フランス国家警察特別介入部隊
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RAID
RAID隊員。肩章はFIPNのもの
創設1985年
所属政体 フランス
所属組織フランス国家警察
兵種/任務/特性対テロ特殊部隊
人員約300名[1]
所在地エソンヌ県ビエーブル
(イル=ド=フランス地域圏)
および7個分遣隊
(リール, ストラスブール, リヨン, ニース, マルセイユ, ボルドー, レンヌ)
愛称黒豹
標語Servir sans faillir
(失敗無く仕える)
上級単位国家警察総局 (DGPN)
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特別介入部隊(とくべつかいにゅうぶたい)は、フランス国家警察特殊部隊。正式名称は「捜査・支援・介入・抑止」(フランス語: Recherche, Assistance, Intervention, Dissuasion)であり、RAIDと略称される[2][3]
来歴

国家警察総局(DGPN)では、1972年ドイツで発生したミュンヘンオリンピック事件を受けて、公共安全中央局(DCSP)指揮下の特殊部隊として介入部隊(GIPN)の編成に着手した[4]。同年10月27日、ジョルジュ・グエン・ヴァン・ロック上級警視正の指揮下に、マルセイユに1個隊が設置されたのを皮切りに、1985年までに7個隊が編成された。これらの隊は、DGPNの指令に応じて全国に展開可能ではあったが、基本的にはそれぞれの拠点近傍の事件に対応していた[5]。GIPNでは対応困難な事案に対しては、やはりミュンヘンオリンピック事件を受けてパリ警視庁が設置したコマンド対策部隊(BRI-BAC)が投入されていたが、これは捜査介入部(BRI-PP)の刑事たちを基幹とした集成部隊であり、人質救出作戦対テロ作戦に専従する人員ではなかったことから、出動が重なると通常業務に支障をきたすおそれがあったほか、パリ警視庁の部隊であるためにDGPNの指揮下にはなく、パリ圏外への投入には、その都度、内務大臣からの命令を受ける必要があった[6]

このことから、1985年10月23日、国家警察総局(DGPN)の直轄下で、全国規模で対テロ作戦に対応する部隊が設置されることとなった。これがRAIDである[4][5]
編制RAIDのネクスター「ティトゥス」装輪装甲車

上記の経緯より、RAIDは、フランス国家警察の最高指揮組織である国家警察総局(DGPN)の直轄下にあり、当初は170名規模で編制されていた[7]。国家警察の最精鋭部隊として、他の部隊よりも手厚い予算措置が組まれている[8]。国家警察はフランスの都市圏での警察活動を担当しており、この担当地域内で発生した事案のうち、GIPNでは対応が困難なものについてRAIDが対応する体制となっていた。その後、2009年7月31日に国家警察介入総隊(FIPN)が設置され、RAIDとGIPN、そしてBRI-BACの作戦指揮が統一されることになった[2]。その後、2015年4月に国内のGIPN部隊は廃止され、RAIDに統合された[7]。これにより、人員は約300名に増強された[1]

入隊するためには最低5年間の勤務歴が必要とされる。9ヶ月の訓練コースでは、航空機など輸送機関への突入、空挺降下、戦闘潜水、監視などの訓練を行う。なお、拳銃としてはマニューリン MR 73ベレッタM92グロック17/19/26SIG SP2022短機関銃としてはH&K MP5FN P90自動小銃としてはSIG SG551[9]M4カービンH&K G36H&K HK417FN SCAR狙撃銃としては国家警察の狙撃手で標準的なティッカT3のほか、特級射手はブレイザーR93LRS2[8]やPGMウルティマラティオを使用し、また1,000メートル以上の超長距離射撃に備えた対物ライフルとして、PGM ヘカートIIも装備する[10]

RAID隊員によるVIP警護訓練 (2018年)







活動史

創設直後の1985年12月にナントで発生した重罪院立てこもり事件で早速出動した。また1987年の直接行動幹部の検挙や、1993年5月にヌイイ=シュル=セーヌで発生した保育園立てこもり事件での出動により、国民の間でも有名になった。

2012年3月のミディ=ピレネー連続銃撃事件では、家宅捜索に抵抗した殺人容疑者宅を包囲、32時間後に突入。約4分間の激しい銃撃戦の後、容疑者が窓からバルコニーへ出たところを狙撃手が射殺。突入側は2名が軽傷。

また2015年1月9日ユダヤ食品店人質事件や同年11月13日バタクラン劇場占拠事件(パリ同時多発テロ事件)では、パリ警視庁のBRI-BACと共同で突入を行っている[11]
参考文献^ a b GMPA (2015年10月28日). “ ⇒30 ans du RAID” (フランス語). 2016年2月18日閲覧。
^ a b フランス国家警察 (2012年6月13日). “ ⇒Le RAID (Recherche, Assistance, Intervention et Dissuasion)” (フランス語). 2016年1月3日閲覧。
^ 警察庁「第2節 テロ対策」『平成14年 警察白書』2002年。https://www.npa.go.jp/hakusyo/h14/h140202.html。 
^ a b La Tribune du commissaire (2015年). “ ⇒DOSSIER - L’intervention de police dans tous ses etats” (フランス語). 2016年1月3日閲覧。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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