フランダースの犬_(アニメ)
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1992年放送のテレビアニメ「フランダースの犬 ぼくのパトラッシュ」とは異なります。

世界名作劇場
通番題名放映期間
第1作フランダースの犬1975年1月
- 1975年12月
第2作母をたずねて三千里1976年1月
- 1976年12月
第3作あらいぐまラスカル1977年1月
-1977年12月

フランダースの犬


ジャンル児童文学
アニメ
原作ウィーダ(マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)
監督黒田昌郎
シリーズ構成六鹿英雄、松木功、中西隆三
キャラクターデザイン森康二
音楽渡辺岳夫
アニメーション制作ズイヨー映像日本アニメーション
放送局フジテレビ系列
放送期間1975年1月5日 - 12月28日
話数全52話
ネロ
ジェハン
アロア
コゼツ
エリーナ
ナレーター喜多道枝
及川広夫
桂玲子
大木民夫
中西妙子
武藤礼子
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『フランダースの犬』(フランダースのいぬ)は、1975年1月5日から同年12月28日まで、フジテレビ系列で毎週日曜19:30 - 20:00(JST)に全52話が放送された、日本アニメーション制作のテレビアニメ、およびそれを基にした劇場版アニメなど派生作品の総称。『世界名作劇場』の第1作に当たる。
概要

原作はイギリス人作家ウィーダの同名小説『フランダースの犬』。オープニングでの原作のクレジットは、ウィーダの本名ルイス・ド・ラ・ラメー(ルイスの前の「マリー」が欠落した誤記)となっている。物語の舞台であるベルギーでは、イギリス文学である原作の知名度がそれほど高くないうえ、内容も評価されていなかった(フランダースの犬#各国での評価を参照)こともあり、本作品が放送されることもなかった。しかし、本作品の影響で日本から多くの観光客が訪れることもあり、アントワープに記念碑や銅像が建てられた[1]

今日でこそ『世界名作劇場』の第1作として認知されているが、初回放送当時は第26話まで、ズイヨー映像制作のもと『カルピスまんが劇場』のタイトルで放送されていた。第21話より日本アニメーション制作に切り替わった際にタイトルも『カルピスこども劇場』に変更(※ただし、第24話 - 第26話では『カルピスまんが劇場』に戻っている)。後年リリースされたDVDなどでは、日本アニメーション表記のオープニング映像を使用している都合上、全話とも『カルピスこども劇場』に統一の上で収録されている。

最終回の視聴率ビデオリサーチ・関東地区調べで30.1%を記録したが、これは『世界名作劇場』枠内アニメの視聴率で最高記録である。特にラストシーンは悲劇の代表格として現在でも広く知られ、『なつかしのアニメ名場面特集』などのテレビ特番では定番シーンとなっている[2]。他方で、前作『アルプスの少女ハイジ』と次作『母をたずねて三千里』の主要スタッフであり本作品にもわずかながら参加していた宮崎駿は、「視聴率的には成功したんですが、僕はゴミみたいな作品だと思うんですけどね」と本作品を評している[3]

2010年3月、世界名作劇場放送35周年を迎えた日本アニメーションは、本作品に登場するパトラッシュの名前を冠した「パトラッシュ基金」を発足させ[4]盲導犬育成普及事業の支援を開始した。
原作との相違点

原作小説と本作品の設定にはかなりの相違点がある。

原作は短編(新潮文庫版では60ページほど)のため、本作品の序盤から中盤までのほとんどがオリジナルストーリーで占められている。終盤についても、展開や時系列が原作とは異なっている[5]。オリジナル部分の方針について黒田監督は「ネロはジェハンやアロア、パトラッシュと一緒にいられるだけで幸せだったんだと思う。悲しくするのをやめて、明るさを徹底的に出したかった」と語っている[6]。他の主な相違点は以下の通り。

本作品オリジナルのキャラクターが多数登場している。ミシェルやヌレットのように原作では名前しか登場しないキャラクターも、本作品の制作に当たって詳細な設定が与えられた。このようにオリジナルストーリーが多数を占め、オリジナルキャラクターが多数登場する制作スタイルは、後番組『母をたずねて三千里』にも踏襲された。

