このブラックボックス (航空)は、ポータル:航空で加筆依頼に提出されております。内容をより充実させるため、加筆
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航空事故に関してブラックボックスと表現する場合は、FDRないしはCVRそれぞれ、あるいは双方をまとめて指している。航空事故の原因調査に大きな役割を持つ。一定以上の乗客を乗せる旅客機では装備が義務づけられているが、自家用の小型機には一般に装備されない。軍用機は装備しない国が多いが、自衛隊機にはほぼ搭載されている。自家用機や軍用機の事故の場合は、生存者からの聞き取りや機体分析で原因究明を行うことになる。
これらにはウォーターロケータビーコン(アコースティック・ビーコン)が取り付けられ、水没した場合でもソナーによる捜索が可能なように配慮されているものも多い。
最新のブラックボックスはコックピットボイスレコーダー(CVR)とフライトデータレコーダー(FDR)を1つにした、コックピットボイスフライトレコーダー(CVFDR)がある[1]。
ブラックボックスとは内容物が隠蔽ないしは封印されていること、内部構造を知る必要はないことの比喩的形容であり、形状は円筒形や球形の物もあるほか、事故後に発見・回収しやすいよう、赤色やオレンジ色に塗装されているなど、実際には「黒い箱」ではない。
概要ATR 42の胴体外部に示されたフライトレコーダーの搭載位置SH-60Jに搭載されたドラム形のFDR。「危険ではありません。拾った方は最寄りの自衛隊へ御連絡下さい。」と日本語と英語で書かれている。墜落した場合は確実に回収出来るよう、機体外側に取り付けられているTu-22M3に搭載された球形のFDR
事故が発生した際、乗員・乗客が全員死亡することも珍しくない航空事故では、事故原因究明の手掛かりを得ることが大変難しい。そのため、飛行中のコックピット内で操縦士たちが交わした会話や航空交通管制機関との交信内容、機体の飛行状況を記録し続けることにより、事故原因究明のための手掛かりとするべく旅客機に搭載されていることが多く、法によって搭載装備を義務付ける国もある。アメリカなど国によっては軍用機にも搭載義務がある。
すべてを記録すると記録量が膨大になるため、古いデータを上書きで消しながら直近の出来事をエンドレスに記録する。このため、一定時間以前のデータは記録に残らない。
外装は墜落に伴う衝撃や火災、海没に耐えられるよう高い耐衝撃性・耐熱性・耐水性を備えた密閉容器である。搭載位置は、比較的破損が及びにくいとされる機体尾部に設置される例が多く、ヘリコプターでは外部に露出させ機体に大きな衝撃が加わった際に脱落させる設計もある[2]。
破損はないが事故発生時に電源が喪失したために墜落前に記録が停止し、事故原因解明に支障をきたす場合もある(アメリカン航空191便墜落事故、大韓航空機撃墜事件、スイス航空111便墜落事故など)。
ブラックボックスの解析ができる国は、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツなどに限られている[3]。 日本では、1966年2月の全日空羽田沖墜落事故を教訓に、航空法「第六十一条第一項」および航空法施行規則「第百四十九条」(航空機の運航の状況を記録するための装置)に搭載が義務づけられている航空機および記録内容が定められている。 搭載が義務づけられている航空機は航空機の種別(飛行機、回転翼航空機)、最大離陸重量、最初の耐空証明が行われた年月等で異なる。飛行機の場合は最大離陸重量が5,700kg[注釈 1]を超えるもの、回転翼航空機の場合は最大離陸重量が3,180kgを超えるもの(CVRのみ、FDRは最大離陸重量が7,000kgを超えるもの)が搭載を義務づけられている。 消防防災ヘリコプターに採用される機種の多くは最大離陸重量の制限を超えないため[注釈 2]FDRの搭載義務は無く、工事期間中に出動できないことや1000万円以上と高価なことがネックとなり[4]導入している自治体は30%以下とされる[5]。 日本での航空機事故ではヘリコプターについで小型の固定翼機が多い(約28%)ものの、価格の他にも計器との接続が複雑で重量もあり義務化のハードルが高いとされてきた。近年では軽量で小型機にも搭載しやすい簡易型FDRが登場していることから、国交省ではボランティアを募って検証実験を行う予定[4]。 自衛隊は対象外であるが、おおむねCVRとFDRが搭載されている[6]。海上自衛隊と航空自衛隊のヘリコプターは洋上飛行を想定し外部に設置し、ウォーターロケータビーコンも追加している[2]。
日本の搭載義務
フライトデータレコーダーFDRの例。ハネウェル社の製品。「フライトレコーダ/開けるな」とフランス語で大書されている(裏側には全く同じ文言が英語で記されている)。右側に出っ張っているのは水中ロケータービーコンFDRと人間(BEA職員)の大きさ比較。後ろは解析装置
フライトデータレコーダー(FDR、Flight Data RecorderまたはADR:accident data recorder)は、搭載された航空機の電子システムに送信された命令を記録する電子機器である。現在該当する FAA TSO(Technical Standard Order) は、「C124b」(Flight Data Recorder Systems)である[7]。
FDRに記録されたデータから航空機の安全性の問題、疲労、およびエンジン性能を分析して、主に事故調査のために使用される。また、フライトに最適な燃料消費および危険な運航乗務員の習慣分析に、飛行監視データプログラムが利用される。記録されたデータは事故調査のために使用するものと同じ技術で定期的に解析される。
米国の連邦規制で記録が必要なパラメータは、2002年までは29個であったが、アメリカ同時多発テロ事件を引き金に88個へと大きく引き上げられた。また、いくつかのシステムでは、より多くの変数を監視する。
現在のFDRは、フライトデータ取得ユニット(FDAU:Flight Data Acquisition Units)から特定のデータフレームを介して、パラメータを受け取る。それらが操作の入力、アクチュエータの位置、エンジンの状態、時刻といった重要な飛行パラメータを記録する。
一般に各パラメータはその重要度に応じて設定された毎秒数回の頻度で記録されている。データが急激に変化を始めた場合、一部のユニットストアは通常よりはるかに高い周波数でデータの「バースト」が起こる。全ての必須パラメータが記録されていることを確認するFDRの検証確認(読み出し)を毎年行うことが義務付けられている。
FDRのデータは携帯型半導体記録装置に記憶されるか、無線や衛星を介して事業者の本社にある航空機のクイックアクセスレコーダー(QAR:Quick Access Recorder)へ転送され、通常時は事業者の安全対策[8]に活用されている。
事故調査などで重要となるため、ICAOで規制された装置は慎重に設計され、高加速度の衝撃および高温の火災などに耐えられるような構造をしている。現代のFDRは、高耐腐食性のステンレス鋼および高耐熱性、高強度のチタンによる二重構造となっている[9]。