ヘキサクロロフェン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
2,2'-methylenebis(3,4,6-trichlorophenol)-3,4,6-trichloro-2-[(2,3,5-trichloro-6-hydroxyphenyl)methyl]phenol
臨床データ
販売名pHisoHex, Gamophen, Septisol, Turgex, Germa-Medica, Hexachlorophane, Almederm
法的規制
US: ?-only for human use
Rx-only for human use
識別
CAS番号
70-30-4
ヘキサクロロフェン(Hexachlorophene)、別名ナバック(Nabac)は、有機塩素化合物の一種である。白色無臭の固体であるが、市販されている物はオフホワイトで、わずかにフェノール臭を持つことがある。水には溶けないが、アセトン、エタノール、ジエチルエーテル、クロロホルムには溶ける。かつては消毒剤として広く使用されていた。医薬分野では、外用の抗感染症剤や抗菌剤として、石鹸や歯磨き粉などに使用されている。また、農業分野では、土壌殺菌剤、植物抗菌薬、ダニ駆除薬(英語版)として使用されている[1]。 1972年、フランスで"Bebe"というブランドのベビーパウダーにより39人の乳児が死亡した。また、数百人の乳児が中枢神経系に大きなダメージを受けた。Bebeブランドのベビーパウダーには、製造時に誤ってヘキサクロロフェンが6%添加されていた。この事故をきっかけに、世界中の消費財からヘキサクロロフェンが排除されることになった[2][3]。 1972年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、ヘキサクロロフェンを1%以上含む製品の製造・販売を禁止した[4]。それ以降、ヘキサクロロフェンを含む製品のほとんどは、医師の処方箋がなければ入手できなくなった[5]。この規制は、ヘキサクロロフェンによる脳障害でアメリカで15人、フランスで39人の死亡例が報告されたことを受けて制定された[6]。 ヘキサクロロフェンを配合した市販製剤を製造していた企業がいくつかあった。そのうちの一つであるメネン
市場からの排除
フランス
アメリカ合衆国
ヘキサクロロフェンを使用した2つの市販製剤、ペーハーアイソデーム(英語版)(pHisoDerm)とペーハーアイソヘックス(pHisoHex)は、ニキビ治療用の抗菌性皮膚洗浄剤として広く使用されていた。ペーハーアイソデームは、ペーハーアイソヘックスの有効成分にアレルギーがある人のために開発された。禁止命令以降、ペーハーアイソデームはヘキサクロロフェンを含まないように改良されて、市販が継続された。1972年の規制値の3倍である3%のヘキサクロロフェンを含んでいたペーハーアイソヘックスは、購入に処方箋が必要なボディソープとして販売された[6]。ペーハーアイソヘックスは、ヨーロッパでは1980年代まで市販されていた。ペーハーアイソヘックスはサノフィ・アベンティス社が独占的に製造していたが、ペーハーアイソデームのブランドはメンソレータム社に買収された。サノフィ・アベンティス社は、2013年9月に全てのペーハーアイソヘックス製品の生産を中止した[7]。トリクロサンなどの代替品が開発されたが、ヘキサクロロフェンのような殺菌力を持つものはなかった。
ダイヤル石鹸(英語版)は、ヘキサクロロフェンを含まないように処方を変更した[5]。
ヘキサクロロフェンが一時含まれていた[8]ブリストル・マイヤーズ社の歯磨き粉ブランド「アイパナ(英語版)」は、製造が中止された。 ドイツでは、1985年からヘキサクロロフェンを含む化粧品が禁止されている。 オーストリアでは、1990年からヘキサクロロフェンを含む医薬品の販売が禁止されている[9]。 ヘキサクロロフェンは、2,4,5-トリクロロフェノール
ドイツ
オーストリア
製造