プログレス補給船
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プログレス補給船
Progress

プログレスM1補給船
詳細
目的:宇宙ステーションへの補給
乗員: 有人または無人
※ 有人は軌道上での移乗のみ
(有人での打上げは不可)
諸元
高さ:7.23 m
直径:2.72 m
ペイロード:2,350 kg
能力
持続性:宇宙ステーションと6か月間ドッキング可能

プログレス補給船(プログレスほきゅうせん、ロシア語: Прогресс プラグリェース、英語: Progress)は、宇宙ステーションへの補給に用いられるロシアの使い捨て無人貨物輸送宇宙船である。
概要[ソースを編集]

貨物船であるプログレスは飛行中は無人であるが、宇宙ステーションへのドッキング後は宇宙飛行士が中に入ることが出来るので、製造しているRKKエネルギア社では「有人」に分類している[1][2][3]ソユーズ宇宙船に由来し、ソユーズ打ち上げロケットで発射される。2023年現在は国際宇宙ステーション(ISS)への補給に使用されているが、元々はロシアの宇宙ステーションへの補給に使われていた。プログレスによるISSへの補給は、年に3 - 4回行なわれている。各補給船は、次の補給船が到着する直前まで、廃棄物収納とリブーストのためドッキングしたままである。その後、ISSでのゴミが積込まれ、分離されて軌道を離脱し、大気圏で大半が燃え尽きる。

プログレスは、サリュート6号7号)、ミールISSの4つの宇宙ステーションに燃料やその他補給品を運搬して来た。長期宇宙ミッションには、常に物資補給が必要という認識から、プログレスのアイデアが生まれた。宇宙飛行士1人が1日につき30 kgの消耗品を必要とすることが分かり、これは6か月滞在では5.4 tに達する。これだけの量の物資と乗員を、ソユーズの小さなスペースに一緒に積み込んで打ち上げることはとても無理だった。
設計[ソースを編集]

プログレスは、ソユーズとほぼ同形状・同サイズで、3つのモジュールで構成されている。
与圧された前部モジュール
ここには、乗員のための補給品(科学機器・衣服・パック詰めされた新鮮な食料・家族からの手紙など)が積み込まれている。ドッキング・ドローグはソユーズのものに類似しているが、UDMH燃料とN2O4酸化剤配管を有する。
燃料区画
ソユーズの再突入モジュールは、非与圧の推進剤および燃料補給区画に置き換えられた。配管は宇宙船の外側に取り付けられているが、これは、漏れが発生したとしてもステーション内に有毒ガスが流入しないための処置である。燃料は2つのタンクで運搬される。
推進モジュール
推進モジュールは宇宙船後部にそのままあり、自動ドッキング時に使用される姿勢制御エンジンも搭載されている。ドッキング後には、ステーション軌道を押し上げるために使用される場合もある。

プログレスは無人・使い捨てとして設計されたため、重量軽減が可能であった。このため巨大な生命維持装置や耐熱シールドが不要である。また、各モジュールを分離する機能も無い。ステーションから離脱した後は、逆推進ロケットを噴射して大気圏で燃え尽きる。
バージョン[ソースを編集]

飛行の度に数多くの小さな改良が実施され、大きな改良では名前が変更された。
プログレス[ソースを編集]

プログレスの名前で42機の宇宙船が作られ、最後に打上げられたのは1990年5月である。

貨物船設計を担当したのは、TsKBEM(現・RKKエネルギア社)である。1973年中頃より設計が始まり、プログレスには暗号的な識別番号11F615A15が与えられた。1974年2月までには設計が完了、1977年11月には最初の量産機打上げ準備が整った。1978年1月20日に、ソユーズと同じロケットでプログレス1が打上げられた。空気力学的な理由からソユーズと同じシュラウド(保護用覆い)が装備されたが、緊急脱出システムは機能停止されていた。

このプログレス最初のバージョンは、機体重量が7,020 kgあり、貨物として2,300 kg、即ち機体の30 %の貨物を運搬することが出来た。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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