プリマヴェーラ
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この項目では、サンドロ・ボッティチェッリの絵画について説明しています。その他のプリマヴェーラについては「プリマヴェーラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

『プリマヴェーラ』イタリア語: Primavera

作者サンドロ・ボッティチェッリ
製作年1482年頃
種類テンペラ
寸法203 cm × 314 cm (80 in × 124 in)
所蔵ウフィツィ美術館フィレンツェ
1978年から1982年まで発行されていた100,000リラ紙幣

『プリマヴェーラ』(: Primavera)は、ルネサンス期のイタリア人画家サンドロ・ボッティチェッリが1482年頃に描いた絵画。日本ではイタリア語からの訳語である『春』や、『春(プリマヴェーラ)』、『プリマヴェーラ(春)』などとも呼ばれる。木板にテンペラで描かれた板絵で「世界でもっとも有名な絵画作品の一つ」[1]、「世界でもっとも言及され、議論の的となっている絵画作品の一つ」といわれている[2]

この作品に描かれているのが神話の登場人物たちであり、春に急成長を遂げる世界のアレゴリーであるという説を多くの研究者が支持している。その他に、プラトニック・ラブ(現代の日本で使用されている意味合いとは異なる)を主題としていると解釈する研究者も存在する。作者のボッティチェッリはこの絵画に名前を付けていなかったが、トスカーナ大公コジモ1世の宮殿ヴィッラ・カステッロに飾られていたこの作品を目にしたジョルジョ・ヴァザーリが、最初に『ラ・プリマヴェーラ (La Primavera)』と呼称した[3]

『プリマヴェーラ』の来歴ははっきりとしていないが、メディチ家の一員からの依頼で制作されたと考えられている。古代ローマの詩人オウィディウスルクレティウスの詩歌からの影響が見られるほか、ボッティチェッリと同時代人のルネサンス人文主義者・詩人のアンジェロ・ポリツィアーノの影響もあるのではないかとされている。1919年以来、フィレンツェウフィツィ美術館が所蔵している作品である。
構成背景の木々が作るアーチに立つ女神ヴィーナス

『プリマヴェーラ』には6人の女性と2人の男性が描かれ、画面最上部にはオレンジの木々を背景にして弓矢を番えるキューピッドが描かれている。画面右側には花模様のドレスをまとって花冠を被った女性が、ガウンの襞に集めたを振り撒いている。この女性を「フローラ」と呼び、フローラとは、英語の「フラワー」の由来となっているものである。さらにこのフローラの右側には、羽を持つ男性に背後から襲われている、透けるような白色のドレスを着用した女性が描かれている。この男性の頬は膨らんでおり、決然とした表情をしている。さらにこの男性のみ他の人物とは異なって、超自然的な容姿で描かれている。周りの木々は男性が巻き起こす風に煽られて左へと撓んでいる、男性に襲われている女性が身に着けるドレスも同じ方向に煽られているが、左隣で花を撒く女性がまとうドレスは逆の方向にたなびいている。

画面左側には半透明のドレスをまとい、手を取り合って踊る3人の女性が描かれ、そのうちの2人はネックレスで身を飾っている。最上部のキューピッドが番える弓矢は、この3人の女性を狙っているかのように描かれている。さらにその左には、を身に着けて真紅の布を身体に巻きつけた青年が、霞のような灰色の雲に向かって木の枝を突き出している。

画面中央には、ほかの人物たちから孤立しているような印象を与える女性が描かれている。赤色のガウンと青色のドレスを身にまとったこの女性は、鑑賞者の視線をまっすぐに見つめ返している。女性の背後の木々はアーチ状に表現され、鑑賞者の視線を中央に集める役割を果たしている。周囲の風景は極めて精緻に表現されており、500種類以上の植物と190種類ほどの様々な花が描かれている[4]。さらに描かれている190種類の花々のうち少なくとも130種類については、実在するどの花なのかを特定できると言われている[2]

『プリマヴェーラ』の全体的な画面構成は、当時人気があったフランドルタペストリーによく似ている[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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