フォード・ファルコン_(オーストラリア)
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フォード・ファルコン (オーストラリア)

フォード・ファルコン (Ford Falcon) は、フォード・オーストラリアが生産・販売していた自動車である。

なお、フォード・ファルコンの名称は他にも下記の2つの車両にも用いられている。

ファルコン (北米)(英語版) はフォード・モーターによって1960年から1970年にかけて生産されたモデルで、オーストラリアのファルコンのベースになったモデルである。

ファルコン (アルゼンチン)(英語版) はフォード・アルゼンチン(英語版)によって1962年から1991年にかけて生産されたモデル。アメリカのモデルをベースとしている。

概要

1950年代フォード・オーストラリアは、イギリス・フォードと同じゼファー、コンサル、ゾディアックなどを現地生産しており、これらのモデルは概ね好評であったが、輸入部品による高い関税が影響して車両価格面でライバルであるホールデン車の人気におされ、売り上げが悪化していた。そのためフォード・オーストラリアは、ホールデン車に対抗できる現地生産車を立ち上げることを決定した。

当初イギリス・フォードから高額の型鋳造を購入してゼファーの組み立てが検討されていたが、1958年にデトロイトのフォード本社を訪れた幹部らは、北米デビューが準備されていた北米におけるファルコンをみて、ライバルのホールデン車(FBシリーズ)とほぼ同じサイズでありながら、より低く、ワイドでモダンであり、ワイドボディーはベンチシート6人乗りが可能で、さらに2速オートマチックも用意されており、即座にこれは新しいプロジェクトに最適なモデルだと判断され、このファルコンが新たなオーストラリア車として生産されることが決定された。

1959年フォード・オーストラリアは、メルボルン北部のブロードメドウズにファルコンを製造するための新工場を建設。カナダで設計された工場の屋根は、雪が溜まらない様な形状をしていたが、メルボルンでの降雪は希である。

こうして誕生したオーストラリア製のファルコンは、1960 - 70年にかけては米国フォードのファルコンを右ハンドル化し、オーストラリアの過酷な道路に対応できるように改良したものを生産していたが、本家ファルコンの生産が終了したあと、1972年のXAモデルから開発・設計とも完全にオーストラリア独自になった。

その結果ファルコンはロングセラー車となり、そのほとんどがオーストラリアニュージーランドという小さな市場だけで、累計300万台以上を売り上げている。またオーストラリアの乗用車売り上げチャートで何度もトップの座を獲得しており、同国のライバルであるホールデン・コモドアと並ぶ人気車種である。ただし上記の通りオセアニア以外には大々的な輸出が行なわれていない。

2010年6月28日朝、ファルコン誕生50周年とフォード・オーストラリアの創業85周年を記念した祝典がブロードメドウズ工場で行なわれ、従業員達の初代XKモデルから最新型まで新旧200台以上のファルコンが生産ライン裏の駐車場に集結。さらに工場内では約1時間操業を停止し、歴代モデルを生産ラインに並べるなどの式典が開催された。フォード・オーストラリアは、この50年間でマイナーチェンジを含め約27モデル、約350万台のファルコンを生産した。

2013年5月23日、フォード・オーストラリアは2016年10月をもって56年の歴史を持つファルコンを廃止すると共に、ブロードメドウズ工場を閉鎖すると発表した。フォードはブロードメドウズ工場の生産コストは同社のアジア工場に比べて約4倍、ヨーロッパの工場と比べても2倍のコストが掛かっていることに加え、ファルコンをはじめとする大型セダンの売り上げが大幅に落ちていることを理由に91年間続くオーストラリアでの自動車生産に幕を閉じることを決定した。

2016年10月7日、最後のファルコンが生産ラインを離れ、ブロードメドウズ工場が閉鎖された。なおファルコンのモデルネームは世界中の数あるフォード車のモデル名の中で、最も長く続いているものであったが、56年の歴史に幕を閉じた。



歴史
初代(1960年-1966年)
XKファルコン

フォード・XKファルコン
XKファルコン セダン
ボディ
ボディタイプ4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
2ドアユート
2ドアパネルバン
駆動方式FR
パワートレイン
エンジン直6 2.3L(144ci) OHV
変速機3MT/2AT
車両寸法
ホイールベース2,781mm
全長4,602mm
全幅1,778mm
全高1,384mm
車両重量1,105kg
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1960年9月登場。当初は4ドアセダンのみで、「ファルコン」と「ファルコン・デラックス」2つのトリムグレード展開。基本的に北米のファルコンを右ハンドル化しただけのものだったが、田舎のディーラーでは悪路に対応するために、強化リアサスペンションやより大きな6.50 x 13インチタイヤへの改良が頻繁に行なわれていた。

