フレッチャー級駆逐艦
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フレッチャー級駆逐艦
1番艦「フレッチャー」(1942年7月18日撮影)
基本情報
種別駆逐艦
命名基準海軍海兵隊功労者。
運用者

 アメリカ海軍

 アルゼンチン海軍

 イタリア海軍

 大韓民国海軍

 ギリシャ海軍

 コロンビア海軍

 スペイン海軍

 中華民国海軍

 チリ海軍

 トルコ海軍

 西ドイツ海軍

 海上自衛隊

 ブラジル海軍

 ペルー海軍

 メキシコ海軍

建造期間1942-1944年
就役期間

1943年-1971年

1959年-1974年

1970年-2001年

計画数188隻
建造数175隻
前級グリーブス級
次級アレン・M・サムナー級
要目 ([2]
基準排水量2,100 t
満載排水量2,850 t
全長114.75 m
最大幅12.02 m
吃水3.82 m
ボイラー43.3kgf/cm2, 454℃×4缶
主機GE蒸気タービン(30,000shp)×2基
推進器推進器(350rpm)×2軸
出力60,000 shp
最大速力36.5 kt
航続距離

4,970海里 / 11kt巡航

4,490海里 / 15kt巡航

3,480海里 / 20kt巡航

6,500海里 / 15kt巡航(?)[1]

乗員322名
兵装#兵装・電装要目
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フレッチャー級駆逐艦(フレッチャーきゅうくちくかん Fletcher-class destroyer)は、アメリカ海軍駆逐艦の艦級。最も多く発注された駆逐艦の艦級であり、1942年から1944年にかけて175隻が建造された。艦名については、1914年の米墨戦争時にベラクルス上陸を指揮し名誉勲章を受章したフランク・F・フレッチャー提督に因んでいる。

フレッチャー級は従来のアメリカ海軍駆逐艦より大幅に大型化しており、航洋性・武装ともに強化されたことから大きな成功を収め、駆逐艦の標準とも言える艦級となった。また、続いて建造されたアレン・M・サムナー級ギアリング級のベースともなった。目次

1 設計

2 装備

2.1 兵装・電装要目


3 配備

3.1 アメリカ国外での運用

3.2 保存艦


4 登場作品

5 参考文献

6 外部リンク

設計

フレッチャー級の設計にあたっては、基本的な要求は従来と変わっておらず1939年に設計を開始した時には基準排水量1,600t前後、速力36ノットの計画であった。しかし船体強度を増すため船型を従来の長船首楼型から平甲板型に変更し、また同時期の大型艦比で5ノットの優速を目標に主機関を増強したことから、条約の制約がなかったこともあって大型化し、アメリカ駆逐艦としては初めて基準排水量が2,000tを超える、空前の大型駆逐艦となった[3]

溶接範囲の拡大に伴って、船体構造は縦肋骨方式の部分が拡大された。弾片防御を重視したこともあり、船体の材料としては特殊処理鋼(STS)が多く採用された。また、戦時急造期であったこともあり、艤装などあらゆる面に標準化が推進されている。フレッチャー級の設計は、以後チャールズ・F・アダムズ級ミサイル駆逐艦に至るまでのアメリカ駆逐艦の基本線となった[4]

上記の通り速力増強の要請に伴い、主機出力は従来艦の50,000馬力から60,000馬力に増強されている。機関配置としては、ベンソン級以来の分離配置が踏襲され、ボイラーを2基ずつ収容した缶室と、蒸気タービン減速機復水器等を収容した機械室がセットになり、前部缶室・前部機械室・後部缶室・後部機械室の順に直列のシフト配置とされている。主ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の重油専焼式水管ボイラーを4缶搭載しており、蒸気性状は圧力43.3 kgf/cm2 (616 lbf/in2)、温度454℃。主機はゼネラル・エレクトリック(GE)社製のオール・ギヤード蒸気タービンであるが、DD-649,662?665ではフォスター・ホイーラー社製とされている。減速機としては初めて2段減速歯車装置が採用されており、タービンは高速回転とされた[5] フレッチャー級一般配置図
CMC:管制室PH:操舵室
S:CIC:戦闘指揮所
5:5インチ38口径単装砲 (1番 - 5番)IC&P:内部通信およびプロット
HR:弾薬取扱室DC:爆雷
EQ:兵員用居室BR:ボイラー
M:弾薬庫40:ボフォース40mm連装砲
OQ:士官用居室G:厨房
W:医務室L:洗濯室
CM:食堂T:魚雷発射管
FO:燃料MSP:Medical Stores and Electrical
ER:エンジンルーム

装備

主砲としては、初代ファラガット級以来のMk.12 38口径5インチ砲5門装備が踏襲された。砲射撃指揮システム(GFCS)としても、同様にMk.37 砲射撃指揮装置が艦橋上に搭載されている。当初は射撃指揮レーダーをもたなかったが、のちにUHF帯のMk.12、さらにXバンドのMk.25が装備された[3]

一方、高角機銃に関しては大規模な換装・増設が重ねられたことから、各艦ごとの差異が大きい。初期建造艦では、当初、3・4番砲間に75口径28mm機銃の4連装マウントが搭載されていた。しかし第二次世界大戦中の戦訓から防空強化の必要性が痛感されたことから、これを撤去するかわりに、ボフォース 40mm機銃エリコン 20mm機銃が増備された。多くの場合、2番砲の後方両舷、後部煙突脇両舷と28mm機銃の撤去跡に40mm連装機銃が設置されていたほか、上掲の一般配置図に示す通り、一部艦では5連装魚雷発射管のうち1基を撤去して、さらに40mm連装機銃が搭載された。また各所に20mm機銃多数が装備された。20mm機銃はしばしばジャイロスコープ内蔵のMk.14照準器を備えており、また40mm機銃はこれにFCSとしての機能を付加したMk.51 射撃指揮装置による射撃指揮を受けていた[6]


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