ブラックジャック
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この項目では、トランプゲームについて説明しています。手塚治虫の漫画については「ブラック・ジャック」を、その他の用法については「ブラックジャック (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ブラックジャック(英語: Blackjack)は、トランプを使用するゲームの一種。カジノで行われるカードゲームではポーカーバカラと並ぶ人気ゲームである。カードの合計点数が21点を超えないように、プレイヤーがディーラーより高い点数を得ることを目指す。バカラやおいちょかぶと似たスタイルのゲームである。

ポントゥーン(pontoon)や21(twenty-one)という別名もある。

イギリスにはクレイジーエイトの系統でブラックジャック(Black Jack)というゲームがあるが、ルールは全く別である。
歴史

もとは21という名前で、その起源は不明である。ドン・キホーテの作者ミゲル・デ・セルバンテスは賭博も行っており、著書『Rinconete y Cortadillo(スペイン語版)』作中の主要人物であるイカサマ師コンビにイカサマを仕掛けさせている。この作品では、スペイン語で21を意味するveintiunaという名前が確認できる。[1]

ブラックジャックという呼び名には諸説ある。アメリカでのローカルルールとして、黒いシンボルのクラブもしくはスペードジャック、そしてスペードのエースからなる役を「ブラックジャック」と呼びボーナスが付くようにしていたという説。そしてフランスの歴史家Thierry Depaulis(英語版)は、それが誤りでクロンダイク・ゴールドラッシュの採掘者たちが遊んでいた時に、彼らがブラックジャックと呼んでいた金を含む閃亜鉛鉱にちなんで付けたという説を唱えた[2]
遊び方上の写真がゲーム開始直後、下の写真がゲーム終了後の様子。

プレイヤーはディーラー(胴元)との間で1対1の勝負を行う。つまり、プレイヤーが複数いる場合には、ディーラーは複数のプレイヤーと同時に勝負をすることになる。

各プレイヤーの目標は、21を超えないように手持ちのカードの点数の合計を21に近づけ、その点数がディーラーを上回ることである。

手の中のカードの点数は、カード2?10ではその数字通りの値であり、また、絵札であるK(キング)、Q(クイーン)、J(ジャック)は10と数える。A(エース)は、1と11のどちらか、都合のよい方で数えることができる。

各プレイヤーが初めの賭け(ベット)を終えると、ディーラーはカードを自分自身を含めた参加者全員に2枚ずつ配る。ディーラーの2枚のカードのうちの1枚は表向き(アップカード)にされ、皆が見ることができる。もう1枚のカードは伏せられている。伏せられたカードをホールカードと呼ぶ。プレイヤーの行動が全て終わった時点ではじめてディーラーの2枚目のカードが表向きにされる。

プレイヤーのカードはカジノによって表向きの場合と裏向きの場合があるが、現在主流になっている6デッキ以上を利用するルールにおいてはフェイスアップで配られることが通例である。この時点で、プレイヤーが21(1枚は10、J、Q、Kのうちのどれかで、もう1枚はAという組み合わせの場合のみ可能)であれば「ナチュラル21」又は「ナチュラルブラックジャック」と呼ばれ、ディーラーが21でなかった場合には、ベットの2.5倍の払い出しを受ける。

プレイヤーとディーラー、双方がナチュラル21の場合には引き分けとなる。プレイヤーがナチュラル21にならず、ディーラーがナチュラル21の場合には自動的にプレイヤーの負けとなる。

次のステップでは、プレイヤーはヒットまたはスタンドの選択を行う。ルールによっては、ヒットとスタンド以外にも追加のルールを採用しているところもある(下記「特別ルール」参照)
ヒット (Hit)
カードをもう1枚引く。動作:テーブルを叩く、あるいは自分に向かって手招きをする。
スタンド (Stand)/ステイ (Stay)
カードを引かずにその時点の点数で勝負する。動作:手のひらを下に向け水平に振る。