原作ではネロ15歳、アロア12歳(本作品ではネロ10歳、アロア8歳)という設定だった。コゼツがネロを嫌っているのも、「(未だに)画家になろうなどと馬鹿げた夢ばかり見ている乞食」[7]とネロを評しており、その一方で美男子でもあった[8]ため、万が一アロアと間違いを起こされては困るから[9]というのが理由だった。

本作品のパトラッシュは人語を解するように描写されているが、原作ではパトラッシュの心情が具体的かつ明確に描写されている。

作中で印象的に登場する風車小屋はコゼツの家に併設されているもので、村の共有財産ではないなど設定も多くが異なる。終盤の風車小屋の火災の話も原作では中盤に起こり、納屋と小麦が燃えただけで風車自体は無事、小麦にも保険がかけられていて金銭的損害は皆無だったため、村人の損害にコゼツが頭を痛めるといった話はない。

本作品にてネロがコンクールに応募した絵は、ジェハンとパトラッシュを描いたものだったが、原作では木こりのミシェルの絵だった。

クリスマスイブの夜、本作品ではコゼツ家や村の人々がネロの行方不明に気付いて必死にネロを探している。一方、原作では、コゼツは大金が戻ったことに、アロアはまたネロと付き合えることに大喜びし、村人も総出のクリスマスパーティで浮かれており翌日まで誰もネロの失踪に気付かなかった[10]

原作のラストは、(本作品最終回の翌日にあたる)クリスマスの日の昼近く、大伽藍でルーベンスの絵を見て微笑むように死んでいるネロを町の人々が見つけ、駆けつけたコゼツたちが悲嘆に暮れるというもので、本作品のそれとは全く異なる[11]。このような原作のラストであるにもかかわらず、これを知っている視聴者によるネロたちの助命嘆願がすでに多く局に寄せられ、その後も多く嘆願が来るほどだった(44話のジェハンの死を受けても「かわいそう」などと言う声が1000通以上も寄せられた)。フジテレビ広報部は「子供たち夢を与える結末に絶対します」としながらも、原作通りの結末にするのかどうかの決断を迫られていた[12]。そしてテレビシリーズの最終回でネロとパトラッシュが天使にかかえられて召天するシーンをイメージし実現させたのは、スポンサーのカルピスの当時の社長の土倉冨士雄である。土倉は熱心なクリスチャンであり、死は終わりではなく天国への凱旋だという考えを持っていたためである[13]

ジェハンは原作ではナポレオン戦争の戦傷の影響で足が不自由であり、リューマチの持病もあってネロが6歳の頃には荷車を引けなくなっている。その後、長い間寝たきり状態の果てに亡くなった。パトラッシュを拾ってきた経緯はほとんど変わらないものの、原作ではジェハンが80歳、ネロが2歳のころの出来事である。

パトラッシュの元の飼い主である金物屋は、原作では酔っ払った勢いで起こした喧嘩によって殺されている[14]ため、パトラッシュの代金としてジェハンに大金を支払わせるといった話は無い。

パトラッシュの犬種

本作品ではパトラッシュの犬種について言及がなく、原作でも「フランダース産の大きな労働犬」としか書かれていないが、原作本文では『フランダースの犬は、一体に頭も四本の脚も大きく、耳は狼のようにぴんと立っていて、何代も何代も親ゆずりの荒い労働で鍛え上げたがっしりしたその足は、何(いず)れも外側にひらいてふんばっていて、見るからに異常な筋肉の発達を示しています』[15]と外見について説明する一文が存在する。一般的に言われているブーヴィエ・デ・フランドルとは外見上の特徴が全く異なり[16]、どちらかと言えば本作品のデザインに近い。

このように実際のフランドル犬と大きくイメージの異なる外見に変更した理由について、監督の黒田昌郎は労働犬として飼われることや写真を見てパトラッシュのイメージと大きく違うと感じて[17]、「子供たちに馴染んでもらい易くするため、セント・バーナード和犬を参考にデザインした」と語っている。


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