フーベルト・ファン・エイク
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フーベルト・ファン・エイク
『墓場の3人のマリア』
フーベルト・ファン・エイク作といわれる, ボイマンス美術館(ロッテルダム), 1410年 - 1420年頃
誕生日1385年 - 1390年
出生地ブルゴーニュ領ネーデルラント(現在のベルギー)、マースエイク
死没年1426年9月18日
芸術分野絵画
後援者ブルゴーニュ公フィリップ3世
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フーベルト・ファン・エイク (: Hubert van Eyck、1385年から1390年頃 - 1426年9月18日)は初期フランドル派の画家。弟は同じく初期フランドル派の画家であるヤン・ファン・エイクで、ヤン以外の弟ランベルト、妹マルハレータも画家だった。フーベルトが一人で完成させたと確定している作品は存在していないが、初期フランドル派の礎を築いた傑出した芸術家として、何世紀にもわたって高く評価されてきた[1][2]
生涯とキャリア

フーベルトは現在のベルギーにあたるフランドルマーサイク (Maaseik) の地主階級の家に生まれたと考えられている。

「フーベルト」はそれほどありふれた名前ではなく、トンゲレンの聖母教会に残る1409年の板絵制作に関する支払記録に記載されている「画家フーベルトゥス (Magister Hubertus, pictor)」がフーベルトではないかといわれている。また、ヤン・デ・フィス・ファン・デル・カペレが1413年に死去する際に、フレーフェリンゲン近郊のベネディクト派女子修道院の修道女だった娘に残した板絵の作者マスター・フーベルトも、フーベルトのことだと考えられている。しかしながら、中世においてマスター(親方、師匠)の称号を得るためには徒弟として修業を積み、ギルドに認定される必要があるが、当時の芸術家ギルドの記録にフーベルトの名前は見当たらない。このことから、フーベルトはギルドの一員ではなく教会の下級聖職者だったのではないかとされている。おそらくは当時は修道院だった、現在のヘントのシント・バーフォ大聖堂 (en:Saint Bavo Cathedral) と関係があるといわれている。フーベルトは1420年ごろまでにヘントに住んでおり、シント・バーフォ大聖堂には、ヤンとフーベルトが描いた大作『ヘントの祭壇画』が、現在も所蔵されている[1]フーベルトが制作を開始し、その死後に弟ヤンが完成させた『ヘントの祭壇画』。

フーベルトはヘントへと移住した前後の時期に、フーベルトが手がけたと記録に残る、現存する唯一の作品『ヘントの祭壇画』の制作を開始した。しかしながらフーベルトはこの作品を描きあげることなく1426年に死去し、『ヘントの祭壇画』が完成したのはフーベルトの死後6年が経過した1432年のことだった。フーベルトの後を継いで『ヘントの祭壇画』を完成させたのは弟のヤンである。このため、現在でも『ヘントの祭壇画』の主たる作者がフーベルトなのかヤンなのかが議論の的になっている。1566年にオランダで巻き起こった偶像破壊運動で破壊されたオリジナルのフレームには「上回る者は誰もいない (maior quo nemo repertus)」画家フーベルト・ファン・エイクがこの祭壇画を描き始めたが、「二番目に優れた芸術家 (arte secundus)」ヤン・ファン・エイクが1432年に完成させたという、ヤンが記した銘が残されていた[3]

現在はヤンが描いたという説が主流となっている『キリスト磔刑と最後の審判』がフーベルトの作品だと考えていた美術史家ブライソン・バローズは「北方絵画の始祖」としてフーベルトを評価しており、『ヘントの祭壇画』ではフーベルトが下絵を担当し、その死後にヤンが絵画作品として仕上げたという説を1933年に唱えた[3]。この説の一部は、現代の専門家たちからも支持されている。科学的解析によって『ヘントの祭壇画』には何度も手が加えられており、現在の画肌の下には上描きされた絵の具の層と下絵が存在することが判明している。製作過程にこのようなな背景があるために、『ヘントの祭壇画』はファン・エイク兄弟が率いていた工房の弟子以外に、他の画家が関わっているのかどうかを判断することが非常に困難な作品となっている[4]

1425年に、二点の絵画作品のデザインをフーベルトに依頼していた、ヘントの治安判事がフーベルトの工房を訪れという記録が残っている[1]。フーベルトは1426年9月18日におそらくは30歳代で死去した[5]。フーベルトの遺体はシント・バーフォ大聖堂(当時は教会)の、すでに死亡していた妹マルハレータの隣に埋葬された。16世紀の著述家ファン・ファールネウェイクはマルハレータも画家で未婚のまま死去したと記録している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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