ブテン
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ブテン(butene)とは、二重結合を1つもつ不飽和炭化水素。分子式C4H8で表される。4種類の異性体があり、そのうち2-ブテンには幾何異性体であるシス型とトランス型が存在する。ブチレンとの呼称もある。分子量は56.10。マイケル・ファラデーによって1825年発見されたとされる。

二重結合をもつため、他のアルケン同様に付加反応を起こしやすい。と反応してブタノールとなったり、水素と反応してブタンとなったりする。それに加え、さまざまな付加重合体を形成する。

空気より重いガスで、非常に引火しやすく、厳重な警戒が必要である。
異性体

IUPAC名慣用名構造式球棒モデル形状CAS登録番号融点/沸点
(℃)
1-ブテンα-ブチレン無色透明の気体[106-98-9]-185.3/-6.3
cis-2-ブテンcis-β-ブチレン無色透明の気体[107-01-7]
(混合物)[590-18-1]-139.3/3.73
trans-2-ブテンtrans-β-ブチレン無色透明の気体[624-64-6]-105.8/0.88
2-メチルプロペンイソブテン無色透明の気体[115-11-7]-140.3/-6.9

イソブテン詳細は「イソブテン」を参照

エチレンの片方の炭素に結合している水素原子が両方メチル基に置換された構造をしている。示性式は、CH2=C(CH3)2

融点-140.3℃、沸点-6.9℃、無色で独特の臭いをもつ気体。CAS登録番号は115-11-7。
1-ブテン1-ブテンの構造式1-ブテンの分子モデル

示性式はCH2=CHCH2CH3。融点-185.3℃、沸点-6.3℃、発火点は384℃。やはり特有臭・無色の気体。CAS登録番号は106-98-9。
2-ブテン詳細は「2-ブテン」を参照

示性式はCH3CH=CHCH3。発火点はどちらも324℃。混合物のCAS登録番号は107-01-7である。

cis-2-ブテン 融点-139.3℃、沸点3.73℃。CAS登録番号は590-18-1。

trans-2-ブテン 融点-105.8℃、沸点0.88℃。CAS登録番号は624-64-6。

製造

今日、ブテン類は接触分解によるエチレンプロピレン、改質ガソリン製造の副産物として生産される。すなわち、接触分解により総重量で10%未満のC4留分が生成されるが、そこからブタジエンを回収した後の留分は、主成分がイソブテン(四十数%前後)であり、残りは1-ブテン(二十数%)、2-ブテン(二十数%)、n-ブタン(沸点-0.5℃)、イソブタン(沸点-11.7℃)などの混合物である。これら成分の生成比は上流工程の接触分解の生成比調節により変動する。

3種のブテンのうちイソブテンは化学的反応性が高く、あるいは分子サイズが他の異性体よりも小さいことから、化学的方法か物理的方法のいずれかで分離される。すなわち、化学的には適当な温度で硫酸と反応させて選択的にtert-ブチル硫酸エステルとして硫酸で抽出したり、適当な反応条件で選択的に硫酸触媒下水和させてtert-ブタノールとして化学的に分離する方法が採用される。化学的に分離されたtert-ブタノールは酸触媒下脱水することでイソブテンを再生する。また事例は少ないが、3?10オングストロームの細孔を持つ分子篩に、分子サイズの大きい1-ブテン、2-ブテンを吸着させイソブテンを物理的に分離する方法(UCC社Olefin-Sivプロセス)でイソブテンが分離される。

残りの、1-ブテン、2-ブテン、ブタン類は原理的には蒸留により分離が可能であるが、1-ブテンないし2-ブテンは分離することなく他の化成品の原料として転換され、未反応のC4アルカンは接触分解の副原料として回収利用される。すなわち、1-ブテン、2-ブテンの水和はマルコフニコフ則に従い、いずれも2-ブタノールを与え、そのままか、あるいはさらに触媒的空気酸化によりメチルエチルケトンに転換されるなどして各種化製品の原料となる。
関連項目

ブタノール

メチルエチルケトン










アルケン
アルケン

エテン ( C2H4 )

プロペン ( C3H6 )

ブテン ( C4H8 )

ペンテン ( C5H10 )

ヘキセン ( C6H12 )

ヘプテン ( C7H14 )

オクテン ( C8H16 )

ノネン ( C9H18 )

デセン ( C10H20 )

調製

ハロアルカンの脱ハロゲン化水素(英語版)

アルコール脱水反応

アルキン半水素化

バンフォード・スティーブンス反応

バートン・ケロッグ反応(英語版)

ボードオレフィン合成(英語版)

シュガエフ脱離

コープ脱離

コーリー・ウィンターオレフィン合成(英語版)

グリエコ脱離(英語版)

ホフマン脱離

ホーナー・ワズワース・エモンズ反応

ヒドラゾンヨウ素化(英語版)

ジュリア・リスゴーオレフィン化

カウフマンオレフィン化(英語版)

マクマリー反応

ピーターソン反応

ランバーグ・バックランド反応

シャピロ反応

高井オレフィン化反応

ウィッティヒ反応

メタセシス反応

エン反応

コープ転位

反応

水素化

ハロゲン化

水和

求電子付加反応

オキシ水銀化

ヒドロホウ素化

シクロプロパン化(英語版)

エポキシ化

ジヒドロキシル化(英語版)

オゾン酸化

ハロゲン化水素化(英語版)

重合反応

ディールス・アルダー反応

ワッカー酸化

脱水素化

エン反応

フリーデル・クラフツ反応

典拠管理データベース: 国立図書館

ドイツ

イスラエル

アメリカ

日本


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