ブーツ
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この項目では、履物について説明しています。その他の用法については「ブーツ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
デンマーク製のブーツ。靴底は木製、甲などは革で作られている女性用ブーツの一例ブーツの一例稲藁で作られた深靴(ふかぐつ)[1]

ブーツ(英語: boots)は、履物)の一種で、踝までのやそれ以上のを覆うもの。漢語表現では長靴とも。
概要

一口にブーツといっても各々種類や用途やデザインや作りによって形が異なり、丈の長さによっては踝やや腿、を覆うもの、ヒールの種類、素材に違いがあり千差万別である。乗馬ブーツなど、概ねある程度の脛部分を覆う丈のブーツは近代より日本語では長靴(ちょうか、ながぐつ)とも呼ばれているが、現代では一般に「ながぐつ」と言うと雨具としての長靴(ゴム長靴、レインブーツ)を指す事が多い。

多くのブーツでは、同じ素材から作られたヒールであっても、はっきりとソールのほかのパーツと区別がつく形をしている。ブーツは周囲の環境から足を守るために作られているものが多く、ゴムなどの強靭な素材を使用し、がブーツの隙間から入り込まないように設計されている。特に登山や木材の間伐工事などの時に、破片や鋭い物体から足を保護するために設計されている頑丈な労働用ブーツもあり、一部は、パンクファッションに取り入れられている。また、スキースケートスノーボードオートバイ水上オートバイなどのスポーツ用に特別に設計されたブーツが数多く存在する。また、ブーツを愛玩の対象とするフェティシズムも存在する(ブーツフェティシズム)。

女性用のブーツはファッション性を意識して作られたものが多い。ハイヒールピンヒールのもの、高下駄のようにソールが高いもの(厚底靴)、レースアップの編み紐やリボン、ベルトによる装飾(一部のジョッキータイプには拍車の留革を模した物等)が施されていることもある。

主に乗馬ブーツには紐や取っ手がついていて、着用を容易にする仕掛けが施されている。ドイツにはブーツを履こうとしていた子供が、この紐を引っ張っていて気がついたら空を飛べるようになっていたという物語がある。この取っ手や紐をことわざとして様々な場面で用いている。

ブーツには様々な言い回しやことわざ、慣用句がある。熟練した労働者を作業用に履いている頑丈なブーツに喩えて、"tough as old boots"(古びたブーツと同じくらい頑丈だ)と言う。また軍人・警察官等のうち、戦地といった危険な現場に身を置いて任務に就いている者を "boots on the ground"(地上のブーツ)と形容し、さらに派兵をも意味する。漫画などでは魚釣りに行ったのに1匹も魚が釣れずに困っている状態を、ソールが壊れたボロボロのブーツを釣り上げさせることで表現する。

捨てられたブーツを利用して作られたメンドーザ(mendoza)と呼ばれる楽器がある。

日本の積雪地域では藁製の長靴が使用されていた。
ブーツの種類
丈の長さに応じて女性用のロングブーツ

デミブーツ - 踝を覆うか覆わないか程度の丈のもの。ローカットのワラビーブーツなど。

アンクルブーツ(ブーティ) - 踝が隠れる丈のもの。チャッカブーツ、デザートブーツなど。

ショートブーツ - 踝より上の足首が若干隠れる丈のもの。ジョージブーツ、ジョッパーブーツなど。

ハーフブーツ - 下腿部の半分程度を隠せる丈のもの。カウボーイブーツなど。

ロングブーツ - 膝下あたりまで隠せる丈のもの。ライディングブーツなど。日本でよく見かける主流タイプ。

スーパーロングブーツ - 膝より上まで隠せるもので膝上?股下までの長さによりオーバーニーブーツ、サイハイブーツ(タイハイブーツ)、クロッチブーツ、ニーハイブーツ[2]などがある。

