ヘンリー六世_第3部
[Wikipedia|▼Menu]
「ファースト・フォリオ」(1623年)から『ヘンリー六世 第3部』の表紙の複写.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル 文学ポータル 舞台芸術

『ヘンリー六世 第3部』(ヘンリーろくせい だいさんぶ、The Third Part of King Henry the Sixth または Henry the Sixth, Part 3)は、ウィリアム・シェイクスピアの史劇で、1590年頃の作と信じられている。イングランド王ヘンリー六世の時代が舞台で、書かれた順番ははっきりしないが、『ヘンリー六世 第1部』、『ヘンリー六世 第2部』の続編で、シェイクスピアの代表作にして問題作の『リチャード三世』に繋がる作品である。

『ヘンリー六世』三部作の中では最も優れていて、感動的なドラマを作りあげるシェイクスピアの才能の証拠であると言われている。その中でも、特筆すべきは以下の場面である。

第1幕第4場 - 幼い息子の血で染まったハンカチで涙を拭えと言う残忍な王妃マーガレットに対するヨーク公の激しい非難(「O tiger's heart wrapp'd in a woman's hide!(おお、女の下に隠された虎の心!)」)。それに続く、マーガレットとクリフォード卿によるヨーク公への拷問のような罵りとその末の殺害。

第2幕第5場 - 戦争で我が子を殺した父と、その逆に父親を殺した息子の嘆きを耳にして、戦争の悲惨さと王の試練に苦悶するヘンリー六世。

第5幕第5場 - 復讐のため息子を目の前で惨殺された王妃マーガレットの悲痛さ。

第5幕第6場 - ヘンリー六世の劇的な最期。

第3幕第2場 - 上記のシリアスさとうってかわって、好色なエドワード四世が人妻を口説く滑稽なシーン。後のシェイクスピアのロマンティック・コメディを暗示させる。

前2作同様、『ヘンリー六世 第3部』は、ホールやホリンシェッドの年代記といった歴史的文献を元にしているが(詳細は後述)、ドラマのために事件を潤色・圧縮・変更している。とくにのちのリチャード3世、グロスター公リチャードは歴史を歪め、劇的に、奇怪なマキャヴェリストとして、歴史上の人物あるいは人間というよりも歴史のメカニズムの代弁者として描いている。さらにリチャードは劇の登場人物ならしめるために実際の年齢より相当加齢させているが、これはルネサンス期の史劇ではよくあることだった。
材源

シェイクスピアが『ヘンリー六世 第3部』で主に材源にしたのは、ラファエル・ホリンシェッド(Raphael Holinshed)の『年代記(Chronicles)』(1587年出版の第2版)で、それが劇に「terminus ad quem(目標)」を与えた。エドワード・ホール(Edward Hall)の『ランカスター、ヨーク両名家の統一(The Union of the Two Illustrious Families of Lancaster and York)』(1542年)も参考にしたようで、研究者たちは他にも、サミュエル・ダニエル(Samuel Daniel)の薔薇戦争を題材としたにシェイクスピアは通じていたのではと示唆している。
創作年代とテキスト

シェイクスピアの初期の作品の一つで、(三部作の他の2作とともに)1590年頃に書かれた。1595年に『ヨーク公リチャードの実話悲劇、そして良王ヘンリー六世の死(The true Tragedie of Richard Duke of Yorke, and the death of good King Henrie the Sixt)』として出版された[1]。この時のテキストは1600年1619年に再版されたが(1619年版はウィリアム・ジャガード(William Jaggard)の「フォールス・フォリオ」に収められたもの)、「ファースト・フォリオ」(1623年)との関連性は研究者たちの間で諸説ある。19世紀には、『ヨーク公リチャードの実話悲劇』はシェイクスピアが『ヘンリー六世 第3部』の元にした作者不明の劇と見る傾向があり、何人かの研究者たちはその作者に、トマス・ロッジ(Thomas Lodge)やジョージ・ピール(George Peele)のような有名劇作家の名前を挙げさえもした[2]1929年にピーター・アレグザンダーが、このテキストはオリジナルを書き留めたか、記憶を頼りに再現した「悪い四折版(Bad quarto)」であると主張して、それが現代の批評家たちの意見となっている。
上演史

『ヘンリー六世 第3部』が1592年の時点で上演されていたことは、その年にロバート・グリーンがパンフレット『A Groatsworth of Wit』でこの劇のパロディを書いていることから間違いない。1595年版の表紙には、それまでに「何回か上演された」と書かれている。

2016年には、第2部と合わせてBBCがテレビ映画シリーズ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』の一篇として製作した。
登場人物エドワード四世

ヘンリー六世(King Henry VI)

皇太子エドワード(Edward, Prince of Wales) - ヘンリー六世の息子。

フランス王(King of France)

サマセット公(Duke of Somerset)

エクセター公(Duke of Exeter)

オックスフォード伯(Earl of Oxford)

ノーサンバランド伯(Earl of Northumberland)

ウェストモーランド伯(英語版)(Earl of Westmorland)- 初代ウェストモーランド伯の孫。

クリフォード卿(Lord Clifford)

ヨーク公(Duke of York)- 妻は、初代ウェストモーランド伯の娘セシリー・ネヴィル

マーチ伯エドワード(Edward, Earl of March)のちに王エドワード四世(King Edward IV) - ヨーク公の息子。

ラットランド伯エドムンド(Edmund, Earl of Rutland) - ヨーク公の息子。

クラレンス公ジョージ(George, Duke of Clarence)) - ヨーク公の息子。

グロスター公リチャード(Richard, Duke of Gloucester) - ヨーク公の息子。のちのイングランド王リチャード三世。

ノーフォーク公(Duke of Norfolk)

モンターギュ侯(Marquess of Montagu)

ウォリック伯(Earl of Warwick)

ペンブルック伯(Earl of Pembroke)

ヘイスティングス卿(Lord Hastings)

スタフォード卿(Lord Stafford)

サー・ジョン・モーティマー(Sir John Mortimer) - ヨーク公の叔父。

サー・ヒュー・モーティマー(Sir Hugh Mortimer) - ヨーク公の叔父。

リッチモンド伯ヘンリー(Henry, Earl of Richmond) - のちのイングランド王ヘンリー七世。

リヴァーズ卿(Lord Rivers) - レディ・グレーの弟。

サー・ウィリアム・スタンレー(Sir William Stanley)

サー・ジョン・モンゴメリー(Sir John Montgomery)

サー・ジョン・サマーヴィル(Sir John Somerville)

ラットランドのチューター(Tutor to Rutland)

ヨーク市長(Mayor of York)

コヴェントリー市長(Mayor of Coventry)

ロンドン塔の長官代理(Lieutenant of the Tower)

貴族(Nobleman)

2人の森番(Two Keepers)

猟師(Huntsman)

自分の父親を殺した息子(Son that has killed his father)

自分の息子を殺した父親(Father that has killed his son)

王妃マーガレット(Queen Margaret)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef