ブラウン神父
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ブラウン神父
ブラウン神父シリーズのキャラクター
初登場「青い十字架」(1910年)
作者
ギルバート・ケイス・チェスタートン
詳細情報
性別男性
職業司祭
国籍 イギリス
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ブラウン神父(ブラウンしんぷ、Father Brown)は、G・K・チェスタトン(ギルバート・ケイス・チェスタートン)による推理小説「ブラウン神父」シリーズに登場する架空の人物。

イギリスサセックス教区カトリック司祭にして、アマチュア探偵世界三大探偵に挙げる者もいる[1]。53作の短編に登場する。
人物

容姿は、丸顔で眼鏡を掛け、短躯でよく蝙蝠傘を持っている。ファーストネームは不詳だが、「アポロの眼」の回でナレーションで正式名は「J・ブラウン師(原文 the Reverend J. Brown)」と言われている[2]。親族に関しては「世の中で一番重い罪」にて「身内はあまりいないがエリザベス・フェイン(通称ベティー)という姪が居り、彼女の母親がブラウン神父の妹で、彼女の嫁ぎ先の地主(神父の義弟)はすでに死亡している」といった趣旨が冒頭で説明されている[3]

その推理法は鋭い洞察力による直感に頼るものが多く、美学的な観察による推理もある。この系統の探偵としてH・C・ベイリーレジナルド・フォーチュンが挙げられる。竹内靖雄はブラウン神父の推理について、証拠から帰納的に考えるのではなく、「『犯人はXである』という仮説を立てて、証拠に合う仮説を選ぶ」という意味で演繹法に近い推理法であると述べている[4]。なお、劇中の本人は事件の真相を見抜くコツを聞かれた際「自分が犯人になりきる」と答えている(「ブラウン神父の秘密」)。

本編中の時系列が不明瞭なことが多いので経歴や年齢(生年)などははっきりしないが、初登場の「青い十字架」ではエセックスからロンドンで開かれる聖体大会に向かおうとしている神父で、これ以前に「ハートルプールで副司祭を勤めていた」と本人が言っている。年齢は冗談を言われている可能性もあるが「紫の鬘」で「もう百年は生きているだろうと思われる」[5]と新聞記者に言われている。

サセックス教区にいたのは初期の話で、ロンドンの教会や南米の教区へ異動になったこともある。貧しく、ときには犯罪に手を染める人々もいる教区が多い。また「機械のあやまち」の回の20年前にはシカゴの刑務所礼拝堂付神父であったことがあるが、「天の矢」の回の冒頭では「初めてアメリカに降り立った」としている[6](両方ともフランボウがすでに改心して探偵になっていることが冒頭で明記)。犯罪者から窃盗や詐欺などの犯行手口を告解により聞き取っている為、さまざまな犯行手口に通じている。なお、作者のチェスタトンは『自叙伝(Autobiography)』で「計算してみると私は少なくとも53の人殺しを犯して、罪を隠すための50もの死体の隠匿に関係している勘定になった」とシリーズについて言っているが、実際にはブラウン神父はそこまで頻繁に殺人事件には出くわしていない[7]

時系列で最初期[注 1]の三つの短編で宿敵関係にあったフランス人の大怪盗フランボウ(ディロック)[注 2]とは、その後改心を経て無二の親友となり、特に前半作品では大男の彼との凸凹コンビが数多く描かれているが、第4短編集『ブラウン神父の秘密』ではフランボウがスペインに引退してしまっているところから話が始まり、これ以後のフランボウとの話(「とけない問題」)は回想による時系列をさかのぼった物語となっている。

チェスタートン自身はブラウン神父のモデルが、旧知のジョン・オコナー神父であると明かしている(ただ知的な性格のモデルであって外見は全く違うという)[7]
登場作品一覧

訳題は基本的に創元推理文庫版(中村保男訳)に拠る。

ブラウン神父の童心』(The Innocence Of Father Brown, 1911年[注 3]

青い十字架(英語版) (The Blue Cross)『ストーリーテラー』1910年9月号[8]

秘密の庭 (The Secret Garden)『ストーリーテラー』1910年10月号[8]

奇妙な足音 (The Queer Feet)『ストーリーテラー』1910年11月号[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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