966年にリリースしたスタジオ・アルバム
概要

本作はザ・ビーチ・ボーイズ、及びメンバーであるブライアン・ウィルソンの最高傑作と見なされ、多くの音楽評論家が史上最良のポップ・アルバムやロックの名盤と評価している。1995年には『MOJO magazine』の作曲家や音楽プロデューサー達の投票で1位に選出、1998年には『Q magazine』の読者投票ランキングでは31位に選ばれ、同年のグラミー賞で歴史的な重要作に授与されるグラミー殿堂賞を獲得した[3]。更に、『ROLLING STONE』が行った大規模なアンケート「Rolling Stone's 500 Greatest Albums of All Time」(2020)ではMarvin Gayeの『What's Going On』に次ぐ2位に選出された[4]。発売から34年経った2000年に、アメリカでゴールド・ディスクに認定され、同年のうちにプラチナ・ディスクにも認定された[5]

日本では、1988年の初CD化に際し山下達郎がライナー・ノーツを執筆。再発の度に山下自身の手で加筆・修正が行われた。
背景

本質的にはブライアンのソロ作品と呼べる。彼はバンドとのツアーを取りやめ、腕利きのスタジオ・ミュージシャンたちと共に一人、スタジオでの録音に集中した。ブライアンは、ビーチ・ボーイズによる美しいハーモニーに、バズ・オルガンやハープシコードフルートに加え自転車ベルテルミン犬笛と言った変わった道具での音響効果を多重録音により付け加え、作品を創り上げた。またプロの作詞家、トニー・アッシャーを作詞に起用し、曲のイメージを伝え、詞に起こす作業を任せた。従って、本作のレコーディングにおいてブライアン以外のメンバーはほぼボーカルとコーラスのみでの参加となっている。本作のレコーディングでは「グッド・ヴァイブレーション」の初期ヴァージョンも作られたが、ブライアン自身の意向により『ペット・サウンズ』への収録は見送られ、アルバム発表後に手を加えられて11月にシングルとして発表された[6]

なお本作は、ビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』から影響を受けて作ったと後にブライアンは明言している。その影響がUSヴァージョンによるものなのか、UKヴァージョンによるものなのかは、常に論議の的になっている。『ペット・サウンズ』は逆に『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与えたと言われており、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』をプロデュースしたジョージ・マーティンは「『ペット・サウンズ』に追いつこうとする試みだった」と回想している[7]
反響

『ペット・サウンズ』は現在でこそロック史上に残る名盤として扱われているものの、他のメンバーからは賛否両論で、アル・ジャーディンマイク・ラヴからは「(特に)歌詞の内容が理解出来ない」とレコーディングの段階から批判され、デニス・ウィルソンカール・ウィルソンブルース・ジョンストンは反対に当時からその内容には好意的だった。発売当時はそれまでのビーチ・ボーイズにあったサーフィンホット・ロッドといった言葉が全く登場せず、ブライアンの心情を吐露したような複雑な内容から、アメリカではあまり受け入れられなかった。キャピトル側もアメリカでの売れ行きが芳しくないのを見て、ベスト・アルバム『ベスト・オブ・ザ・ビーチ・ボーイズ』を予定より早い7月5日にリリースした[8]。ブライアン渾身の一作にもかかわらず、皮肉にもその反響の低さと、次作『スマイル』の製作が頓挫したことにより、既に不安定になっていた彼の精神状態は更に悪化していくことになる。

一方、イギリスでは全英アルバムチャートで26週連続トップ10入りする大ヒットを記録し[1]、この年の『NME』の人気投票では、「トップ・ワールド・グループ」部門でビーチ・ボーイズがビートルズを抜いて1位となった[9]
ライヴにおける演奏

ブライアン・ウィルソンはソロ転向後、しばしば本作の完全再現ライヴを行った。2000年のアメリカ・ツアーではフル・オーケストラと共演し[10]、2002年1月にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで行われた公演の模様はライヴ・アルバム『ペット・サウンズ・ライヴ2002』に収録された。また、2013年10月にニューヨークのビーコン・シアターで行われたライヴでは、事前の告知なしに本作が全曲とも演奏された[11]
ステレオ・ヴァージョン

ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ』より『ワイルド・ハニー』までは、ブライアンの右耳の聴力の悪化により、発売当時アルバムはモノ・ミックスのみで制作され、ステレオ盤は擬似ステレオだった。

1997年に発売された『ペット・サウンズ・セッションズ』の中でブライアン自身の監修の元でエンジニアのマーク・リネットにより初めてリアル・ステレオ・ミックスが発表された(作成自体は1996年1月-2月に行われた)[12]

当時のブライアンは、まず4?8トラック・レコーダーを使いバッキング・トラックを録音し、それを一旦モノラルにミックスし別のマルチ・トラック・レコーダーにダビングした後、その上にヴォーカルやコーラスを録音していくという方法を採用していた。そのためヴォーカルの入っているマルチ・テープのみでステレオミックスを作ろうとすると演奏が一つに固まってしまうという技術的な問題があった。そこでマーク・リネットはバッキング・トラックのテープとヴォーカル・コーラスのテープをシンクロさせデジタル・テープにコピー、両者のタイミングが合うまでスピードを修正することで、ステレオ・ミックスを実現させた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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