この項目では、映画作品について説明しています。その他の用法については「ブラックホーク・ダウン (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ブラックホーク・ダウン
Black Hawk Down
監督リドリー・スコット
脚本ケン・ノーラン
原作マーク・ボウデン
製作リドリー・スコット
ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮サイモン・ウェスト
マイク・ステンソン
チャド・オーマン
ブランコ・ラスティグ
出演者ジョシュ・ハートネット
ユアン・マクレガー
音楽リサ・ジェラード
ハンス・ジマー
撮影スワヴォミール・イジャック
編集ピエトロ・スカリア
制作会社レヴォリューション・スタジオズ
『ブラックホーク・ダウン』(Black Hawk Down)は、2001年のアメリカの戦争映画。監督はリドリー・スコット、プロデューサーはジェリー・ブラッカイマー、主演はジョシュ・ハートネット。実際にソマリアでおこった凄絶な「モガディシュの戦闘」(米軍を中心とする多国籍軍とゲリラとの市街戦)を描いている。
作品には、劇場公開版と、これに7分半の映像を加えた完全版「スペシャル・エクステンデッド・カット」がある。
「ブラックホーク」とは、米軍の汎用ヘリコプターUH-60 ブラックホークの強襲型、「MH-60L ブラックホーク」の事である。キャッチコピーは「あなたはこの戦争に言葉を失う。しかし、知るべき時が来た。」 本作はソマリア内戦への超大国による介入とその失敗を描いたノンフィクション小説『ブラックホーク・ダウン アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録』(マーク・ボウデン著、日本版は伏見威蕃訳・早川書房刊)を映画化したものである。 1993年、国際世論におされた米軍は、民族紛争の続くソマリアへ派兵。内戦を終結させようと、最大勢力ババルギディル族を率いて和平に反対するアイディード将軍の副官2名を捕らえるため、レンジャー、デルタフォース、第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズなどで構成された約100名の特殊部隊を首都モガディシュへ強襲させた。当初、作戦は30分足らずで終了する予定であった。 10月3日午後3時42分、強襲部隊は、UH-60 ブラックホークとMH-6 リトルバード等の16機で構成されたヘリ部隊により、標的がいると思われるオリンピック・ホテル周辺に降下し、標的の副官2名を含むアイディードの幹部10数名の拘束に成功。ハンヴィーなどで構成された地上部隊とも合流し、あとは撤収を残すだけとなった。 だが、アイディード将軍派の民兵の放ったRPG-7により、ナイトストーカーズのブラックホーク2機「スーパー61」「スーパー64」が撃墜されてしまう。「仲間は決して見捨てない」をモットーとする米軍は、機内に残されている生存者を救うため、作戦変更を余儀なくされる。非常に高い戦闘技術を持ち、ヘリからの航空支援も受ける米軍部隊だが、損害を顧みず次々と現れては襲ってくる民兵を相手にするうちに、徐々に死傷者を増やしていく。 墜落地点がふたつ存在するための混同や、戦闘指揮所からの指令が移動する車両部隊に届くまでののタイムラグなどによる混乱も発生。地上の米軍部隊は、捕虜も乗せた車両部隊と徒歩で移動する部隊に分かれて墜落地点へ向かうが、車両部隊は、民兵の攻撃やバリケードなどにより移動を妨害され、死傷者の増加により、一時撤退を余儀なくされる。徒歩で「スーパー61」墜落地点付近に到達した救援部隊も民兵に包囲されて身動きが取れなくなる。レンジャー部隊は負傷者多数となったため、デルタフォースの“フート”ギブソンは、レンジャー隊員の中からマット・エヴァーズマンを借りて他のデルタ隊員と共に、まだ救援が来ない「スーパー64」墜落地点へと向かう。 敵に包囲された「スーパー64」墜落地点へ、さらにブラックホークの「スーパー62」を降下させるのは危険すぎると司令官ウィリアム・F・ガリソン
概要
あらすじ
一時基地へ撤退した車両部隊は再編成を行い強化した部隊で救出へ出発する。その中には、手を骨折したため今回の任務を外されていた者、先ほどまでの銃撃戦に恐怖を覚えて弱音を吐いたが、それでも勇気を振り絞って再出撃に加わった者もいた。
一方、捕虜になったデュラントに対しひとりのソマリア民兵は、アイディードを排除してもソマリアがアメリカ式民主主義をすんなり受け入れるわけがない、ここでは戦いこそが交渉だと語っていた。
やがて敵中で身動きができなくなっていた米地上部隊のもとに、ガリソンが呼び出した米第10山岳師団、マレーシア軍、パキスタン軍などで編成された、戦車を含む国連部隊が救援に来る。ガリソンは「誰一人残すな」と、ヘリの中で残骸に挟まれ搬出が困難になっていた米軍兵士の遺体も収容させる。それが終わる頃には夜が明けていた。
やがて遺体の収容と部隊の合流が終わったが、装甲車両の搭載容量に空きがないため、一部の米レンジャー部隊兵士は国連軍装甲車の後ろを徒歩でついていくことになる。だが装甲車は、後ろに味方歩兵がいるのを忘れたのか戦闘地域を抜け出したい一心からか、どんどん速度を上げて走り去ってしまう。置いて行かれたレンジャー部隊だがひたすら自らの足で走り続けて戦闘地域を脱出。やがて先ほどとまでは打って変わっての、反アイディード派民間人の歓声による歓迎を受けつつ、国連軍が拠点としているパキスタン・スタジアムへと無事に辿りついた。
ようやく安全な場所に到達し、疲れ切ったエヴァーズマンに対し、フートは「国に帰ると、なんで戦場に行くのかと良く聞かれる。『戦争が好きなのか?』と。だが奴らには絶対わかりはしない」と、自分が国のためでも名誉のためでもなく、仲間のために戦っているということを語りながら、発見されていない、あるいは奪われた味方の遺体を取り戻すための再出撃の準備を行っていた。
エンドロールでは、シュガートとゴードンの2名に名誉勲章が授与されたこと、11日後にデュラントが釈放されたこと、クリントン大統領(当時)が2週間後にソマリアからデルタフォースとレンジャーを撤退させたこと[注釈 1]などの顛末が語られ、この作戦で戦死した米軍兵士19名の名前が挙げられている。