フォード・フェスティバ(Ford Festiva)はマツダと起亜自動車が生産し、フォードの販売網で日本や米国などで発売されたサブコンパクトカー(バジェットカー)である。 フォード・フェスティバ(初代) マツダが開発して当時のオートラマ(現フォード店)で販売されていた車種。3ドアハッチバックでブリスターフェンダーがデザイン上の特徴である。直列4気筒SOHCの1,100 ccと1,300 ccが用意された。また、商用車仕様として室内後部を荷室優先の造りとしたフェスティバ・カーゴ(CARGO)も存在した。 エンジンは後にファミリアや、排気量を上げ縦置きとなってユーノス・ロードスターにも採用される事になるB型エンジンで、これは新規開発されたものだった。トランスミッションは、1,100 ccは4速マニュアルのみ、1,300 ccは5速マニュアルと3速ATが用意されていた。ダッシュボード内にクーラーボックスを備え、リアシートのスライド機能やリクライニング機能、全席フルフラットにもなる多彩なシートアレンジメントが可能であった。これらの特色は、発展型となるマツダ・デミオにも引き継がれる事になる。 現在の軽自動車と同等の全長とホイールベースによる取り回しの良さとその使い勝手やキャンバストップと呼ばれるオープンカー気分が味わえるサンルーフと、ヨーロピアンテイストのスタイルが女性ユーザーに人気を集め、日本フォードブランドで最大のヒット車種となった。当時の様子は映画ウホッホ探検隊
歴史
初代 DA3PF/DA3PE/DA1PF/DAJPF型 (1986年 - 1993年)
DA3PF/DA3PE/DA1PF/DAJPF型[1]
日本国内向け 1.3 SX
北米向け GL
概要
別名キア・プライド
マツダ・121
製造国 日本
※ 3ドアハッチバックのみ
韓国
販売期間1986年2月 - 1993年1月
ボディ
乗車定員5人
ボディタイプ3ドア/5ドアハッチバック
4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
駆動方式FF
プラットフォームマツダ・DAプラットフォーム
パワートレイン
エンジンB3型 1.3L 直4 SOHC
64ps 10.4kg・m
B1型 1.1L 直4 SOHC
52ps 8.8kg・m
変速機4速MT/5速MT/3速AT
車両寸法
ホイールベース2295mm
全長3475mm
全幅1605mm
全高1460mm
車両重量700 - 780kg
その他
生産台数18万8229台[1]
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代表格のキャンバストップの他に、車内からスイッチでコントロール出来る減衰力可変式ショックアブソーバーを備えたスポーティーグレード「S」や、各国フォード共通の最高級グレードである「GHIA」、中間グレードとも言える「GL」、廉価グレードの「L」という展開で発売された。尚、キャンバストップは「CANVAS TOP」グレードのみで、他グレードはクローズドボディである。(グレードによりスライディングルーフがオプションとして選べた)
その後のマイナーチェンジで、キャブレター車のオートチョーク化に伴いチョークノブの廃止、メーター周りの文字色(橙色→白色)と照明色(橙色→緑色)の変更がなされ、ラグジュアリーグレード「GHIA」のシートが本革となる。1986年12月[2]には新たにファミリア用1.6 L(B6型)エンジンをショートストローク化した、1.3 L 88 psのBJ型 DOHCエンジンを搭載した「GT」と「GT-X」が追加。当初GT・GTX共にクローズドボディのみだったが、後にフェスティバDC(DOHC-CANVAS TOP)が発売され、CMソングに浜田麻里のFOREVERが起用された。
またモデル末期には「GT-X」をベースに、ドイツのスカラ社がデザインした、往年のアバルトやアルファロメオの雰囲気にも通ずる、ロッソコルサ(イタリアのレーシングカーのナショナルカラーである、鮮やかな赤)の外板色に、丸型ヘッドライトのフロントフェイスを持つ「GT-A」が、300台限定で発売されている。実際のレーシングカーの識別色よろしく鼻先のみ白に塗り分けられていたが、派手な外観を好まない向きも考慮し識別色なし赤一色のモデルも用意された。外板や前後バンパーの変更により重量がわずかに増加しており、それに伴う排出ガス規制の重量ランクの変更による再申請を不要とするため、メーカー出荷時にエアコンは装着されておらず、ディーラー取り付けとされた。「GT-A」の企画は、無類のエンスージアストとしても知られ、当時オートラマに在籍していた中島秀之が手がけた。
1992年12月[3]、生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
1993年1月、2代目と入れ替わる形で販売終了。
GT-X
1.3 SX
キャンバストップ
GT-A
キア・プライド(第1世代)「キア・プライド」も参照
韓国の起亜自動車ではキア・プライドという名称で生産・販売されていた。ボディタイプは3ドアハッチバックの他、5ドアハッチバック、4ドアセダン(プライド・ベータ)、4ドアセダンをベースとしたステーションワゴンがラインアップされた。
このモデルについては起亜ブランドでの輸出と並行し、北米、台湾、オーストラリアなどを始めとして、世界各地のフォードディーラー向けの生産や他自動車メーカーでの生産に関する技術供与を起亜が主導で行った。
モデル末期には日本市場においても起亜製5ドアハッチバックと4ドアセダンが相次いで輸入され、それぞれフォードブランドでフェスティバ5、フェスティバβとしてオートラマから発売された。なお、両者ともに左ハンドル仕様で販売されており、国内販売は低迷した。
海外生産が行われた拠点の内、イランの自動車メーカー・サーイパーではハッチバックやセダンの他、技術移転元の韓国同様多彩なバリエーションに加え、韓国でも設定の無かったピックアップトラックが用意され、2015年(平成27年)現在でも外観のマイナーチェンジを受けながら、この型の生産・販売が続いている。
なお、第2世代のプライドに関してはキア・リオを参照のこと。
フェスティバβ
(起亜製)
フェスティバβ
(起亜製)
姉妹車のキア・プライド(3ドア)
姉妹車のキア・プライド(5ドア)
姉妹車のキア・プライド(ワゴン)
サーイパー・プライド GLXi
サーイパー・111
サーイパー・151
マツダ・121(第二世代)「en:Mazda 121」も参照
ヨーロッパ及びオセアニア地域に向けては、マツダ・121としてマツダディーラーから発売された(なお、第一世代の121はマツダ・コスモ(2代目))。