プロリーグ構想_(バレーボール)
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プロリーグ構想 (プロリーグこうそう)とは、実業団などのアマチュアスポーツリーグ (バレーボール等) をプロ化する構想。このページでは、日本のバレーボールのプロリーグ構想について記述する。
概要

日本のバレーボールで初めてプロリーグ化が検討されたのは1994年。前年にサッカーJリーグが開幕し、爆発的な人気を得ていた時期である。当時の日本のバレーボールは、1984年のロサンゼルス五輪で女子が銅メダルを獲得したのを最後に国際大会のメダルから遠ざかり、人気も低下していった。こうした流れの中、バレーボールもまたプロ化を視野に入れた新リーグ構想が検討された。

これまで数度のプロリーグ構想が浮かんでいるが、最終的にプロアマ混合もしくはアマチュア主体のリーグへの再編に留まっている。
Vリーグ(1994年)
Vリーグ発足

1994年6月6日に「21世紀に向けたバレー改革案」と題したプロ化構想が発表され、『プロ契約選手の承認』、『外国人選手の復活』、『プロチーム(株式会社化クラブ)チーム参加の承認』が掲げられた。12月にスタートする新シーズンから日本リーグをVリーグと改称し、世界選手権が開催される4年後の1998年には完全プロ化を目指すとの構想だった。

1994年12月17日にVリーグは開幕した。しかし結局、日本人プロ選手は誕生せず、プロチームも結成されなかった。興行権も依然として協会が持ち、プロ化に向けての大前提となるはずだったホームアンドアウェー制は採用されなかった。

リーグのマーチャンダイジング関連会社と肖像権関連会社も設立される予定だったが、見送られた。参加企業もプロ化には消極的で、また協会自体のビジョンも決してJリーグのような明確なものがあったわけではなく、ずさんな「プロ化」宣言でしかなかった。

結局参加企業の賛同を得られないまま、松平康隆会長が退任した後の1996年9月27日、プロ化の凍結が決定、事実上の断念宣言となった。
プロチーム(株式会社チーム)誕生

1998年4月、廃部が決まっていた女子チームのダイエーオレンジアタッカーズが、プロ化(株式会社化)して存続させることを発表。しかし株式会社化は結局実現できず、ダイエー系列の広告会社の運営という形で存続。翌5月にプロチームとして、Vリーグへの残留が認められた。選手も全員がプロ契約し、肖像権も協会でなくチームまたは選手が持ち、複数のダイエー関連会社の支援というコンセプトだったが、地元神戸への地域密着活動も充分ではなく、結局2年で活動を断念、久光製薬へ事業譲渡(現・久光スプリングス)する形となった。

1999年6月、廃部となった女子チームの東芝シーガルズを母体に、大阪のアイ電気通信社を中心とする関西・北陸の十六社がチーム運営会社「株式会社ウォーク」を設立し、日本バレーボール界初のクラブチーム・シーガルズが誕生した(クラブチームと称しているが、選手がバレーボールに専念しているという意味で、実質プロチームと言える)。本拠地は富山県黒部市に置いた。しかし、地域密着のコンセプトがはっきりしないまま、2001年10月には国体対策として岡山県に移転し、2006年4月には「岡山シーガルズ」と改称。県、市、地元企業の支援を受けながら、バレーボール教室の開催や地域イベント・メディアへの露出を活発にする等、より地域に密着した活動を目指す。

2000年12月、男子チームの新日鉄ブレイザーズが法人化。株式会社ブレイザーズスポーツクラブが設立され、男子初のプロチーム・堺ブレイザーズが誕生した。こちらも積極的に地域密着活動を行い、Jリーグ的運営を目指す。

2001年1月には東京教員クラブを引き継ぎ東京ヴェルディバレーボールチーム(株式会社日本テレビフットボールクラブ[1]が運営)、2003年4月、東京ガスバレー部を引き継ぎFC東京バレーボールチーム(株式会社東京フットボールクラブが運営)が誕生。この2チームはいずれも東京都をホームタウンとするJリーグチームの運営会社が既存のクラブチーム・実業団チームを引き継いだ形となっている。

2011年8月、四国Eighty 8 Queenが本拠地移転に伴い、運営会社として ⇒株式会社トゥエルヴを設立している。

現在、つくばユナイテッドSun GAIAも株式会社化を検討している。
リーグ法人化

2003年、将来のプロ化を前提としたVリーグの法人化が検討され、日本協会内部組織としてVリーグ機構が発足した。また同年から一部の試合でホームゲーム方式が導入された。従来、集客は開催地を所管する都道府県協会に任され、チームへの還元はなかったが、ホームゲームをチームが主催すれば、集客に努力をすればするほど収益が上がる仕組みが出来上がった。※2008年現在ホームゲームはまだ一部で完全ホームアンドアウェー制は実現していない。

