ベスタ_(小惑星)
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ベスタ
(ヴェスタ)
4 Vesta

探査機ドーンが撮影したベスタ。南極にレアシルヴィアクレーターと中央丘が、また左上には"snowman"と呼ばれる3連クレーターが確認できる。
分類小惑星
軌道の種類小惑星帯
ベスタ族
発見
発見日1807年3月29日
発見者W. オルバース
軌道要素と性質
元期:2010年7月23日 (JD 2,455,400.5)
軌道長半径 (a)2.362 AU
近日点距離 (q)2.153 AU
遠日点距離 (Q)2.571 AU
離心率 (e)0.089
公転周期 (P)3.63
軌道傾斜角 (i)7.13
近日点引数 (ω)149.84 度
昇交点黄経 (Ω)103.91 度
平均近点角 (M)307.80 度
物理的性質
直径468.3 - 530 km
質量2.701 ×1020 kg
平均密度5.0 g/cm3
表面重力0.30 m/s2
脱出速度0.39 km/s
自転周期5.342 時間
スペクトル分類V
絶対等級 (H)3.20
光度係数 (G)0.32
アルベド(反射能)0.4228
表面温度~223 K
色指数 (B-V)0.782
色指数 (U-B)0.492
Template (ノート 解説) ■Project

ベスタ[1] またはヴェスタ[2] (4 Vesta) は、太陽系小惑星の一つ。1807年3月29日ドイツブレーメンヴィルヘルム・オルバースによって発見され、古代ローマ女神ウェスタにちなんで名付けられた。命名者はカール・フリードリヒ・ガウス
特徴ベスタ(青色)の軌道。赤色は惑星で、一番外側の軌道は木星。ベスタの内部構造。

ベスタの発見は1801年ケレス(2006年以降は準惑星)以来4例目であるが、以後1845年アストラエアが見つかるまで小惑星の発見は途絶えることとなる。ベスタの直径は468 - 530kmと、小惑星帯(メインベルト)では3番目の大きさであり、四大小惑星の一つに数えられる。ベスタの表面は他の小惑星に比べて格段に明るいため、条件さえそろえば小惑星の中では唯一、肉眼で見ることができる。また、ケレスなどとともにハッブル宇宙望遠鏡ケック望遠鏡により詳細な観測がなされている。さらに探査機ドーンによる観測(後述)により詳細な表面地形が知られるようになったが、これによりベスタでは準惑星の要件である静水圧平衡が成立していないことが判明した。

ベスタと他の小惑星を分ける特徴の一つとして、内部が分化している(地球のような層状構造を持つ)点が挙げられる。中心部にはニッケルからなるがあり、その外側にカンラン石からなるマントルを持つ。表面は溶岩流に起因する玄武岩からなり、かつて小規模ながら火山活動が存在したと考えられている。これらの特徴は、太陽系の歴史の初期においてベスタ内部が相当の熱量により融解していたためであると考えられる。

ベスタのような層状構造を持つ分化小惑星は、かつては複数存在していたと考えられており、このような小惑星が衝突などによって破壊されたことが、太陽系に存在する小惑星の組成の違いの原因になっていると考えられている。金属質の小惑星は、古代の分化小惑星の核に由来し、岩石質の小惑星はマントルや地殻に由来すると考えられる。

もっとも、ベスタも太陽系形成期の姿のまま残っているわけではないと考えられている。ハッブル宇宙望遠鏡による観測により、ベスタが形成してから10億年ほど経った時期に作られたと考えられる、直径460kmのクレーター、レアシルヴィア(Rheasilvia)が南極に発見されている(さらに、ドーンによりレアシルヴィアに隣接してさらに古いクレーター、ヴェネネイア(Veneneia、直径395km)も発見されている)。このクレーターが他の小さなV型小惑星の起源になっているかもしれないと考えられており、(1929) コッラー (Kollaa) や (3850) ペルチャー (Peltier) などの小惑星がそのような天体の候補として挙がっている。また、1931年にチュニジアに落下したタタフィン隕石 (Tatahouine meteorite)、2003年にモロッコアルジェリアの国境付近で発見されたNWA 1929隕石もベスタ起源だとされている。
探査ドーンが撮影したベスタの地表。「ドーン (探査機)」も参照

2011年7月、アメリカ合衆国探査機ドーンがベスタへ接近して画像を撮影しており、7月16日にベスタの周回軌道に投入された。ドーンは2012年9月まで約一年にわたりベスタの観測を行った。

ベスタには多数のクレーターと共に、赤道周辺の溝状の地形などが発見されており、現在画像の解析が進められている。

2014年7月に発表された解析結果によれば、ベスタのモホロビチッチ不連続面は80kmよりも深いと報告している[3]。(これまでは深さ30km程度と考えられていた)

2014年11月には、ベスタの詳細な地質マップがNASAから公開された[4]
地形

2013年2月現在、レア・シルウィアにちなむレアシルヴィア(すでに命名されている小惑星 (87) シルヴィアと区別するために結合されている)を含む53個のクレーターがウェスタの処女にちなみ命名されている。レアシルヴィアは高さ22kmの中央丘を持つ。ベスタの3つ連なったクレーターにはNASAにより"snowman"(雪だるま)というニックネームが付けられたが、そのうち最大のものには正式に「マルキア (Marcia)」と命名された。

クレーター以外のトロス(ドーム状の山)、平原、カテナ(鎖状に連なったクレーター)などの地形は古代ローマ時代の都市や祭典から命名された [1]。

なお、ハッブル宇宙望遠鏡で観測された暗色の地域には発見者にちなんで「オルバース地域(Olbers regio)」と仮命名されていたが、ドーンの観測ではそれらしき地形は観測できなかった。 ベスタの地形図
地形一覧
連鎖クレーター

ベスタの連鎖クレーターの名は、古代ローマの都市や祭日にちなみ命名されている。

地名由来
アルバロンガ連鎖クレーター (Albalonga Catena)アルバ・ロンガ
ロビガリア連鎖クレーター (Robigalia Catena)ロビガリア

クレーターベスタ南半球の地形図。巨大なレアシルヴィア・クレーターが半球の全域を覆っている。

ベスタのクレーターの名は、大半がウェスタの処女や古代ローマの貴婦人にちなみ命名されている。

地名由来
アコニア (Aconia)アコニア・ファビア・パウリナ
アエリア (Aelia)アエリア・オクラタ
アルバナ (Albana)アルバナ
アルビア (Albia)アルビア・ドミニカ


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