ベルリン国際映画祭
Berlinale 2007
イベントの種類映画祭
初回開催1951年
会場ベルリン
主催アルフレッド・バウアー
ベルリン国際映画祭(ベルリンこくさいえいがさい、独: Internationale Filmfestspiele Berlin, 1951年 - )は、ドイツのベルリンで毎年2月に開催される国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭。カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭と並び世界三大映画祭のひとつに数えられる[1]。ドイツではベルリナーレ(Berlinale)と呼ばれることが多い。 他の映画祭と比べると社会派の作品が集まる傾向がある。また、近年は新人監督の発掘に力を注いでいる。 最高賞は作品賞にあたる金熊賞(Goldener Bar)。この賞の名は熊がベルリン市の紋章であることにちなむ。 FIAPF公認の国際映画祭中、2006年の上映作品数は第7位(360本)、来場者数は第1位(418,000人)であった。三大映画祭では唯一大都市で開催されている(ベルリンは人口360万、ヴェネツイアは26万、カンヌは7万)ことが来場者数の多さにつながっている。 2014年版開催終了時点で、10日間の期間中に販売した一般入場券が33万枚を突破し、「世界最大の映画祭」であると映画祭責任者のディーター・コスリック 1951年に映画史家のアルフレッド・バウアー
概要
歴史
バウアーの引退後、1976年にヴォルフ・ドナー(ドイツ語版)が第2代のディレクターに就任する。ドナーは夏開催であった本映画祭を2月開催に変更した。1980年に第3代ディレクターとしてモーリッツ・デ・ハデルン(英語版)が就任する。ハデルンはハリウッド映画に重点をおくセレクションを映画祭にもたらした。1994年には、映画にも及んだGATTの貿易対立で、アメリカ側が映画祭をボイコットする騒ぎとなり、ハリウッド重視の方針により大きな影響を受けた。2000年にハデルンはディレクターを解任され、2001年で退任。2002年からはディーター・コスリックが第4代ディレクターとなっている。 ベルリナーレにはコンペティション部門、パノラマ部門、エンカウンターズ部門(第70回より追加)[2]、ジェネレーション(青少年映画)部門、レトルスペクティブ部門、ドイツ映画部門、フォーラム(部門)、の7つの公式部門がある。それぞれに部門にディレクターがおり、コンペティション部門、パノラマ部門、エンカウンターズ部門などはベルリナーレ本部が運営しているが、フォーラム(部門)は実際は本部とは別の独立した組織が運営している。[3]その他、2004年から始まったベルリナーレ・スペシャルや、映画を売り買いするヨーロピアン・フィルム・マーケット (Europian Film Market) なども開催されている。
部門
コンペティション部門
世界中から優れた映画作品が集められ、最優秀賞である金熊賞などが授与される。コンペティション部門にノミネートされるには、ワールドプレミア(世界初映)もしくはインターナショナルプレミア(製作国以外で初映)が必要となる。
パノラマ部門
コンペティション部門から外れたもの、もしくはワールドプレミアおよびインターナショナルプレミアではない優れた作品を上映する。のちに名をなす監督のデビュー作がこの部門で紹介されたことも多い。作品のテーマ、質ともにかなり幅広いのが特徴である。ドキュメンタリー映画が上映されることも多い。
エンカウンターズ部門
2020年の第70回から新たに作られた部門。優れたインディペンデント作品や新人作家の発掘に重きをおいている。カンヌのある視点部門、ヴェネチアのオリゾンティ部門に近い部門である。[2]
ジェネレーション部門
1978年からあったが、2007年から2つに分かれることになった。子供が主人公であり、子供を題材に扱った作品が選ばれる。Generation Kplusは4歳以上が対象で、11人の子どもの審査員によって最優秀賞が選ばれる。Generation 14plusは14歳以上が対象で、7人の子どもの審査員によって最優秀賞が選ばれる。
レトロスペクティブ部門
1977年からドイツ・キネマテークの運営で行われており、過去に制作された優れた作品を上映している。毎年テーマが決められ、特定の監督をフィーチャーする場合もある。
フォーラム(部門)
当初は若手監督の支援を目的に始まり、名前も以前は「ヤング・フォーラム」であったため、新人の作品が多く上映される。また、アヴァンギャルド映画、実験映画、ルポルタージュの上映、埋もれていた過去の優れた作品を再上映することもある。フォーラム「部門」と紹介されることが多いが、実際はベルリナーレ本部とは別の独立した事業、組織で運営されている。[3]
賞
金熊賞 (Golden Bear / Goldener Berliner Bar) - 以下は国際審査員によって選出される。
金熊名誉賞 (Golden Bear ? Honorary Award / Goldener Ehrenbar)
銀熊賞 (Silver Bear / Silberner Bar)
審査員グランプリ (Jury Grand Prix - Silver Bear)
監督賞 (Silver Bear for Best Director / Silberner Berliner Bar Beste Regie)
主演俳優賞
助演俳優賞
脚本賞 (Silver Bear for Best Script / Silberner Berliner Bar, Bestes Drehbuch)
審査員賞(Preis der Jury - Silver Bear)
アルフレッド・バウアー賞 (Alfred-Bauer Prize / Alfred-Bauer Preis) - 映画祭初代ディレクターアルフレッド・バウアーの名を冠し、新しい視点を示した作品に贈られていたが、バウアーがナチス・ドイツと癒着関係であったことが発覚し、2021年から廃止された。
芸術貢献賞 (Silver Bear for an outstanding artistic contribution / Silberner Berliner Bar Besondere kunstlerische Leistung)
特別個人貢献賞 (Silver Bear for an outstanding single achievement)
音楽賞 (Silver Bear Best Film Music / Silberner Berliner Bar Beste Filmmusik) - 2007年に廃止された。
最優秀新人作品賞 (The Best First Feature Award / Der Preis fur den Besten Erstlingsfilm) - 本賞専任の審査員 (Best First Feature Jury) によって選出される。
短編部門 - 本部門専任の審査員 (International Short Film Jury) によって選出される。
金熊賞
銀熊賞
パノラマ観客賞 - 観客賞
ベルリナーレ・カメラ - 功労賞
クリスタル・ベア - 4歳以上の子どもを対象にした映画部門(Kplus)、14歳以上の青少年を対象にした映画部門(14plus)に贈られる。
独立賞
ベルリン国際映画祭 FIPRESCI賞 - ベルリン国際映画祭国際映画批評家連盟賞。
シューティング・スター賞 - 欧州の若手俳優・女優に贈られる。
テディ賞 - LGBTを扱った映画に贈られる。
エキュメニカル審査員賞[5]
日本との関わり
1958年 - 今井正監督『純愛物語』が銀熊賞 (監督賞)を受賞
1959年 - 黒澤明監督『隠し砦の三悪人』が、銀熊賞 (監督賞)を受賞
1963年 - 今井正監督『武士道残酷物語』が、金熊賞を受賞
1963年 - 今村昌平監督『にっぽん昆虫記』で、左幸子が銀熊賞 (女優賞)を受賞
1975年 - 熊井啓監督『サンダカン八番娼館 望郷』で、田中絹代が銀熊賞 (女優賞)を受賞
1976年 - 柳川武夫監督『彫る 棟方志功の世界』が短編部門(金熊賞)を受賞
1986年 - 篠田正浩監督『鑓の権三』が銀熊賞 (芸術貢献賞)を受賞
1986年 - 熊井啓監督『海と毒薬』が銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞
2000年 - 緒方明監督『独立少年合唱団』がアルフレッド・バウアー賞を受賞