フルミント
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フルミント
ブドウ (Vitis)
フルミントのブドウの房
色白
Vitis vinifera
原産地ハンガリー, スロヴァキア
親系統1グーエ・ブラン
主なワイントカイ
種子の形成完全種子
花の性別雌雄同体
VIVC番号4292
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フルミント(Furmint)はトカイ丘陵ワイン生産地域で栽培され、最もよく知られる白のハンガリーワインブドウ品種で、単一品種製ドライワインの生産に使われ、トカイデザートワインの主要なブドウとして知られている。ハンガリーの小さなワイン生産地域であるショムローイ(英語版)でもまた栽培されている。フルミントはスロバキアのワイン生産地域のトカイでも (トカイのワイン生産地域はハンガリーとスロバキアにまたがっており、両国ともにワイン生産地域として指定されている)、同じような役割を担っている。オーストリアでも栽培されており、"モスラー"と呼ばれている。スロベニアではより小規模な栽培が見られ、"シポン"として知られている。クロアチアでもまた栽培が行われており、"モスラヴァッツ"として知られている。この他、ルーマニアや旧ソ連の構成共和国でも栽培が見られる[1]。フルミントは晩生品種である。辛口のドライワインの生産に供するため、収穫は通常9月から始められるが、貴腐ワイン用の特別な収穫は10月後半かそれ以降から開始され、しばしば灰色カビ病に感染する (いわゆる貴腐)[2]

フルミントという名称はそのワイン製品の液色が小麦の金色に例えられる事から、フランス語の小麦を表す単語"froment"から取られている可能性が高い。13世紀ベーラ4世の治世の間にハンガリーに持ち込まれた可能性があるが[3][4]、アンペルグラファー (ブドウ品種学者)らはこの地域に固有の品種であると信じている[5]
歴史

フルミントは遅くとも16世紀後半にはハンガリー北東部のトカイ地域で栽培されており、その裏付けとして1571年5月15日の日付でトカイのHetsz?l?葡萄園で栽培された事が書かれた文書が存在する。1611年、トカイの約20km (12マイル)北に位置するエルドベニヤ(英語版)の町に近いツェンプリン山地(英語版)のギャピュー渓谷でも栽培されていたことが記されている[5]

他の多くのワイン用ブドウが伝統的なトカイのデザートワインの生産に使用されてきたが、フルミントワインの使用は1796年にハンガリーの政治家ヤノス・ドゥレクセニィ(ハンガリー語版)がフルミントを"本物のトカイ・アスーのブドウ"と述べ、少なくとも18世紀中に確立された[5]
起源グーエ・ブラン (フルミントの親品種の一つである可能性が高い)

21世紀初頭、DNA分析がフルミントとハンガリーのブドウ "グーエ・ブラン(英語版)"の間に親と子孫の関係が存在することを確認した。グーエ・ブランは、中世初期から文書に記載されており、リースリングシャルドネ、エルプリング(英語版)、ガメなどのいくつかのブドウ品種の親として確定されているが、アンペルグラファーらは他の証明方法によることなく、フルミントがグーエ・ブランの子孫であると考えている[5]

DNA分析はまた、ハンガリーのワイン用ブドウのハールシュレヴェリュースイスのワイン用ブドウのプランツシェアー(英語版)との間には親子関係が存在するが、フルミントとグーエ・ブランの第2の親ではないことを支持しているが、アンペルグラファーらはフルミントが両ブドウ品種の親の1つである可能性が高いと考えている[5]

ピノ・ノワールサンジョヴェーゼ、その他多くのブドウ品種と同様に、フルミントはピロス・フルミント (Piros Furmint)と呼ばれるピンク色の皮の色調変異を含む数々のクローン品種を世に送り出している。ほぼすべてのクローンがトカイ生産地域内でほぼ独占的に発見されているため、アンペルグラファーらは、フルミントがハンガリーのこの地域に由来する可能性が高いと考えている[5]
その他の説フルミントはベーラ4世 (写真)の治世中にハンガリーに持ち込まれたかもしれない

フルミントの起源に関する他の説として、中世にオーストリア=ハンガリー帝国の領域に持ち込まれた説がある。マスターオブワイン(英語版)でもあるジャンシス・ロビンソンが記した"ベーラ4世王"によると、フルミントはベーラ4世の治世中の13世紀にハンガリーに持ち込まれた可能性がある。モンゴル帝国によるハンガリー侵略がもたらした破壊の後、ベラは荒廃したブドウ畑を急速に復興させる必要があると考えた。王は、ブドウ栽培とワイン製造に精通した人々の大量移民を奨励するいくつかの政策を制定した[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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