2005年9月、協会内部組織であったVリーグ機構が独立し、有限責任中間法人日本バレーボールリーグ機構が発足した。上位チームは韓国VリーグとのVリーグ日韓交流戦や、全日本チームとの兼ね合いなどからこれまで出場を見合わせてきたAVCアジアクラブ選手権にも出場するようになる。

2006年、Vリーグの下部組織であるV1リーグに参加するチームが、Vリーグ機構に加入した事に伴い、リーグ名がプレミアリーグとなった。また同時にV1リーグもチャレンジリーグに改称されている。
V.LEAGUE(2018年)
未来構想の公表

2016年9月20日、Vリーグ機構は「Vリーグの未来構想」と題し、2018年度を目途に新リーグを創設しプロ化を目指すと発表した[2]。2016年11月30日を参入手続き期限と定め、参入希望を募った。

しかし、特に実業団チームにおいて検討する時間が短すぎるとの意見を踏まえ、予定された期限の直前となる11月29日にその期限を年末まで延期し、条件も緩和した[3]

2016年11月29日時点での構想としては以下の通り[4][5]

リーグ名は「スーパーリーグ(仮称)」。

参入条件

独立した法人、または法人内にて事業部を設置。

ただし、事業部長はバレーボール事業を社業のひとつとして統括できる人物に限る。


チーム名にはホームタウンの地域名を義務付ける。なお、母体企業名は任意で可。

若年層チーム及び常設スクールの設置。


チーム数は6 - 12。

チーム数によっては東西ブロックを検討する。

参加チームが必要最小数に満たない場合は開催を見送る。


選手

契約形態(プロフェッショナルか否か)は不問。

日本国籍保持者18名、外国籍1名。ただしAVC加盟国国籍保持者は別途1名可。


監督はプロフェッショナル指導者でなくてはならない。

完全ホームアンドアウェー方式。

ホーム16試合のうち14試合を本拠地(1stホーム)か準ずる会場(2ndホーム)で開催。残る2試合は第3地域(本拠地外)も可。

発足5年間は8試合を第3地域も可。


ホームゲームの80%以上は3,000人以上収容の会場で行う

当初発表は3,500人以上収容だった。



プレミアリーグ・チャレンジリーグI・IIは参入に至らなかったチームで継続。プレミアリーグとの入れ替え戦は行わない。

11月18日時点では女子については7チーム、男子も5チームが参入に前向きに検討していることが報道されている[6]

しかし、参加表明に踏み切れないプレミアリーグ全チームから条件緩和を求める要望書が提出されたため、機構は締切を2017年4月末まで延期することを明らかにした[7]
スーパーリーグの公式発表

2017年5月31日、Vリーグ機構は2018-19シーズンをめどに「スーパーリーグ」を正式発足させることを発表した。体としては完全なプロ化ではなく、企業主体の現行のVプレミア・チャレンジリーグを発展させる「S1」「S2」「S3」(S3は当面男子のみ)の3部リーグ構成を計画しており、試合の運営・主管権利を現在のVリーグ機構から各参加クラブが保有し、将来的に完全ホームアンドアウェーを採用すること、企業チームだけでなく、地域のクラブチームなど将来のプロ化を念頭に置くチームにも門戸を開放し、事実上相乗りできる形式をとった。

現在のVリーグはホームタウンマッチと呼ばれる、各クラブそれぞれの本拠地の自治体で開催する試合が少なく、多くは都道府県のバレーボール協会を通した売り興行である。スーパーリーグは試合の運営権を各クラブが保有することによって、ホームゲームの開催日や各種演出などを各クラブが行えるようにするなどしている。現在のプレミアリーグの参加クラブは男女とも8ずつであるが、これを、男子は10クラブ、女子は12クラブに広げるとともに、女子は2ブロック(東西2地区制が有力)のカンファレンス制に分けて、グループステージを交流戦を含めて開催する予定となっている。外国人枠については、アジアバレーボール連盟枠の導入も含めて検討する。

またJリーグJリーグクラブライセンス制度BリーグBリーグクラブライセンスを参考としたスーパーリーグライセンス制度を導入し、S1の場合は3000人以上、S2は1500人以上、S3は750人以上それぞれ収容のホームコート(体育館)を保有すること、S1の場合は男子は3回戦総当たり27試合、女子は同一グループ間で3回戦総当たり15試合+交流戦1回戦総当たり6試合の21試合をレギュラーシーズンとして行い、その後レギュラーシーズン上位チーム(男子6、女子8)による2次リーグ「ファイナル6or8」→2次リーグ成績上位3チームによる3次リーグ「ファイナル3」→上位2チームによる優勝決定戦「ファイナル」(現行プレミアリーグではファイナル3はトーナメント方式となっているが、これをファイナル3を総当たりにして、その上位2チームが優勝決定戦を行う)という流れで優勝を決定する。


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