ペガサス_(ロケット)
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ペガサス
ペガサスロケット
基本データ
運用国 アメリカ合衆国
開発者オービタル・サイエンシズ
運用機関ノースロップ・グラマン
使用期間1990年 - 現役
射場空中発射
打ち上げ数45回(成功40回)
打ち上げ費用4000万ドル[1]
姉妹型ミノタウロスC
公式ページPagasus Rocket
物理的特徴
段数3段
総質量18,500 kg (ペガサス)
23,130 kg (ペガサス XL)
全長16.9 m (ペガサス)
17.6 m (ペガサス XL)
直径1.27 m
軌道投入能力
低軌道443 kg
1.18 m x 2.13 m
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ペガサスロケットは、アメリカオービタル・サイエンシズ社(OSC、後のノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ)が開発した空中発射ロケットで、主な用途は人工衛星の打ち上げである。名称はスタートレックシリーズのU.S.S.ペガサスから。
概要

ペガサスロケットは固体燃料ロケットで、巡航ミサイルに似た有翼型の形状を持ち、ペイロードの軌道投入には通常は3段式(three stage to orbit)の構成をとる。そして、航空機に搭載されて空中から発射される、空中発射ロケットであることが一番の特徴である。

空中発射型の人工衛星打ち上げロケットとしては世界初のものであり、翼をもつ飛翔体としては初めてマッハ8に達した。初期のペガサスロケットはX-15の実験などで用いられたアメリカ航空宇宙局 (NASA) 保有のNB-52B(52-0008)によって、マッハ0.8、高度約12kmから発射されていた。後期型のペガサス・ハイブリッドとペガサスXLはOSCが保有するスターゲイザーによってほぼ同等の条件で発射されている。

人工衛星打ち上げ以外には、NASAのスクラムジェットエンジン実験機 X-43 を、スクラムジェットの稼働速度域まで加速するブースタとしても使用されたという例などがある。

2013年6月に42回目の打上げでIRISを打ち上げた以降、3年ほど打上げが無かったが、2016年12月にCYGNSSを打ち上げた。その次は2019年10月のICONと打ち上げは減少傾向にある。
空中発射による利点と問題点「空中発射ロケット」も参照

ペガサスロケットが分離される高度は安定軌道最低高度のおよそ10%であり、分離時の速度であるマッハ0.8は第一宇宙速度の3%である。これによって地上から発射するより小型のロケットで同等のペイロードを打ち上げることが可能であり、機体コストを大きく下げることが可能である。また、発射は高度12kmの成層圏において行われるため、天候によって発射が制限されないという利点がある。これは打ち上げ時間帯が制限される科学衛星や即応性が求められる衛星の打ち上げにおいて有利になる。

空中発射ロケットは低コストな運用を可能とするシステムであるが、母機の年間維持費が固定費となるため、年間打ち上げ機数が減少すれば打ち上げ費用は増大する。ペガサスでは1機あたり600万ドルでの打ち上げを目指していたが、受注機数が予想を下回り1992年の段階で1250万ドルであった。その後、母機や1,2段等の構成が変更された事で費用は上昇、近年の年間1機体制では4000万ドルにもなっている[1]。これによって当初目指していた低コストでの運用は困難となっており、約1.5倍のペイロードで1900万ドルだったミニットマン弾道ミサイル転用ロケットミノタウロスIに顧客が流れている。
構成・諸元

3段のOrion固体ロケットモータで構成され、軌道投入精度を向上させるためにオプションとして液体上段 (HAPS : Hydrazine Auxiliary Propulsion System) を搭載することも可能である。姿勢制御は初段がデルタ翼と3枚の尾翼によって、上段はMNTVCによって制御される。
ペガサス

最初期の構成。6機が打ち上げられ4機が成功した。
ペガサス・ハイブリッド


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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