フノス[1](またはフノッサ[2]。Hnoss[3]、Hnos[4] など)は、北欧神話に登場する愛の女神フレイヤとその夫オーズの間に生まれた娘である[5]。古ノルド語でその名前は「宝[6]」または「宝石[7]」を意味する。 『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』には、彼女が非常に美しいことから北欧人が美しい人を「フノスのように美しい」と称するという趣旨のことが書かれている[8]。また、人々が美しい物を「フノシル(Hnossir)」と呼んだともいわれている[9]。 『ユングリング家のサガ』第10章によると、姉妹はゲルセミとされている。二人がともに美しかったことから、人々は高価な物をフノスとゲルセミの名に由来して呼んだともいわれている[5]。 フノスはアースガルズに住む神々の中で最も若く、町の中のどの御殿を訪れても、喜んで迎え入れられ、自由に遊びに行くことが出来た[10]。 フノスに関する次のようなケニングの用例がみられる[11]。 ほかに、フレイヤを「フノスの母」と呼ぶ用例がある[12]。
概要
ケニング
詩人エイナルによる、フノス→宝の用例
ヴァンの花嫁(フレイヤ)のしたたかなる娘
ゲヴン(フレイヤ)の娘
詩人エイナルによる、フノス→宝→斧の用例
ホルン(フレイヤ)の黄金にて飾られたるめぐし子
フレイの姪
ニョルズの娘(フレイヤ)の子
脚注[脚注の使い方]^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』など多くにみられる表記。
^ 『北欧神話 (岩波少年文庫)』などにみられる表記。
^ ⇒Northvegr - Heimskringla "Ynglinga Saga" Archived
^ 『北欧の神話伝説(I)』273頁にみられる綴り。
^ a b 『ヘイムスクリングラ - 北欧王朝史 - (一)』52頁。
^ Orchard (1997:87).
^ 『北欧の神話』125頁。
^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』251頁。
^ 『北欧の神話伝説(I)』273頁。
^ 『北欧神話』97-98頁。
^ 『「詩語法」訳注』44-45頁。
^ 『「詩語法」訳注』29頁。
参考文献
スノッリ・ストゥルルソン『ヘイムスクリングラ - 北欧王朝史 -(一)』谷口幸男訳、プレスポート・北欧文化通信社、2008年、ISBN 978-4-938409-02-9
V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-103-13701-6。