この項目では、地球の表面が岩盤で構成されている説を記述しています。マントルの対流運動を説明する「プルームテクトニクス」とは異なります。
地球科学の未解決問題なぜ、太陽系の天体で地球にのみプレートテクトニクスがみられるのか?プレート運動はどのようにして始まったのか?
現在の主要なプレート15個(過去のプレートも含めた詳細はプレートを参照の事)日本列島周辺のプレートの模式図
プレートテクトニクス(英: plate tectonics)は、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説。地球の表面が、右図に示したような何枚かの固い岩盤(「プレート」と呼ぶ)で構成されており、このプレートが互いに動くことで大陸移動などが引き起こされると説明される。従来の大陸移動説・マントル対流説・海洋底拡大説など基礎として、「プレート」という概念を用いることでさらに体系化した理論で、地球科学において一大転換をもたらした[1]。プレート理論とも呼ばれる。
プレートとは地球の内部構造 薄い地殻の下に上部マントルと下部マントルがあり、中心部の白っぽい部分は核。プレートは地殻と上部マントルの最上部が一体となった岩板地球内部の構造詳細は「プレート」および「地球#構造」を参照
地球は、半径約6,400キロメートルであるが、その内部構造を物質的に分類すると、外から順に下記のようになる[2]。
深さ約5 - 40キロメートルまで : 地殻
深さ約670キロメートルまで : 上部マントル - 最上層、低速度層(アセノスフェア、岩流圏)、遷移層
深さ約2,900キロメートルまで : 下部マントル - メソスフェア(固い岩石の層)
深さ約5,100キロメートルまで : 外核(外部コア)
中心 : 内核(内部コア)
地殻とマントルは岩石で構成されており、核は金属質である。マントルを構成する岩石は、地震波に対しては固体として振舞うが、長い時間単位で見れば流動性を有する。その流動性は、深さによって著しく変化し、上部マントルの最上部(深さ約100キロメートルまで)は固くてほとんど流れず、約100 - 400キロメートルまでの間は比較的流動性がある。地殻と上部マントル上端の固い部分を合わせてリソスフェア(岩石圏)と呼び、その下の流動性のある部分をアセノスフェア(岩流圏)と呼んで分類する。この厚さ約100キロメートルの固いリソスフェアが地表を覆っているわけであるが、リソスフェアはいくつかの「プレート」という巨大な板に分かれている[2]。
地球表面が2種類のプレート群からなっていることは、地球表面の高度や深度の分布の割合にもあらわれている。地球表面は、大陸と大陸棚からなる高度1,500メートル - 深度500メートルの部分と、深度2,000 - 6,000メートルの海洋底と呼ばれる部分が多く、その中間である深度500 - 2,000メートルの海底は割合が少なくなっている。
プレートは大きく見ると十数枚に分けることができ、それぞれ固有の方向へ年に数センチメートルの速さで動かされることになる。大型のプレートとしては、ユーラシア大陸主要部や西日本などを含むユーラシアプレート、北アメリカ大陸やグリーンランド、東日本などの北アメリカプレート、太平洋底の大部分を占める太平洋プレート、インドとオーストラリア大陸を乗せたインド・オーストラリアプレート、アフリカ大陸を中心とするアフリカプレート、南アメリカ大陸を乗せた南アメリカプレート、南極大陸と周辺海域を含む南極プレートがある。このほか、アラビア半島のアラビアプレートやアメリカ・カリフォルニア沖にあるファンデフカプレート、中米の太平洋側に存在するココスプレート、カリブ海のカリブプレート、ペルー沖のナスカプレート、フィリピン海を中心に伊豆諸島・小笠原諸島・伊豆半島付近まで伸びるフィリピン海プレート、南米大陸と南極海の間のスコシア海に広がるスコシアプレートなどのような小規模なプレートもいくつか存在する。