フレイヤ
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この項目では、北欧神話の女神について説明しています。その他の用法については「フレイア」をご覧ください。

「ヴァナディース」はこの項目へ転送されています。小惑星については「ヴァナディース (小惑星)」をご覧ください。

フレイヤ
愛と美の女神豊穣の女神
アーサー・ラッカムが描いた、リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ラインの黄金』に登場するフライア。フレイヤに相当するが、青春の林檎を管理するという女神イズンの役割も持たされている
住処フォールクヴァング
配偶神オーズ
ニョルズニョルズの姉妹妻
兄弟フレイ
子供フノスゲルセミ
乗り物ベイグルとトリエグルが牽く車
ヒルディスヴィーニ
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フレイヤ (Freja, Freyja) は、北欧神話における女神の1柱。ヴァン神族出身で、ニョルズの娘、フレイの双子の妹である[1]。「ヴァンたちの女神」[2]を意味するヴァナディース (Vanadis) とも呼ばれる[3]

フレイア、フレイアー、あるいはドイツ語風にフライア、フライヤというカナ表記が用いられる。綴りについては英語やドイツ語では(専門家以外は)Freyaが多く、Freiaなどもある。

生と死、愛情と戦い、豊饒とセイズを司り、オーディンニョルズとは対概念的な存在である[4]。非常に美しく力のある女神とされ[5]、豊饒神としての性格上性的に奔放であり、ヴァン神族では普通のこととされているものの、父ニョルズや兄フレイとも肉体関係があったほか、霜の巨人[2]ドヴェルグたちが[6]身代金や報酬として彼女を望むなど、しばしば性的な欲望の対象になった[2]
名の由来詳細は「フレイヤの名称一覧」を参照

フレイヤという名は「婦人」という意味であり、最終的にはゲルマン祖語の *fraw(j)?n(en)に由来する。フレイヤは古ザクセン語で「婦人、女主人」を意味する fr?a や(現代ドイツ語の「婦人」を意味する Frau に対応する)古高ドイツ語の frouwa と同根語である[7]。フレイヤという神の名は、今日ではもう証明できない神の個人名を置き換えるのに用いられた形容語句に起源を持つと考えられている[8]。置き換えの結果、元の名前は完全にタブーとなったか、他の既に知られている女神に引き写される、あるいは下位に置かれるなどの過程を経たかのいずれかであると考えられる。
概要
来歴

フレイヤはヴァン神族の出身であり、ヴァン神族とアース神族の抗争(ヴァン戦争)が終了し和解するにあたり、人質として父、兄とともにアースガルズに移り住み[1]、アース神族にセイズをもたらした。
関係者

海神ニョルズとニョルズの妹の間の子であり、豊穣神フレイの双子の妹である[9]。夫はオーズ[10][11](おそらくアース神族)。フノス[12][11]ゲルセミ[11]という娘がいる。オッタル[13]という人間の愛人がいる。
所有物

フレイヤの住む館はフォールクヴァングといい、その広間セスルームニルは広くて美しいといわれており、そこで戦死者を選び取るとされている[14][15]

ブリーシンガルの首飾り[16]もしくはブリージンガメン[3]という、神をも魅了する黄金製(もしくは琥珀製)の首飾りを所持している。
動物との関わり

が多産であることから、豊饒の女神であるフレイヤの聖獣とされている。

フレイヤは2匹の巨大な猫が牽く車を持っており、移動手段としている[15][17]。古ノルド語でそれぞれ蜂蜜と琥珀を意味するベイグルとトリエグルという名前が知られているが、ダイアナ・ルシル・パクソンの小説で登場した創作である。ヒルディスヴィーニというも持っていてこれに乗って移動することもある。愛人のオッタルが変身した姿ともいわれている[18]

フレイヤ自身が動物に変身することがある。フレイヤは夜になると、牝山羊に変身して牡山羊と遊ぶという。他に着るとに変身できる鷹の羽衣をもっており、この羽衣は何度かロキに貸している。
主なエピソード
愛を司る女神

性に関しては奔放でだらしない面があり、首飾りを手に入れる際も、製作した4人の小人たちに求められるまま、4夜をともに過ごしたとされる[19]。人間や神々の中にも多くの愛人がいたという。特にお気に入りだったのが人間の男性オッタルで、彼を猪に変身させてそれに乗って移動することもあったという。そのためか、夫オーズに去られている。

フレイとも関係を持った事があるが、ヴァン神族において近親婚は日常的に行われる。『古エッダ』の『ロキの口論』においても、ロキから、フレイヤが兄と一緒にいるときに神々が乱入したことを指摘されている[20]

人間が恋愛問題で祈願すれば喜んで耳を傾けるともいわれている[15]

名前の類似からフリッグ(別名フリーン)と混同されやすい。また、愛の女神という点で、ローマ神話ウェヌスと同一視されることもある。
豊穣の女神

兄のフレイと共に豊穣神としてアース神族の最重要神とされる。

霜の巨人からしばしば身柄を狙われている。たとえば、破壊されたアースガルズの城壁の建設を請け負った石工は、正体が山の巨人であったが、報酬として望んだのはフレイヤと太陽と月であった[10][21]。また、巨人スリュムがアース神のトールの持つ最強の武器を盗み、返却の条件として出したのは自身とフレイヤとの結婚であった[22]。巨人フルングニルヴァルハラ宮内で酒に酔った時は、フレイヤとシヴだけを自分の国へ連れて行き後は皆殺しにするなどと豪語した[23]


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