フランコフォニー国際機関(フランコフォニーこくさいきかん、仏: Organisation Internationale de la Francophonie、英: International Organization of La Francophonie、OIF)は、世界中の様々な文化圏に属する、民主主義や人権といった普遍的な価値観とフランス語とを共有する国・地域の総体であるフランコフォニーの名を冠した国際機関である[1][2]。
概要拡大過程
フランコフォニー国際機関に加盟している国・地域はフランス語圏に限定されず、英語圏やポルトガル語圏(カーボヴェルデやサントメ・プリンシペ)、アラビア語圏(チュニジアやモロッコなど)の国もあるため「フランコフォニー国際機関の加盟国=フランス語圏」とは必ずしも言い切れない[3]。
ケベック州(フランス語のみが公用語)とニューブランズウィック州(英仏両語を公用語とする)を除いて基本的には英語が優勢なカナダも、両州が州単位で参加しているのに加え、カナダとしても参加をしている。
ベトナム[4]やラオスなどのように旧フランス植民地といえどもフランス語を公的な場で使用することがほとんどない国や、南欧のギリシャやアフリカのエジプトなどのようにフランスの植民地や保護領にすらなったことのない国もある。そしてオブザーバーとして東欧のポーランド、チェコ、スロヴァキアや、ドイツ語圏に属するオーストリア、スペイン語圏に属するメキシコ、アルゼンチンやウルグアイ、東南アジアでは例外的に各勢力からの独立を維持してきたタイ王国、東アジアからは韓国も加わっている。
しかし、旧フランス海外領地の一つであるアルジェリアは、フランス語が比較的通用するが政治的な理由などで加盟していない。
沿革
1970年?1997年:文化技術協力機関(フランス語版、英語版)(Agence de cooperation culturelle et technique、ACCT)
1970年3月20日(後のフランコフォニー週間の起源)、旧フランス領だった各国の指導者である、セネガルのレオポルド・セダール・サンゴール、チュニジアのハビーブ・ブルギーバ、ニジェールのアマニ・ディオリ、カンボジアのノロドム・シハヌークにより、ニジェールの首都ニアメで設立された。その後、カナダのフランス語圏であるケベック州が加わり、1970年代になると同じくカナダの首相であるピエール・トルドーがサミット構想を掲げた。かつての「本国」フランスは、この動きを新たな植民地政策につながりかねないとして積極的に関わらなかったが、ケベック州の仲介などでフランソワ・ミッテラン大統領期の1986年に第1回サミット開催を引き受けてから積極的に参加するようになった。
1998年?2005年:フランコフォニー政府間機関(Agence intergouvernementale de la francophonie、AIF)
1997年の第7回フランコフォニー・サミット(フランス語版)(ベトナム・ハノイ)で改組が決定され、新設のフランコフォニー事務総長(フランス語版)(初代)にブトロス・ブトロス=ガーリ前国際連合事務総長が選任された(在任:?2002年)。2002年の第9回フランコフォニー・サミット(レバノン・ベイルート)で、続く第2代フランコフォニー事務総長にアブドゥ・ディウフ前セネガル共和国大統領が選任された(在任:2003年?2014年)。
2006年?:フランコフォニー国際機関(Organisation internationale de la francophonie、OIF)
2005年のフランコフォニー閣僚会議で改組が決定された。2015年から第3代の事務総長としてミカエル・ジャン前カナダ総督が(在任:?2018年)、続く第4代にルイーズ・ムシキワボ(フランス語版、英語版)前ルワンダ外相(在任:2019年?現在)が、それぞれ選任されている。ムキシワボは2022年11月19日、無投票で再選された[5]。
組織
フランコフォニー・サミット(フランス語版)
2年に一度サミット加盟国のいずれかで開催される首脳会談。フランコフォニー国際機関の基本方針が決定される。参加国は2010年時点でオブザーバーを含め75カ国。過去に行われたサミット開催地と開催年は次の通り。
第1回フランス・パリ(1986年)
第2回カナダ・ケベックシティー(1987年)
第3回セネガル・ダカール(1989年)
第4回フランス・パリ(1991年)
第5回モーリシャス・ポートルイス(1993年)
第6回ベナン・コトヌー(1995年)
第7回ベトナム・ハノイ(1997年)
第8回カナダ・モンクトン(1999年)
第9回レバノン・ベイルート(2002年)
第10回ブルキナファソ・ワガドゥグー(2004年)
第11回ルーマニア・ブカレスト(2006年)
第12回カナダ・ケベックシティー(2008年)
第13回スイス・モントルー(2010年)[6][7]
第14回コンゴ民主共和国・キンシャサ(2012年)[8]
第15回セネガル・ダカール(2014年11月)[9]
第16回マダガスカル・アンタナナリボ(2016年11月)
第17回アルメニア・エレバン(2018年10月)
第18回チュニジア・チュニス(2020年)
2010年スイスのサミットでは、首脳らは、開幕式の挨拶の後は、観光に専念した。