「ページェット病」とは異なります。
ベーチェット病
概要
診療科免疫学, リウマチ学
分類および外部参照情報
ICD-10M35.2
ベーチェット病(ベーチェットびょう、英語: Behcet's disease, Behcet's syndrome)は再発・寛解を繰り返す原因不明の慢性疾患で、自己免疫疾患の一つ。古典的な膠原病には含まれないものの、膠原病類縁疾患と呼ばれる。近年、その本体は血管炎であると考えられている。発病年齢は男女とも10代後半?40歳に多く、30歳前半にピークを示す。なおページェット病(パジェット病/Paget disease)は別の病気である。 トルコの医師フルス・ベーチェットによる1937年の報告が最初で[1]、名前もそれに由来する。ただし、歴史家によると、ヒポクラテスの書物にこの疾患の最初の記載があるという[2]。 ベーチェット病は、目、口、皮膚、外陰部のほか、中枢・末梢神経、消化管、関節、血管をおかす全身性の疾患である。口腔粘膜、皮膚、眼、外陰部において慢性炎症が持続するのではなく、急性炎症が反復することを特徴とし、増悪と寛解を繰り返しながら遷延化した経過を辿る難治性疾患である。 ベーチェット病は、日本、中国、韓国や中近東、地中海沿岸に多く、「シルクロード病」と呼ばれることもある[3]。日本国内のベーチェット病の患者数は約2万人といわれ、30代後半に最も多く発症する[4]。 本症の病態は針反応に代表される好中球の異常活性化が病態の中心となる血管炎である。その他好中球以外に血管因子、リンパ球の因子も病態に関与する。誘因が明らかでない炎症所見、高力価の自己抗体や自己応答性T細胞を認めない、先天的な自然免疫の異常が認められるという点からは成人スティル病、クローン病、痛風、偽痛風などとともに自己炎症症候群という疾患概念でまとめられることもある。その他の膠原病と比べての特徴として、自然寛解がわりと多くみとめられることがあげられる。 本症をはじめとした膠原病、膠原病類縁疾患はいずれも原因不明であるため一つの確定的な診断に至る検査というものはなく、状況証拠を積み重ねて診断基準に基づき診断せざるを得ない。逆に言うと適確な診断基準がつくられやすい土壌があり、厚生労働省による特定疾患の認定方法もきわめて妥当で、疾患の本態を表すものである。したがってここでは基本的に特定疾患認定基準に沿った形で症状を分類する。 病因は不明である。 シルクロード沿いにおこりやすいということから、環境因子が原因となっている可能性がある。本症の患者はマイコバクテリウム(結核菌など)の熱ショックタンパク質に対する抗体を産生することがわかっており、これに対する分子模倣
歴史
概念
病因
中近東アジアから日本へかけての地域では、HLA-B51陽性患者の比率が多いことが知られている[5]。HLA-B51と本症の発症との関連が強いことがわかっているものの、これがあるから本症になるとは限らず、これがなくとも本症になる人もいるため、一概には言えない。他の膠原病でも同じことが言えるが、HLAとの遺伝的関連はHLA-B51と連鎖不平衡にある真の原因遺伝子多型をあらわしているだけかもしれず、HLA-B52も関連が示されている。
ベーチェット病紅斑部位での組織において、好中球浸潤とphospho-STAT-3陽性細胞がみられることから、Jak-Stat経路の関与も検討されている。