1960年11月、ステーションワゴンを追加。

1961年5月、Utilityとパネルバンが追加されボディ・ラインナップを拡大。正式名称はそれぞれ「Falcon Utility」と「Falcon Sedan Delivery」であった。

ファルコンの売り上げは好調で、オーストラリアにおいて初めてホールデン車を脅かす存在が現れたとされた。
XL

フォード・XLファルコン
XLファルコン デラックス・セダン
ボディ
ボディタイプ4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
2ドアユート
2ドアパネルバン
駆動方式FR
パワートレイン
エンジン直6 2.3L(144ci) OHV
変速機3MT/2AT
車両寸法
ホイールベース2,781mm
全長4,602mm
全幅1,778mm
全高1,384mm
車両重量1,106kg
テンプレートを表示

一部を豪州独自に改良したXLモデルは1962年初頭に登場。フェアレーンの強化サスペンションシステムを流用。

その他、シリーズのトップモデルとして「Falcon Futura Sedan」と「Falcon Squire Station Wagon」が追加され、ステーションワゴンは、ボディーサイドとテールゲートに木目調のデコレーションが付いていた。
XM

フォード・XMファルコン
XMファルコン セダン
ボディ
ボディタイプ4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
3ドアハードトップ
2ドアユート
2ドアパネルバン
駆動方式FR
パワートレイン
エンジン直6 2.3L(144ci) OHV
直6 2.8L(170ci) OHV
直6 3.3L(200ci) OHV
変速機3MT/2AT
車両寸法
ホイールベース2,781mm
全長4,651mm
全幅1,793mm
全高1,394mm
車両重量1,106kg
テンプレートを表示

初のオーストラリア・デザインのボディで1964年に登場。テールライトはオーストラリアの環境に合わせて位置が高くされ、フロントはクロームグリルで覆われたマスクを採用。ステアリング・リンケージが強化され、タイロッドは北米モデルの1/2インチから9/16インチへとアップグレードされた。

サスペンションも同時に改良が施された。2ドアハードトップボディーも追加され「Falcon Deluxe」と「Falcon Futura」のグレードが用意された。
XP

フォード・XPファルコン
XPファルコン セダン
ボディ
ボディタイプ4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
2ドアハードトップ
2ドアユート
2ドアパネルバン
駆動方式FR
パワートレイン
エンジン直6 2.3L(144ci) OHV
直6 2.8L(170ci) OHV
直6 3.3L(200ci) OHV
変速機3MT/2AT/3AT
車両寸法
ホイールベース2,781mm
全長4,658mm
全幅1,793mm
全高1,420mm
車両重量1,175kg
テンプレートを表示

このXPから、上級グレードにあたるフェアモントが登場。このXPモデルの成功がフォード・オーストラリアの将来を支える重要なモデルとされ、You-Yangsテストグラウンドで、70mph (110km/h) 以上で110,000kmを走るという冒険的なデモンストレーションが行なわれ、これが成功すると同時に名声のあるオーストラリア売り上げNo.1の月刊自動車誌「Wheels」のWheels Car of the Yearに輝く。

2速のオートマチックは3速へと進化、フロント・ディスクブレーキがオプション設定される(フェアモントとハードトップモデルには標準装備)。北米モデルの流れを汲むステーションワゴンのSquireレンジはこのモデルが最後となり、「Futura Sedan」と「Squire Wagon」は新たに登場したフェアモントに移行する[1]

このXPレンジには、Bill Warnerによる260ci/289ciのV8エンジンが3速オートマチックまたは4速マニュアルと組み合わせて搭載されたモデルも存在した。これらは後述する次世代モデルのGT Falconの先行車となる。
ラリー競技

1964年のハンディキャップ制度における小排気量車優勢となっていたラリー・モンテカルロでボー・リュングフェルトのドライブにより大排気量を活かし全SSタイム上トップタイムをマークしていたが、この重いハンデ制により総合成績は2位に留まる[2]
2代目(1966年-1972年)
XR

フォード・XRファルコン
XRファルコン セダン GT
ボディ
ボディタイプ4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
2ドアユート
2ドアパネルバン
駆動方式FR
パワートレイン
エンジン直6 2.8L(170ci) OHV


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