ペイル・ブルー・ドット
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60億キロメートル離れた位置から見ると、地球は青白い小さな点にしか見えない(右側の茶色の帯の真ん中より下の辺り)[1]

ペイル・ブルー・ドット(英語: Pale Blue Dot)は、1990年に約60億キロメートルのかなたからボイジャー1号によって撮影された地球の写真である。太陽系家族写真の1枚として撮影されたこの写真では、広大な宇宙に対して地球は0.12ピクセルの小さな点でしかない[2]。ボイジャー1号は当初の目的を達成して太陽系を離れるところであったが、カール・セーガンの依頼を受けたアメリカ航空宇宙局 (NASA) の指令によってカメラを地球に向け、この写真を撮影した。撮影された地球が淡く青い点(a pale blue dot)であったことからこの写真自体が「ペイル・ブルー・ドット」(Pale Blue Dot)と名付けられた。2023年現在、地球から最遠の場所で撮影された地球の写真である[3]

1994年にセーガンはPale Blue Dot: A Vision of the Human Future in Space(英語版)(日本語題:『惑星へ』)と題する著書を出している[4]
背景ボイジャー1号の宇宙船詳細は「ボイジャー1号」を参照

ボイジャー1号は、NASAによって1977年9月5日に打ち上げられた[5] 重量722キロのアメリカ合衆国の宇宙探査機であり、太陽系の外惑星領域[6] と、最終的には星間空間の観測を目的としていた[7]。打ち上げ以来34年間以上、ボイジャー1号は2020年現在でも日々の指令を受け取り、ディープスペースネットワークにデータを伝送している。この探査機は、太陽系外に出た初めての探査機であり、地球から最も遠く離れた人工物でもある[7][8]

ボイジャー1号は、現在はミッションを拡充され、カイパーベルトヘリオスフィアを含む太陽系境界の観測を行っている[6]。1979年に木星系、1980年に土星系に到達し、当初のミッションは、1980年11月20日に終了した。ボイジャー1号は、2つの巨大惑星とその衛星の詳細な画像を撮影した初めての宇宙探査機となった[6]

ボイジャー1号は、予定では土星を通過する頃までの作動を期待されていたが、土星を1981年に通過すると、セーガンは、この探査機に最後に地球の写真を撮影させることを提案した[9]。彼は、その写真に写った地球はあまりに小さく科学の役には立たないが、我々の地球は宇宙の中にあるのだという視点を提供するのに有益であると指摘した。NASAのボイジャー計画に携わる多くの職員がこの案に賛成したが、ほとんどの者は太陽近くにある地球の写真を撮影することは、宇宙船のカメラを損傷することにつながるリスクがあると懸念していた。1989年末まで行われた機器の校正も写真の撮影を遅らせる要因となった。そのころにはボイジャー1号に無線指令を送っていたNASAの技術者は、解雇されるか他部署に異動させられていた。最終的に、当時のNASA長官リチャード・トゥルーリーが仲裁し、撮影は実施された[10][11]。ペイル・ブルー・ドットは狭いアングルの写真であるが、広いアングルの写真としてはNASAのジェット推進研究所が2枚の写真の合成によって太陽と地球、金星を中心とする空間を1枚の画像としたものがある[12]
写真

ペイル・ブルー・ドットは、ボイジャー1号が、6万4000km/hの速度で[10][13] 打上げから12年後に60億キロメートルを進んで太陽系の縁に達した時に撮影された[14][15][16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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