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フライトシミュレーションとは、航空機などの飛行の操縦訓練、搭乗体験をするために飛行状況を模擬すること。
歴史動揺装置の例
1903年にライト兄弟が有人動力飛行に成功したが、操縦訓練の歴史は飛行機の開発過程で既に始まっていた[1]。ライト兄弟は初飛行までに凧を使いグライダーで1000回以上の飛行の練習を積んでいた[1]。
1910年代には、同乗飛行ののち、小出力機でタクシングの練習、さらに大出力機を使って離陸できるようになるまで地上滑走からジャンプする練習を繰り返すという「ペンギン方式」と呼ばれる訓練方法がとられていた[1]。また、当時の飛行機は飛行中にバランスを維持することが難しかったため、訓練機材を補助者が揺らして不安定な状況を作り、搭乗者が操縦桿で立て直す訓練が行われた[2]。
1914年、第一次世界大戦が始まると飛行機が大量生産されるようになり、多数のパイロットを効率的に養成する必要性が生じたが訓練そのものは従来の「ペンギン方式」のままであった[1]。また、当時のパイロットが第一に要求される能力は、空中写真の撮影や水平爆撃といった任務に必要な機体の針路を維持するスキルだったため、そのための地上シミュレーションが行われていた[2]。リンクトレーナー
1920年代末、アメリカで機械式のリンクトレーナーが計器飛行訓練用に開発された[1]。この装置は訓練装置としては画期的で大勢のパイロットが養成された[1]。
軍用機の運動性が著しく発達した第二次大戦期には、高速飛行中に敵を補足する、瞬間的に状況判断をするといった空中ならではの感覚に順応する訓練が必要となった。アメリカ軍ではリンクトレーナーにヴィジュアル・ディスプレイを導入し、機体制御の訓練とともに、熟練パイロットが機体内から見ている光景を訓練者に見せる、視覚を重視した訓練が行われた[2]。一方、アメリカ海軍が汎用性の高いフライトシミュレータの開発をMITに打診。ジェイ・フォレスターらがWhirlwindコンピュータの開発に取り組んだ。しかし、フライトシミュレータには使われず、SAGEで使われることになった。
1920年代に開発されたリンクトレーナーは機械式から電気式には変わったものの基本原理はそのまま1970年代まで利用された[1]。
第二次世界大戦後、航空機の大型化と民間航空輸送の発達によってフライトシミュレータが不可欠となり、1948年にパンナム航空、1951年に英国海外航空(BOAC)がフライトシミュレータを導入した[1]。しかし、この時期のシミュレータは真空管式のアナログコンピュータを採用したものでモーションビジュアルも搭載されていなかった[1]。
1960年代に入るとデジタルコンピュータが実用化され、FAAやJCABが法整備を行って航空会社から提供された実機のデータが利用できるようになったことから、実機をより忠実に再現したフライトシミュレータが開発できるようになった[1]。モーション装置も3自由度から6自由度に向上した[1]。ビジュアル装置も1970年代初頭にジオラマ模型の映像を利用するものが開発されたのち、1970年代半ばにはコンピュータグラフィックスが利用されるようになった[1]。
模擬機器やPrecision Flight Controlsなどの専門会社から多数のメーカーに対応した汎用品が販売されている[3]。なお日本では滑空機について国土交通大臣が承認した模擬飛行装置、飛行訓練装置は無い。
ヨーロッパの民間航空機の認証を行う合同航空当局ではFlight Simulator(FS)、Flight Training Device (FTD)、Flight and Navigation Procedures Trainer (FNPT)、Other Training Device (OTD)の4種に分類している。
訓練生が座る操縦席の後部に教官席を設け、気象の変更や故障発生をコントロール出来るようにした機器もある。
軍用機では飛行以外にも任務に必要な機器の操作訓練も必要なため、早期警戒機や哨戒機など飛行よりも搭載した機器の操作が重要な機種では、Weapons system trainer(WST)と呼ばれる訓練装置を使用する[4]。F-35は操縦から武装使用など実戦的な訓練も可能なフルミッション・シミュレータ(FMS)を用意し、復座型による訓練を不用としている。
かつては搭乗員の天測航法訓練を行うため、フライトシミュレータとプラネタリウムを組み合わせた『天測航法訓練装置』が存在した。
フライングブーム方式の空中給油ではブームを操作する乗員の訓練が必要となるため、画面上に航空機やブームを表示するシミュレータがある。
航空管制官の訓練に使用する『管制シミュレータ』もあり[5]、テクノブレインのような専門メーカーが存在する。 特定の航空機の操縦室を模し、操縦装置の操作信号を元に機体の反応をコンピュータで計算し、結果を操作パネル表示、視界画像、動揺装置による動き、音響などで出力することで、航空機の動作を高度に再現する装置はフル・フライトシミュレータ(Full Flight Simulator
模擬飛行装置
航空機乗組員の訓練、試験、審査などに使用される装置であり、通常の操縦訓練とともに事故など考えられる事象の対応訓練などに使用される。特定の型式の航空機の操縦室をそのまま使用したものが多く、航空機メーカーが自社の各機体専用に製造している。
現在では航空機の開発段階においても想定される機体の数式モデルを構築し、風洞試験データ等を反映させたFFSをテストパイロットに操縦させて問題を洗い出すことで実際に製作する試作機の調整回数を減らし、開発の効率化に貢献している。
国際民間航空機関では動揺装置などにより第1種(さらに3段階)?第4種の合計で6段階に分けている。厳密には「飛行時間」とは違うものの、多くの国では承認した機種の場合は航空日誌(ログブック)に記録できる欄があり(日本では国土交通大臣が承認)、操縦士資格取得訓練の一部を成している。