ベルヌーイ数
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ベルヌーイ数 (ベルヌーイすう、: Bernoulli number、まれに関・ベルヌーイ数とも) は数論における基本的な係数を与える数列の1つ。関数 .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}x/ex − 1 のマクローリン展開 (テイラー展開) の展開係数として定義される: f ( x ) = x e x − 1 = ∑ n = 0 ∞ B n n ! x n . {\displaystyle f(x)={\frac {x}{e^{x}-1}}=\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {B_{n}}{n!}}x^{n}.}

ベルヌーイ数を最初に取り扱ったのは関孝和であるが、ほぼ同時期に、関とは独立してスイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイが発見したことからこの名がついている。関による発見は、死後の1712年に出版された『括要算法』に記述されており、またベルヌーイによる発見は、死後の1713年に出版された著書『Ars Conjectandi (推測術)』 に記載されている[1]

ベルヌーイ数は、べき乗和の展開係数にとどまらず、級数展開の係数や剰余項、リーマンゼータ関数においても登場する。また、ベルヌーイ数はすべてが有理数である。
定義

ベルヌーイ数 Bn を定義する展開式 f ( x ) = x e x − 1 = ∑ n = 0 ∞ B n n ! x n {\displaystyle f(x)={\frac {x}{e^{x}-1}}=\sum _{n=0}^{\infty }{\frac {B_{n}}{n!}}x^{n}}

から、関数 x/ex − 1 を繰り返し微分していけばベルヌーイ数を得ることができるが、そのような手段でベルヌーイ数を得るのは容易ではない。 ベルヌーイ数を計算するには、マクローリン展開ではなく、次の漸化式を用いる。この漸化式から、ベルヌーイ数がすべて有理数であることがわかる。 B 0 = 1 , B n = − 1 n + 1 ∑ k = 0 n − 1 ( n + 1 k ) B k . {\displaystyle B_{0}=1,\quad {}B_{n}=-{1 \over n+1}\sum _{k=0}^{n-1}{n+1 \choose k}B_{k}.}

ここで、 ( n + 1 k ) {\displaystyle \left({n+1 \atop k}\right)} は二項係数である。

以下は、定義の漸化式を用いて、第 29 項までのベルヌーイ数の分子と分母を算出した結果である。また、オンライン整数列大辞典には10000項までの分母、分子がそれぞれ掲載されている。

分母
オンライン整数列大辞典の数列 A027642 リスト[2]

分子オンライン整数列大辞典の数列 A027641 リスト[3]

n分子分母n分子分母n分子分母
0111056620−174 611330
1−12110—210—
21612−6912 73022854 513138
30—130—230—
4−130147624−236 364 0912 730
50—150—250—
614216−3 617510268 553 1036
70—170—270—
8−1301843 86779828−23 749 461 029870
90—190—290—

ベルヌーイ数の漸化式は、上記の関数 f(x) = x/ex − 1 の逆数をテイラー展開し、その 2 つの積が 1 になることから導出できる。その漸化式は厳密な計算には有用であるが、n が大きくなると途中の式の値が非常に大きくなるため、浮動小数点数を使って計算する場合、精度が著しく悪くなる計算として知られている。

奇数番目のベルヌーイ数は B1 以外はすべて 0 であり、偶数番目は B0 を除いて正の数と負の数が交互に並ぶ。 ベルヌーイ数の第 3 項以降の奇数項が 0 となることは、 x/ex − 1 +1/2 x が偶関数であることから証明できる。
ベルヌーイ数の一般項

第2種スターリング数との関係から、次のようなベルヌーイ数の一般項を算出する公式が存在する。 B n = ∑ j = 0 n ( − 1 ) j j n ∑ m = j n 1 m + 1 ( m j ) . {\displaystyle B_{n}=\sum _{j=0}^{n}(-1)^{j}\,j^{n}\sum _{m=j}^{n}{\frac {1}{m+1}}{m \choose j}.}

この公式は、総和記号が二重になっているため、上に示した漸化式ほど手軽にベルヌーイ数を計算する公式ではない。
漸近的性質

ベルヌーイ数とリーマンゼータ関数の関係から、 B 2 n = ( − 1 ) n + 1 2 ( 2 n ) ! ( 2 π ) 2 n ( 1 + 1 2 2 n + 1 3 2 n + 1 4 2 n + ⋯ ) {\displaystyle B_{2n}=(-1)^{n+1}{\frac {2(2n)!}{(2\pi )^{2n}}}\left(1+{\frac {1}{2^{2n}}}+{\frac {1}{3^{2n}}}+{\frac {1}{4^{2n}}}+\dotsb \right)}

が成り立つ。従ってスターリングの公式から、n → ∞ のとき、 。 B 2 n 。 ∼ 4 π n ( n π e ) 2 n {\displaystyle |B_{2n}|\sim 4{\sqrt {\pi n}}\left({\frac {n}{\pi e}}\right)^{2n}}

が成り立つ。
ベルヌーイ数を用いた級数展開

ベルヌーイ数は、いくつかの双曲線関数と三角関数の級数展開における展開係数となる。 ベルヌーイ数を展開係数とする関数とそのローラン級数による表現を挙げる。 まず、余接関数 (cotangent) のローラン級数展開は次のようになる。 coth ⁡ z = 1 z + ∑ k = 1 ∞ 2 2 k B 2 k ( 2 k ) ! z 2 k − 1 , cot ⁡ z = 1 z + ∑ k = 1 ∞ ( − 1 ) k 2 2 k B 2 k ( 2 k ) ! z 2 k − 1 . {\displaystyle {\begin{aligned}\coth z&={\frac {1}{z}}+\sum _{k=1}^{\infty }{\frac {2^{2k}B_{2k}}{(2k)!}}z^{2k-1},\\\cot z&={\frac {1}{z}}+\sum _{k=1}^{\infty }(-1)^{k}{\frac {2^{2k}B_{2k}}{(2k)!}}z^{2k-1}.\end{aligned}}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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