形状や素材に応じて
ウェッジソールブーツ
土踏まずの部分が一段低くなっているのではなく、ハイヒールのように踵の部分が高くなっているタイプの靴底をもつブーツ。
ウェリントン・ブーツ
「長靴」と呼ばれるものの原型的なもので、元来は胴(シャフト)が長く膝下まであり、ラウンドトゥ、低めの踵を持つ革製のロングブーツを指した。現在「ウェリントンブーツ」と呼ぶ場合は、悪天候時に用いるゴム製のロングブーツ(いわゆる「ゴム長」もしくは「雨靴」)を指すことが多い。
ゴム長靴(作業用長靴、レインブーツ)
ゴム、もしくは合成樹脂製のロングブーツ。防水性に優れる。
サイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)
ブーツのシャフト両サイドに伸縮性のある素材をゴア (襠) として用いたブーツのこと。踝丈で脱ぎ履きしやすいのが特徴。
ジャックブーツ
靴紐やベルトのないシンプルな長靴。ドイツ軍やロシア/ソビエト軍が制式軍装に使っていたものが有名である。ドイツ軍隊においてはマルシュシュティーフェル(行軍ブーツ)と呼ばれ、乗馬ブーツに比べると胴が太く、丈が短め。兵隊俗語ではクノーベルベッヒャー(サイコロを振る壷)と形容された。
ストレッチブーツ
筒部分に高い伸縮性を持たせたブーツ。パレード等に用いるものは日本パレード社製A352が有名。
サイハイブーツ
ロングブーツの中でも太腿を覆うほどの長さがあるもの。「タイハイブーツ」とも呼ぶ。
胴付長靴
ゴム製のサロペットと一体になったもの。下半身から胸元までを覆う防水服の一種。
ダックブーツ(ビーンブーツ)
甲を始めとした下半分が防水性のあるゴム製、上半分(アンクル部)が革製のもの。水場の多い野外での防水性と通気性を両立させるために考えられたもので、“ダック(Duck)”の名はカモ類の保温性が高く水を弾く羽毛になぞらえたところから。

デザインの元祖はアメリカのアウトドア用品メーカー、L・L・ビーン狩猟用ブーツとして発売したもので、現在でもL・L・ビーンの製品が代表的なことから「ビーンブーツ」とも呼ばれる。


ソレル(ソレルブーツ)

スノーブーツの一つで、ダックブーツをスノーブーツとして発展させたデザインのもの。丈が長くなり、保温性の高い二重構造になっている。

“ソレル(ブーツ)”の名は、カナダのソレル(SOREL)社が初めて発売したところからの通称である。

チャッカブーツ
ショートブーツの一種で、鳩目が2?3組の、細かくパーツ分けされず一体型に近いデザインのもの。

区分上の重要な点は鳩目の数で、鳩目が2?3組以下であっても以上であっても「チャッカブーツ」とは分類されない。


ジョージブーツ

チャッカブーツと類似したデザインのショートブーツで、チャッカブーツに似るが若干丈が長く、鳩目の位置が高い位置にあるのが特徴である。

フォーマルシューズの一種でもあり、近代西洋式の軍隊においては将校は夜会服にはジョージブーツを用いる。


デザートブーツ

チャッカブーツに似るが、よりカジュアルなデザインと素材で構成されたもの。
半長靴
ショートブーツとロングブーツの中間の丈を持つものを指す。
ブーティー
パンプスとショートブーツの中間くらいの丈の履物。ハイカット・スニーカーにブーツのような装飾が付いたものを指す場合もある。
ブローグブーツ(ウィングチップブーツ)
ウィングチップが入ったブーツのこと。
フリンジブーツ
ふさ飾り(Fringe)が付いたブーツのこと。
編上靴
履き口を靴紐で編上げる、レースアップブーツのこと。
ペコスブーツ
指賭けループが履き口の両サイドに付けられた長靴のようなワークブーツ。農作業用に用いられた。レッドウィングのモデルの一つで、元来は商品名であるが、一般名詞化しこの形状のブーツを「ペコスタイプ(ブーツ)」と呼ぶ。
ボタンブーツ
ボタンで着脱するブーツで、大塚製靴が100年前に発売した。ボタンの着脱がしやすいようにボタンフックというピンセットのような金具が発売されている。
モックトゥブーツ
モカシンのようなトゥ(爪先)を持つブーツ」の意味で、甲に大きな縫い目のあるデザインのもの。
ムートンブーツ
ヒツジ毛皮であるムートンを用いたブーツのこと。
モンキーブーツ
外羽根式のレーストゥトゥのブーツのこと。正面から見るとサル(Monkey)の顔のように見えることからモンキーブーツという。
ワーレンキ
羊毛のフェルト製長靴
ワラビーブーツ
シューズメーカーのクラークスによって生み出されたもの。モックトゥの丈が短い編上げブーツである。
用途に応じて
エンジニアブーツ
測量技師や工場労働者などが着用する安全靴として開発されたブーツ。脚を保護するために頑丈に作られており、靴紐が引っ掛かる事による事故を防止するため、靴紐ではなく甲から踝にかけた位置に一対のベルトがあり、これによって履いた足を固定する。
カウボーイブーツ(ウェスタンブーツ)
ロングブーツタイプの乗馬靴。アメリカのカウボーイが好んで履いたことからこの名がついた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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