プレイヤーは21を超えなければ何回でもヒットすることができる。21を超えてしまうことをバスト(bust)と呼び、直ちにプレイヤーの負けとなる[3]。プレイヤーが全員スタンドするとディーラーは自分のホールカードを開く。

ディーラーは、自分の手が17以上になるまでカードを引かなければならず、17以上になったら、その後は追加のカードを引くことはできない(初めから17以上の場合もカードを引くことができない)。ディーラーが21を超えた場合には、バストしなかったプレイヤーは全員勝利である。プレイヤーとディーラーが同じ点数の場合には引き分けとなる。但しディーラーがソフト17(Aが含まれておりそのAを11と数えた上で合計が17の場合)ではヒットするカジノもある(その場合でもソフト18、ハード17ではスタンドとなる)。

一見すると、選択肢の多いプレイヤー側に有利かのように見えるゲームだが、2枚配られた時点でハード12以上のときにもう1枚カードを引く場合は常にバストの可能性がある、両者バーストした場合プレイヤーの敗北となる、等のルールにより実はプレイヤー側が不利といえる。
特別ルール

カジノによってはヒットとスタンド以外の選択肢が用意されている場合がある。いずれの特別ルールもプレイヤーを助けるものであるため[4]、これらを採用する代わりにプレイヤーがブラックジャックで勝利した場合の配当を2.2倍に引き下げている場合や、最低賭け単位(ミニマムベット)が高額の台のみこれらのルールを採用するカジノもある。
スプリット (Split)
配られた2枚のカードが同じ数字の場合、初めのベットと同額のチップを追加することで、それを2つに分けてプレイすることができる。この場合、1枚ずつに分けたカードにそれぞれ1枚が追加で配られ、2つの手となる。10と数えられるカード (10,J,Q,K) は全てペアと見なすことが出来るカジノもある。また、ほとんどのカジノでは A のペアのスプリットでは、スプリットした後はそれぞれ1枚しか引くことができない。スプリット後にさらに同じ数字が配られた場合に、重ねてスプリットが可能なルールもある。動作:初めのベットの横に同額をベッティングボックスの外に置き、二本の指をV字に広げる。
ダブルダウン (Double down)
プレイヤーは最初の2枚のカードを見てからベットを2倍にしてもう1枚だけカードを引くことが出来る。さらに追加して引くことはできない。多くのカジノでは最初の数がいくつでもダブルダウンすることが出来るが、カジノによってはカードの合計が11,10(又は11,10,9)の場合にのみダブルダウンできるルールを採用している所もある。また、スプリット後のダブルダウンが可能かどうかも、カジノごとに差異がある。なお、ディーラーがナチュラル21となっているかの確認をプレイヤーのアクションの後に行うカジノにおいては、結果的にディーラーがナチュラル21であった場合に、スプリットやダブルダウンによって賭け増したベット分をプレイヤーの負けとするか、無勝負として元返しとするかについてはカジノごとに細かなルールの相違がある。動作:初めのベットの隣に同額を置き、人差し指で指差す。
サレンダー (Surrender)
プレイヤーの手が悪く、勝ち目がないと判断した場合に賭け金の半額を放棄してプレイを降りること。たとえばディーラーがAでナチュラル21の可能性があり、プレイヤーが6でバストの確率が高い場合など。ナチュラル21をチェックする前にサレンダーが可能なルール(アーリーサレンダー)と、ナチュラル21ではない場合のみ可能なルール(レイトサレンダー)に大別される。サレンダーは採用していないカジノも多く、特にアーリーサレンダーを採用するルールは稀である。
インシュアランス (Insurance)/インシュランス
ディーラーの表向きのカードがAのときには、最初のベットの半額を追加することにより、保険(インシュアランス)をかけることができる。ディーラーがナチュラル21であった場合には保険として掛けた額の2倍の保険金が払い戻され、そうでない場合は保険の掛け金は没収される。例えばプレイヤーが最初に$10を賭けており、プレイヤーのカードは8と10、ディーラーの表向きのカードがAであったとする。ここでプレイヤーがインシュアランスを選択した場合、$5を保険の掛け金として追加する。逆にインシュアランスを選択しない場合には追加の掛け金は発生しない。全てのプレイヤーのインシュアランスの意思を確認した後、ディーラーはプレイヤーには見えないようにしてディーラーの裏向きのカードの数字を調べる。ディーラーの裏向きのカードが例えば10の場合にはナチュラル21となる。この時、裏向きだったカードは表向きにされ、プレイヤーの最初の掛け金である$10は没収されるが、インシュアランスの保険金として$10が払い戻され、保険の掛け金$5もプレイヤーに戻る。この場合、プレイヤーの損得は±0である。一方、ディーラーの裏向きのカードが例えば3であり、ナチュラル21ではなかった場合には保険の掛け金である$5は没収され、ディーラーの裏向きのカードは裏返されたままの状態で引き続き通常通りのプレイ(ホールドやヒットの選択)が行われる。このインシュアランスはプレイヤーにとって確率的には不利なオプションだが、多くのカジノでこのオプションは提示される。プレイヤーがナチュラル21の場合は、プレイヤーがインシュアランスを宣言すると同時に最初のベットと同額が配当される(イーブンマネー)。これは、インシュアランスが成功(掛け金に対して引き分けで0倍、保険料に対して2倍で合計して掛け金の1倍の配当)しても失敗(掛け金に対してナチュラルにより1.5倍の配当、保険料は没収で合計して掛け金の1倍の配当)してもトータルの配当は変わらないためである。ディーラーの表向きのカードが10、J、Q、Kのいずれかであればディーラーがナチュラル21である可能性はあるが、この場合にはインシュアランスは宣言できない。
超簡易版ストラテジー

