フタコブラクダ
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フタコブラクダ
家畜種(Camelus bactrianus) 野生種(Camelus ferus)
保全状況評価[1]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
(Camelus ferusとして[1]
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
:ラクダ科 Camelidae
:ラクダ属 Camelus
:フタコブラクダ
C. bactrianus/Camelus ferus

学名
Camelus bactrianus Linnaeus1758(家畜種)
Camelus ferus Przewalski1878(野生種)
和名
フタコブタクダ
英名
Bactrian camel (家畜種)
Wild Bactrian camel (野生種)
Two humped camel
家畜個体の分布

フタコブラクダ(二瘤駱駝)は、ラクダ科ラクダ属の3種の現生種のうち2種[2][3]。背中の「瘤」が1つのヒトコブラクダに対し瘤が2つあるのが特徴。
学名

ferus は「野生」の意味で、野生個体群を元に、元は野生種に対し名づけられた。それに対しこれまでシノニムと考えられてきた bactrianus は家畜種に対し名づけられた。「バクトリアの」の意で、中央アジアにかつて存在した王国の名である。

bactrianus はリンネの命名で ferus より古く、先取権の原則からは bactrianus が有効名になる。しかし、動物命名法国際審議会 (ICZN) は2003年、この件については先取権の原則を停止し、野生種の学名を C. ferus に固定することを決めた[4][5]

ただし、ICZNは分類自体には関与せず、野生種と家畜型を別種とする説が公的に否定されたわけではない。別種とする立場では、家畜型の種は従来どおり C. bactorianus である。同種とする場合は、家畜型の種も C. ferus となるが、亜種 C. ferus bactorianus を認める説もある。

後に、遺伝的調査や生態の違いから、bactrianus 種(家畜型)と ferus 種(野生型)は別種であるとみなされた[6][7][8][9][10][11][12]。2種のフタコブラクダそれぞれに対応する和名は未確定である。
分布

野生個体は中華人民共和国北西部とモンゴルに分布する。家畜化された個体(推定約140万頭)はより広い地域に分布している。
形態夏の草原のフタコブラクダたち

体長220?350cm。尾長55cm。コブまでの体高190?250cm。体重300?1000kg。

同属のヒトコブラクダと比べると体は頑丈で四肢が短い。野生個体より家畜化された個体の方が大型になる。

和名のとおり背中に2つの脂肪の塊(瘤)がある。




生態幼獣

現在は標高1500?2000mにある半砂漠地帯やステップに生息する。夏季は渓谷、冬季は雪が無く植生がある干上がった川底などで生活する。

1頭のオスと複数頭のメス、その幼獣からなる小規模な家族群を形成して生活する。

食性は植物食で、などを食べる。

ferus 種(野生型)は、海水よりも塩分濃度の高い水を摂取する事が可能な、おそらく唯一の哺乳類とされる[13]

2月に交尾を行う。妊娠期間は約13か月。3月に1回に1頭の幼獣を産む。生後4?5年で性成熟する。

寿命は平均で20年から30年とされる。日本では神奈川県横浜市野毛山動物園にて飼育されていたツガルは、2006年に日本国内最高齢、2011年に世界最高齢となり、2014年5月23日に死亡した時点で推定38歳(人間に換算すると120歳相当)だった[14][15]
人間との関係フタコブラクダの壁画フタコブラクダは約2,000年前に家畜化された。

紀元前2000年頃には既に家畜化されていたとされる。現存する野生個体も一度家畜化された個体が逃げ出し、野生化した個体とする説もある。しかし最近の遺伝子分析の結果、家畜ラクダと野生ラクダは約110万年前に分離されたことが明らかになった。

移動手段、荷物の運搬に利用される他、毛皮、乳、肉、糞(燃料として)が人間に利用される。

野生種は家畜との競合、乱獲、家畜種との交雑による遺伝子汚染などにより生息数が激減している。1997年における野生個体の生息数は909?4,395頭と推定されている。2008年には、1,000頭未満と推測されている。中国の野生個体群は中国国家一級重点保護野生動物に指定されている。
比喩

その形状から統計分析などでは、1ピークタイプのグラフについて「ひとこぶラクダ型」、2ピークタイプのグラフについて「ふたこぶラクダ型」と対比で例えられることがある[16]
出典[脚注の使い方]^ a b Hare, J. 2008. Camelus ferus. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T63543A12689285. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T63543A12689285.en, Downloaded on 04 May 2020.
^ Burger, P.; Silbermayr, K.; Charruau, P.; Lipp, L.; Dulamtseren, E.; Yadmasuren, A.; Walzer, C.. Genetic status of wild camels (Camelus ferus) in Mongolia. in press. 
^ Chuluunbat, B.; Charruau, P.; Silbermayr, K.; Khorloojav, T.; Burger, P. A. (2014). “Genetic diversity and population structure of Mongolian domestic Bactrian camels (Camelus bactrianus)”. Anim Genet 45: 550-558. doi:10.1111/age.12158. PMC 4171754. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}PMID 24749721. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4171754/. 
^ International Commission on Zoological Nomenclature (2003), “Opinion 2027 (Case 3010). Usage of 17 specific names based on wild species which are pre-dated by or contemporary with those based on domestic animals (Lepidoptera, Osteichthyes, Mammalia): conserved”, Bulletin of Zoological Nomenclature 60: 81–84. 


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