『ヘンリー四世 第2部』(ヘンリーよんせい だいにぶ、Henry IV, Part 2)は、ウィリアム・シェイクスピア作の歴史劇。1596年から1599年の間に書かれたと信じられている。シェイクスピアの第2四部作であるヘンリアド(『リチャード二世』『ヘンリー四世 第1部』『ヘンリー四世 第2部』『ヘンリー五世』)の3作目にあたる。 シェイクスピアが『ヘンリー四世 第2部』で主に材源としたのは、他の史劇同様、ラファエル・ホリンシェッド(Raphael Holinshed 1596年から1599年の間のいつかに書かれたと信じられている。書籍商アンドリュー・ワイズ(Andrew Wise
材源
創作年代とテキスト
出版前に「たびたび公演された」劇であることが四折版の表紙に書かれている。記録を見ると、1612年に王宮で『ヘンリー四世』2部作が上演されたとあるが、題名が『サー・ジョン・フォルスタッフ(Sir John Falstaff)』と『ホットスパー(Hotspur)』となっている。『フォルスタッフ 第2部(Second part of Falstaff)』と書かれてある記録は1619年の王宮での上演を指しているようである[2]。 「噂」が登場して口上を述べてから、劇が始まる。『ヘンリー四世 第1部』の続きで、シュルーズベリーの戦い
登場人物ヘンリー五世(ハル王子)若い女性を口説くフォルスタッフ(Eduard von Grutzner画、1884年)
噂(RUMOUR) - 口上役。
王ヘンリー四世(KING HENRY the Fourth)
ハル王子(HENRY, PRINCE OF WALES)、のちにヘンリー五世 - ヘンリー四世の子。
クラレンス公トマス(THOMAS, DUKE OF CLARENCE) - ヘンリー四世の子。
ランカスター公ジョン(PRINCE JOHN OF LANCASTER) - ヘンリー四世の子。
グロスター公ハンフリー(PRINCE HUMPHREY OF GLOUCESTER) - ヘンリー四世の子。
ウォリック伯(EARL OF WARWICK)
ウェストモーランド伯(EARL OF WESTMORELAND).
サリー伯(EARL OF SURREY)
ガワー(GOWER)
ハーコート(HARCOURT)
ブラント(BLUNT)
王座裁判所の首席裁判官(Lord Chief Justice of the King's Bench)
首席裁判官の従者(A Servant of the Chief-Justice)
ノーサンバランド伯(EARL OF NORTHUMBERLAND)
ヨーク大司教スクループ(SCROOP, ARCHBISHOP OF YORK)
モーブレー卿(LORD MOWBRAY)
ヘースティングス卿(LORD HASTINGS)
バードルフ卿(LORD BARDOLPH)
サー・ジョン・コルヴィル(SIR JOHN COLEVILLE)
トラヴァーズ(TRAVERS)とモートン(MORTON) - ノーサンバランドの家来。
サー・ジョン・フォルスタッフ(SIR JOHN FALSTAFF)
その小姓(His Page)
バードルフ(BARDOLPH)
ピストル(PISTOL)
ポインズ(POINS)
ピートー(PETO)
シャロー(SHALLOW)とサイレンス(SILENCE) - 地方判事。
デーヴィー(DAVY) - シャローの召使い。
モールディー(MOULDY)、シャドー(SHADOW)、ウォート(WART)、フィーブル(FEEBLE)、ブルカーフ(BULLCALF) - 新募集者。
ファング(FANG)とスネア(SNARE) - 警吏。
ノーサンバランド夫人(LADY NORTHUMBERLAND)
パーシー夫人(LADY PERCY)
クィックリー夫人(MISTRESS QUICKLY) - イーストチープのボアーズヘッド亭の女将。
ドル・ティアシート(DOLL TEARSHEET)
貴族たち、従者たち、Porter、給仕たち、Beadles、Grooms、他
踊り手(締め口上の語り手)
あらすじ
ロンドンに戻ったフォルスタッフは、居酒屋の女将クィックリー夫人や売春婦のドル・ティアシート相手に呑んで騒いでいる。第2の反乱が起きたので、徴兵しながら戦場に向かう。その途中、グロスタシャーで法学院時代の悪友だったシャロー判事と再会し、思い出話に花を咲かせる。
ヨークシャーのゴールトリーの森にいた反乱軍のところに、ランカスター公ジョンから和議の申し入れがあり、反乱軍はそれに応じる。しかし、首謀者たちは捕まり、ようやく反乱は終わる。
戦いには勝ったものの、ヘンリー四世は病気で倒れてしまう。心配だったハル王子とも和解して、安らかに死んでゆく。
フォルスタッフはハル王子が王に即位してヘンリー五世になったことを知り、褒賞を期待して、シャローを引き連れてロンドンに行く。しかし、生まれ変わったヘンリー五世はフォルスタッフを拒絶する。さらにフォルスタッフはこれまでの罪で監獄に連行される。
エピローグでは踊り手が現れ、締め口上を述べる。そこでヘンリー五世が主人公の続編の予告をする。フォルスタッフはフランスで発汗死する予定であると語られるが、完成した続編(『ヘンリー五世』)では変更されている。また、フォルスタッフはジョン・オールドカースルとは別人であることがわざわざ告げられる。 2012年にはBBCがテレビ映画シリーズ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』の一篇として製作した。 『ヘンリー四世 第2部』は『第1部』ほどの成功は収められなかったようである。ハル王子とフォルスタッフのからみが少ないのが、劇的ではないと批判されたのであろう。評論家の中には、シェイクスピアは続編を書くつもりはなく、さらに歴史的な出来事があまりないので、喜劇的なシーンを愚にもつかない「埋め草」にしたのだと言う者もいる。とはいえ、フォルスタッフとシャロー判事の場面は切ないようなエレジー的喜劇として称賛を受け、また、フォルスタッフがヘンリー五世から拒絶される場面も力のある場面とも言える。
映像化
評価
脚注^ a b Kastan, p.340
^ Halliday, F. E. A Shakespeare Companion 1564-1964. Baltimore, Penguin, 1964; p. 215.
参考文献
日本語訳テキスト
ヘンリー四世 第2部 - 坪内逍遥訳(新樹社、のち名著普及会)
ヘンリー四世 第二部 - 小田島雄志訳(「シェイクスピア全集」白水社 のち白水Uブックス)。解説:渡辺喜之
ヘンリー四世 - 福田恆存訳(新潮社「シェイクスピア全集」)
ヘンリー四世 第2部 - 中野好夫訳(岩波文庫)
ヘンリー四世 全二部 - 松岡和子訳(ちくま文庫「シェイクスピア全集24」)
外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースにヘンリー四世 第2部(英語原文)の原文があります。