ブラックスプロイテーション(Blaxploitation) とは、1970年代前半にアメリカで生まれた映画のジャンル。主に、アフリカ系アメリカ人を客層として想定したエクスプロイテーション映画。 ブラックスプロイテーション映画は黒人の監督に、キャスト、音楽担当も黒人で、サウンド・トラックにR&B、ファンクやソウルミュージックを使用した。1970年には5本ほどのブラック・ムービーが制作されたが、高い評価は得られなかった。ヴァラエティ誌によると、1971年の『スウィート・スウィートバック 映画の舞台設定が大都市の場合、ゲットーが主な舞台となり、ポン引き、麻薬密売人、ヒットマン、アフロヘアーの黒人、ドラッグ、ベッドシーン、浴室シーンなどが登場した。また腐敗した白人警官や政府関係者、白人の麻薬組織といった、ネガティブな白人キャラクターが登場することも多かった。南部が舞台の場合にはプランテーションが主な舞台となることもあり、奴隷制や混血といったテーマが扱われる[4][5]。初期のブラック・ムービーは映画の内容はB級だが、音楽はA級といった作品が多かった。これがスパイク・リーの時代になると、映画の内容はA級だが音楽はB級と変化していった現象が興味深い。黒人の社会的地位の向上が、映画にも反映していた。 『スウィート・スウィートバック』以降、多くのブラック・ムービーでファンク、ソウル、R&Bがサウンド・トラックに使用された。有名な例としてはカーティス・メイフィールドの『スーパーフライ』[6]や、アイザック・ヘイズの『黒いジャガーのテーマ』などがある[7]。 ブラック・ムービーではリチャード・ラウンドツリー、ロン・オニール、ジム・ブラウン、パム・グリアらが主演を演じた[8]。 ブラックスプロイテーションには観客にアピールするため、黒人のポン引きや麻薬密売人といったステレオタイプな人物が登場した。これは白人の側から見た黒人のイメージとも結びつき、ブラックスプロイテーションというジャンルの行き詰りを招いた。 全米黒人地位向上協会、南部キリスト教指導者会議 (Southern Christian Leadership Conference
概要
歴史
映画批評家の中にはこのジャンルの作品は、アフリカ系アメリカ人がスクリーンに登場する大きなきっかけとなったと、肯定的に評価している者もいる。更に将来の映画人たちが、インナーシティの貧困といった問題を扱うルーツともなった。1990年代初めになって、アフリカ系の映画人たちが、黒人の生活を描いたブラック・ムービーを制作した。その中にはスパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』やジョン・シングルトンの『ボーイズ'ン・ザ・フッド』などがある。
1997年にはクエンティン・タランティーノ監督によるブラックスプロイテーション映画へのオマージュ作品『ジャッキー・ブラウン』がパム・グリア出演により公開された。