フラウンホーファー研究機構
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フラウンホーファー研究機構(: Fraunhofer-Gesellschaft)は、ドイツ全土に75の研究所・研究ユニットを持つ欧州最大の応用研究機関。
概要

傘下の各研究所は科学の様々な応用を研究テーマとしている(マックス・プランク研究所は基礎研究中心である点が異なる)。29,000人以上のスタッフを抱え、年間研究予算総額は28億ユーロ超である。そのうち委託研究による予算は24億ユーロ。その30%弱はドイツ連邦政府および各連邦州から拠出されているが、残り70%以上は企業からの委託や公的財源の研究プロジェクトによる[1]

名称は、科学者であり、技術者であり、起業家でもあったヨゼフ・フォン・フラウンホーファーに由来する。

本部はドイツ・ミュンヘンに置かれている。アメリカ合衆国に6つの研究センターを持ち、アジアに3つの研究センターがある。日本にはフラウンホーファー日本代表部がある[2]ほか、産業技術総合研究所と研究協力を行っている[3]

なお正式名称は Fraunhofer-Gesellschaft zur Forderung der angewandten Forschung e. V(直訳すると「応用研究推進のためのフラウンホーファー協会」)である。

例えば、以下のようなプロジェクトが行われたことがある。

MP3圧縮アルゴリズムはフラウンホーファーIIS(集積回路研究所)で発明され、特許が取得されている。その特許権収入は2005年現在で約1億ユーロであった[4]

世界的な家具販売チェーンであるイケアの店舗で使用するプログラムを開発した。これは、客が自宅の部屋の写真を持ち込むと、それをデジタイズし、家具を配置した時の様子を事前に確認できるもの。

フラウンホーファーモデル

1973年以降、同研究機構は「フラウンホーファーモデル」と呼ばれるものによって継続的な成長を成し遂げてきた。このモデルでは、フラウンホーファー研究機構が産業界や政府の特定プロジェクトとの契約を通して約60%の収入を得る。残り40%は 9:1 の比率で連邦政府と州政府からの予算で賄い、それを予備的研究にあてる。

従って、収入を増やすにはより多くの契約を獲得しなくてはならない。このモデルは協会に適用されるだけでなく、個々の研究所にも適用される。これにより、フラウンホーファー研究機構が応用研究の分野でリーダーになるという戦略的方向性を明確化し、同時に研究の優先順位を柔軟かつ自律的にし、起業家的な取り組みを奨励することにつながっている。
歴史

フラウンホーファー研究機構は1949年3月26日、産業界、学界、バイエルン州政府、ドイツ連邦共和国(当時は西ドイツ)政府の代表者らによってミュンヘンで創設された。

1952年、ドイツ経済技術省はフラウンホーファー研究機構を、ドイツ研究振興協会(DFG)およびマックス・プランク研究所に続く第三の(大学以外の)研究機関として認めた。同研究機構が応用研究中心で運営されていることの是非については、ドイツ国内でも長い間議論されている。1954年、最初の研究施設が完成。1956年までドイツ連邦国防省の協力の下に施設の拡充が行われた。1959年には、9つの研究所を持ち、135人の研究者/技術者を抱え、予算規模は360万ドイツマルクとなっていた。フラウンホーファー研究機構創設50周年の記念切手

1965年には、応用研究のための組織として認識されるようになった。1968年、軍事研究における役割が批判されることになった。1969年には、1,200人以上を抱え、19の研究所を持つようになった。予算規模は3300万ドイツマルク。この年に今後の計画に関する委員会が設立され、後にフラウンホーファーモデルと呼ばれるようになる運営モデルが作られた。このモデルは1973年に連邦政府によって承認された。1977年、政治的な管轄は、防衛大臣と教育研究大臣が共有する形となった。

1984年には、3,500人を抱え、33の研究所を持ち、予算規模は3億6000万ドイツマルクとなった。1988年には防衛関係の研究は全体の約10%にまで低下した。1989年には、6,400人を抱え、37の研究所を持ち、予算規模は7億ドイツマルクになっている。

1991年のドイツ統一にあたって、フラウンホーファー研究機構は旧東ドイツのいくつかの研究機関を統合し、既存の研究所の支所という形にした。1993年には、予算規模が10億ドイツマルクを超えた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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