以下の項目は実際にブラックジャックを行う上での超簡単なストラテジーである。これらの事項を守ることで、カジノの控除率を1%以下にすることが出来る。但し、この目安は常にシャッフルされた直後の新しいデッキを使用していることを前提に設定されており、更に高度な戦略を用いることで控除率をさらに低くすることも可能である。なお、ディーラーの手はアップカードが2?6のときは弱い、7?Aのときは強いとしている。

Aか8のペアはできるなら必ずスプリットする。4,5,10のペアは絶対スプリットしない。その他のペアはディーラーが弱いときはできるならスプリットし、強いときはできてもしない。

Aのペアはスプリットすれば21になる可能性が高いので絶対スプリットすべきである。8のペアはそのままだと16という最悪の手だがスプリットすればそこそこ強い手になりやすいのでこれもスプリットした方が有利である。

5のペアはそのまま10として扱えばかなり強く、スプリットすると悪い手になりやすいので絶対にスプリットしてはいけない。10のペアも20はほぼ最強の手なのでせっかくの手が悪くなるリスクを冒してスプリットすべきではない。4のペアも8はそこそこ強いがスプリットすると悪い手になりやすいのでスプリットしないのがいい。

その他のペアはそのままもスプリットも強さに大差はないので勝てそうかどうか、すなわちディーラーの手で判断する。ディーラーが弱いときはスプリットして賭け金を2倍にしてチャンスを広げ、強いときは傷口を広げないようにすべくスプリットしないのが良い。


ダブルダウンは、ソフトハンド(Aを1枚だけ11と読む手)の16?18、及びハードハンド(Aがないか、全てのAを1と読む手)の9ではディーラーが弱いとき、ハードハンドの10または11ではディーラーのアップカードが自分の合計より小さいとき(但し、11点以下では強制的にヒットさせられるハウスもある)に行う。それ以外では行わない。

ソフトハンド及び9以下のハードハンドからのダブルダウンはディーラーのバースト待ちである。但し絶対にバーストするわけではないので自分の手があまり強くなりそうにないとき(ソフトハンドの15以下・ハードハンドの8以下)はすべきではない。ステイで十分強い場合(19以上)もリスクを冒さずそのままの数字で勝負する方が良い。

ハードハンドの10及び11からのダブルダウンは相手より強い手作り狙いである。ディーラーのアップカードと自分の合計の比較で判断するのはそのためである。


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