ヘカテー
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この項目では、ギリシア神話の女神について説明しています。

ウルトラQ dark fantasy』に登場する月の魔人については「ウルトラQ dark fantasyの登場怪獣#月の魔人 ヘカテ」をご覧ください。

灼眼のシャナ』の登場人物“頂の座”ヘカテーについては「灼眼のシャナの登場人物#ヘカテー」をご覧ください。

ヘカテー
?κ?τη
月と魔術、豊穣、浄めと贖罪、出産の女神
ウィリアム・ブレイク1795年絵画『ヘカテー』。テート・ブリテン所蔵。
位置づけティーターン
住処冥界
シンボル松明, , , 牝馬,
ペルセース, アステリアー
ローマ神話トリウィア
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ヘカテー(古代ギリシャ語: ?κ?τη, Hekat?)は、ギリシア神話女神である。ヘカテイアとも呼ばれる[1]日本では長音を省略してヘカテとも表記される[2]

「ヘカテー」は、古代ギリシア語で太陽神アポローンの別名であるヘカトス(?κατ??, Hekatos「遠くにまで力の及ぶ者」、または「遠くへ矢を射る者」。陽光の比喩)の女性形であるとも、古代ギリシア語で「意思」を意味するとも(ヘーシオドスの用法より)言われている[3]。また、エジプト神話の多産・復活の女神ヘケトに由来するとも言われている[4][5]

「死の女神」、「女魔術師の保護者」、「霊の先導者」、「ラミアーの母」、「死者達の王女」、「無敵の女王」等の別名で呼ばれた[6][7]。「ソーテイラー(救世主)」の称号でも呼ばれる[8][9]。また、江戸時代日本の文献では「ヘカッテ」と表記された[10]

古代ローマにおいてはトリウィア(Trivia、「十字路の」の意)という形容語を付けて呼ばれた[11]

トリカブト牝馬(不死の象徴)[12]松明(月光の象徴)[12]ナイフ(助産術の象徴)[12]、窪みのある自然石[13]等がヘカテーの象徴とされる。
古代ギリシア以前

元はアナトリア半島カーリア[2]トラーキアで信仰された女神で、それらを通じてギリシアに入ってきたと考えられている[14]
古代ギリシア3面3体の姿をしたヘカテーの像(キアラモンティ美術館所蔵)

ペルセースアステリアーの娘で(そのため、「ペルセースの娘」を意味する「ペルセーイス」とも呼ばれる[15]ティーターン神族の血族に属する(他にもコイオスポイベーゼウスデーメーテールの娘という説もある)。狩りの女神アルテミスの従姉妹。月と魔術、豊穣、幻や幽霊[16]、夜と暗闇[17]、浄めと贖罪[7]、出産[12]を司るとされる。冥府神の一柱であり、その地位はハーデースペルセポネーに次ぐと言われる[18]

ヘーシオドスの『神統記[注釈 1]では、ゼウスによって海洋地上天界で自由に活動できる権能を与えられているとされ、人間にあらゆる分野での成功を与え[15]、神々に祈る際には先にヘカテーに祈りを捧げておけば御利益が増すとまで書かれており、絶賛されている。これはヘーシオドスの故郷であるボイオーティアにおいて、ヘカテーの信仰が盛んであったためと考えられている[2]。そして、ヘカテーはホメーロスの著作には一切登場しない[2]

同じ地母神にして冥府神でもあるペルセポネーやデーメーテールとの関係からか、ハーデースによるペルセポネー誘拐の話に登場し、デーメーテールにハーデースがペルセポネーを連れ去ったことを伝えている(ここでは同じくペルセポネーの行方を尋ねられた太陽神ヘーリオスと対になっており、ヘカテーの月の女神としての性格が強調されているとも言える[14])。また、ヘーラクレース誕生の際にトカゲ(またはイタチ)に変えられてしまったガランティスを憐れみ、自分の召使の聖獣としている[21]。さらにギガントマキアーにも参加しており、ギガースの1人クリュティオス松明で倒している[注釈 2]アルゴナウタイ(アルゴナウテースたち)の物語では、コルキス(現在のジョージア西部)の守護神とされ、王女メーデイアにあつく信奉されており、メーデイアとイアーソーンはヘカテーを呼び出してその助力により魔術を行っている。『変身物語』ではキルケーピークスの従者達を動物に変えた際に、ヘカテーに祈願して魔術を行っている[22]。ヘーシオドスの『名婦列伝』では、イーピゲネイアが生贄として殺されようとした際にアルテミスに救い出されて神となり、ヘカテーと同一になったとされている[23][24]

後代には、3つの体を持ち、松明を持って地獄の犬を連れており、夜の十字路や三叉路に現れると考えられるようになった[15][7]。十字路や三叉路のような交差点は神々や精霊が訪れる特殊な場所だと考えられ、古代人は交差点で集会を開き神々を傍聴人とした[25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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