ヘビトンボ
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ヘビトンボ
Protohermes grandis
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
:昆虫綱 Insecta
上目:アミメカゲロウ上目(脈翅上目) Neuropterida
:ヘビトンボ目(広翅目) Megaloptera
:ヘビトンボ科 Corydalidae
亜科:ヘビトンボ亜科 Neurominae
:ヘビトンボ属 Protohermes
:ヘビトンボ P. grandis

学名
Protohermes grandis
Thunberg, 1781
和名
ヘビトンボ(蛇蜻蛉)
Corydalus cornutus

ヘビトンボ(蛇蜻蛉、Protohermes grandis)はヘビトンボ目(広翅目)ヘビトンボ科に分類される昆虫の一種。ヘビトンボ科の昆虫を総称してヘビトンボと言うこともあるが、その場合は「ヘビトンボ類」の意である。目次

1 分布

2 特徴

3 生活史

4 利用

5 ギャラリー

6 日本のヘビトンボ科

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

分布

日本(北海道、本州、四国、九州--対馬・屋久島・種子島を含む)[1]、中国、韓国、台湾[2]、タイ。
特徴

成虫は体長40mm、羽を広げた左右の長さ100mmと、この類では大柄な昆虫である。ナラ類などの広葉樹樹液を主食とする。乳白色のをもつ。体に比べて大きな翅である点はカゲロウに似た昆虫で、大あごが大きく噛み付く力も強い。単眼の基部は黒い。和名の蛇蜻蛉という名前の由来は、大顎で噛みつく習性を蛇に準えて付けたものである。

幼虫は渓流にすむ水生昆虫で、体は細長く、頭部は頑丈で顎が強く発達する。腹部には体節ごとに一対の鰓足がでる。
生活史

幼虫は一般に、清浄な河川の中流域より上流に生息することから、カワゲラ目トビケラ目等に属する多くの種と同様、清冽な水質の指標生物の一つである。強い肉食性で、この幼虫が一匹いると、周囲から他の水生昆虫がいなくなるともいわれ、その姿から川ムカデなどとも呼ばれる。噛み付かれるとふくれあがってしまうほどの威力があるが、ムカデのようなは持たない。蛹化に際しては陸上に這い登り、岸部の石の下などに潜り込んでとなる。尚、蛹にも大顎が発達し、蛹をいくつか一緒にしておくと、仲間同士で噛みあって殺し合う習性があるといわれる。

成虫は灯火にもよく飛来する。
利用

幼虫は古くから孫太郎虫(まごたろうむし)などと呼ばれ、子供のに効く民間薬になる。かつては宮城県白石市の斎川の特産とされ、江戸時代に土地の人はこれを炙って酒肴にしたという[3]。1930年代までも「奥州斎川名産孫太郎」の触れ声で行商されていた[4]

また、長野県伊那市付近では、幼虫を珍味のざざむしの一種として食用とする。
ギャラリー

ヘビトンボの成虫

ヘビトンボの成虫

斎川の孫太郎虫供養碑

日本のヘビトンボ科 タイリククロスジヘビトンボの幼虫

ヘビトンボ科の昆虫を総称して「ヘビトンボ」と言うこともある。日本に産するとされるヘビトンボ科は以下のとおり[1][5]

クロスジヘビトンボ亜科 Chauliodinae

モンヘビトンボ属 Neochauliodes van der Weele, 1909

ヤエヤマヘビトンボ Neochauliodes azumai Asahina, 1988石垣島西表島の固有種

モンヘビトンボ Neochauliodes sinensis (Walker, 1853)対馬、石垣島、西表島、朝鮮半島[6]、台湾、中国、東南アジア 


クロスジヘビトンボ属 Parachauliodes van der Weele, 1909

タイリククロスジヘビトンボ Parachauliodes continentalis van der Weele,1909本州、四国、九州、対馬、韓国

ヤマトクロスジヘビトンボ Parachauliodes japonicus (MacLachlan, 1867)本州、四国、九州、奄美、沖縄本島、石垣島、西表島、台湾

ヤンバルヘビトンボ Parachauliodes yanbaru Asahina, 1987沖縄本島北部の固有種



ヘビトンボ亜科 Corydalinae

ヘビトンボ属 Protohermes van der Weele, 1907

ヘビトンボ Protohermes grandis (Thunberg, 1781)日本(北海道、本州、四国、九州--対馬・屋久島・種子島を含む--)[1]、中国、韓国、台湾[2][7]

アマミヘビトンボ Protohermes immaculatus Kuwayama, 1964奄美大島、徳之島、久米島

ミナミヘビトンボ Protohermes sp.石垣島・西表島の固有種(石垣では産地は極限)。台湾?中国?インド東北部に分布するヒメヘビトンボ Protohermes costalis (Walker, 1853)に近縁とされる未記載種。



脚注

[脚注の使い方]
^ a b c 林文男 (2005) ヘビトンボ目(広翅目) Megaloptera pp.379-386. in 川合禎次・谷田一三(編著)『日本産水生昆虫』 東海大学出版会 ISBN 4-486-01572-X
^ a b 石原保・関本茂行 (2008) 1375?1429. p.237 in 朝比奈正二郎ほか旧版監修『新訂原色昆虫大図鑑 第3巻』北隆館 ISBN 978-4-8326-0827-6
^ 『封内土産考』(『仙台叢書』第3巻438-439頁)は、大人でも食うべきではない、稀に食べて病む人がいる、毒があるのではないか、とけなしている。どこにでもいる虫だが他では食べないとのことである。
^ 山本金次郎編『宮城県名勝地誌』88頁。
^ 林文男 (2003) ヘビトンボ目(広翅目) Megaloptera pp.366-368. in 西島信昇(監修)西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充(編著)『琉球列島の陸水生物』 東海大学出版会 ISBN 4-486-01599-1
^ 林文男(2003)
^ 九大

参考文献

『封内土産考
』、1798年(寛政10年)頃。鈴木省三・編『仙台叢書』第3巻、仙台叢書刊行会、1923年に収録。

今森光彦 『水辺の昆虫』 山と溪谷社〈ヤマケイポケットガイド〉、2000年、ISBN 4-635-06228-7

木野田君公 『札幌の昆虫』 北海道大学出版会、2006年、ISBN 4-8329-1391-3

山本金次郎・編『宮城県名勝地誌』、宮城県教育会、1931年。

関連項目

ウィキスピーシーズにヘビトンボに関する情報があります。

ウィキメディア・コモンズには、ヘビトンボに関連するメディアがあります。


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