ブロードバンドインターネット接続
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2012年時点の固定ブロードバンドの契約率

ブロードバンドインターネット接続(ブロードバンドインターネットせつぞく、英語: Broadband Internet access; BIA)とは、大容量通信ができるインターネット接続サービスを指す。

米国連邦通信委員会(FCC)は2024年3月よりブロードバンドを下り100Mbps/上り20Mbpsの実効速度を有するものと定義している[1]。一方、米国会計検査院(英語版)(GAO)の聞き取りでは小規模事業でも下り100Mbps/上り25Mbpsが最低限必要だと述べられている[2]ほか、電子フロンティア財団は上り下り共100Mbps程度まで増速せよという意見を出している[3]。なおFCCは将来的にブロードバンドの定義を下り1Gbps/上り500Mpsへと引き上げる予定となっている[4]

日本では上り下り30Mbpsを超高速ブロードバンドと定義している(#速度の定義参照)。また1Gbps級のブロードバンドはギガビットブロードバンドと呼ばれており、イギリスがその普及を進めている(後述)。

ブロードバンドの対義語はナローバンドであり、ナローバンドは低容量なダイヤルアップ接続ISDNPHSなどを意味する。低容量なADSLなどもナローバンドと呼ばれている[5]。ブロードバンドとナローバンドの間はミドルバンドと呼ばれている。
概略

1980年代の高速回線は、回線料金や接続料金が高価(月額数十万円以上)な、通信速度512kbpsから1.5Mbps程度・特殊なケースで6Mbpsから数十Mbpsデジタル回線光ファイバー)であったため、大企業コンピューター関連企業、さらには先進的な大学研究機関が利用するものであった。

それ以外の法人・団体や個人などは、時間従量制のアナログ電話回線モデムISDNによる低帯域(数十kbps?128kbps程度)ダイヤルアップ接続サービスを利用していた。

1990年代、既存のツイストペアケーブル通信線路を用いて、声信号ではなく、高周波数かつ高帯域の電気信号により通信を行うDSLや、ケーブルテレビ同軸ケーブルを用いた通信サービス(DOCSIS)が開発された。

2000年代には、光ファイバーを直接・間接にユーザ個宅まで引き込むFTTHFTTxも敷設を開始した。光ファイバーで放送を行う光放送が登場してケーブルテレビと競合し、ケーブルテレビも徐々にFTTHへと転換して通信業者CATV事業者の差が埋まっていった。

2010年代にはFTTHによる家庭向け10Gbpsのサービスが登場した。また、低速なISDNとADSLは保守コストの問題から終了が発表され[6][7]デジタルケーブルテレビも同軸ケーブルの設備の老朽化[注 1]が進み[8][9][10]、代わりに光回線が普及していった。

2020年代には光回線がユニバーサルサービス化される予定となっている。
用語

ブロードバンドはもともと広周波数帯域を意味していた。例えば家庭向けデータ通信が一般化する前よりケーブルテレビ会社では広帯域通信システム(ブロードバンド・コミュニケーション・システム)によって有線テレビ放送以上のサービスが可能となっていた。

その後、1980年代になってイーサネット2.0が登場し、同軸ケーブルがデータ通信用としても用いられるようになったが、狭帯域なベースバンド同軸ケーブルでは最大50Mbpsの半二重通信しか行うことができなかった[11]一方、広帯域なブロードバンド同軸ケーブルでは最大数百Mbpsの全二重通信が可能となっていた[11]

1988年には光ファイバ中心の広帯域で高速なブロードバンドISDN(英語版) (B-ISDN) 仕様の ITU-T Rec. I.121 が登場し[12]、従来のツイストペアケーブル中心の狭帯域で低速なISDNがナローバンドISDN (N-ISDN) と呼ばれるようになっていった[13]。この I.121 ではブロードバンドISDNを周波数帯域の広さではなく伝送速度の速さによって定義しており[13]、その後も通信速度の高速な回線がブロードバンドと、通信速度の低速な回線がナローバンドと呼ばれるようになっていった。

その後、米国のケーブルテレビ会社がインターネット接続にもブロードバンドという用語を使うようになったとされる[14]
速度の定義

ブロードバンドと呼ばれる速度は年々上昇している。初期のインターネット接続ではブロードバンドISDN(156Mbps又は622Mbps)以下の速度はもとよりナローバンドISDN (1.544Mbps又は2.048Mbps[13]) 以下の速度でもブロードバンドと呼ばれていた。

例えば1999年の米国連邦通信委員会 (FCC) の報告書 FCC 99-5 ではダイヤルアップ接続の速度を上回る「下り上り200kbps以上」をブロードバンドと定義していた[15]ものの、その報告書では将来的に技術の進化によって「我々は今日のブロードバンドがナローバンドになったと見做すだろう」とも記述していた[15]。その後、米国ではその宣言通りブロードバンドの定義が増速されていった:

米国FCCのブロードバンド定義FCCブロードバンド定義1999年2月以降[15][16]2010年3月以降[17]2015年1月以降[18]2024年3月以降[1][注 2]将来の予定[4]
下り実効速度200kbps以上4Mbps以上25Mpbs以上100Mbps以上1Gbps以上
上り実効速度200kbps以上1Mbps以上3Mbps以上20Mbps以上500Mbps以上

一方、日本では民間において「512kbps以上」がブロードバンドと呼ばれるようになったとされる[20][21]が、2001年の国のe-Japan戦略ではブロードバンドという用語を用いず、音楽ダウンロード向きのものが「高速インターネットアクセス網」(速度未規定)と、大容量映像ダウンロード向きのものが「超高速インターネットアクセス網」(30Mbps?100Mbps目安)と規定された[22][23]


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