ポロ(Polo)は、フォルクスワーゲンが製造・販売する小型乗用車(コンパクトカー)である。 フォルクスワーゲンの主力モデルであるゴルフと同様に、横置きエンジンによる前輪駆動という伝統的な構成のコンパクトカーで、日本においては年間販売台数が常に1万台を超える中核モデルである。購入者の60%が女性であり、これは日本でのフォルクスワーゲン全体において女性ユーザーが占める割合を大きく超える。モデルチェンジの度にボディサイズを拡大してきたゴルフに対し、ポロのサイズは5代目までは2代目ゴルフ程度と、かつてゴルフが担っていた基本的なコンパクトカーの役割を果たしており、このクラスのベンチマーク的存在となっている。ただし、6代目モデルは次世代プラットフォームであるMQBを採用し、全幅が1,750 mmの3ナンバーサイズに拡大された。 主なボディ形状はハッチバックだが、7代目を除いて3ボックスのセダンも存在し、エステート(ワゴン)やクーペが設定されていた時期もある。しかし、歴代モデルとも日本に導入されたのは一部のボディタイプのみである。現在、セダンはロシア、中国、ラテンアメリカ、南アフリカ共和国(南アフリカ)およびその他アフリカ地域にて販売されている。 歴代を通してスポーツモデルが存在し、3代目からはGTIの名を冠したホットハッチ「ポロGTI」が、そして2005年にはクロスオーバーSUVタイプの「クロスポロ」が登場している。 日本へは3代目モデルからフォルクスワーゲン グループ ジャパンによる本格的な輸入が開始されているが、2代目のポロクーペCLとポロダービィ(日本名:ポロクラシックCL)がヤナセにより限定輸入・販売されていた。北米市場では販売されておらず、地域によってはフォックスという下位モデルが存在する。 馬に乗りながらボールを操る馬術競技のポロから取られた。同時に、13世紀から14世紀のイタリア人旅行家で、「東方見聞録」を記したマルコ・ポーロにも因んでいる[1]。 フォルクスワーゲン車の名称はゴルフやジェッタをはじめとして風に由来するものが多い(ヴェント、ボーラ、シロッコ、パサートなど)が、ポロは風の名とは関係がない。 フォルクスワーゲン・ポロ(初代) フォルクスワーゲン・ポロ(2代目)
概要
車名の由来
初代 86型(1975年 - 1981年)
86型
前期型
中期型
概要
販売期間1975年 - 1981年
ボディ
乗車定員5人
ボディタイプ3ドアハッチバック
2ドアセダン(ダービィ)
駆動方式前輪駆動
パワートレイン
エンジン1,300 cc / 1,100 cc / 900 cc 直列4気筒
変速機4速MT
サスペンション
前マクファーソンストラットコイル
後セミトレーリングアームコイル
車両寸法
ホイールベース2,335 mm
全長3,512 mm
全幅1,559 mm
全高1,344 mm
車両重量685 kg
その他
ブレーキ4輪ドラム
最高速度135 km/h(900 cc 5速MT)
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1975年3月 - ラインナップの根本的な見直しを図っていたVWのボトムレンジとして登場。ビートルの実質的後継車として、また、南ヨーロッパにおけるVWの勢力拡大戦略車として意図された。設計は前年に発表されたアウディ50をベースとしており、両車の外観上の違いはエンブレム程度だが、1.1 Lのエンジンを持つアウディ50に対し、900 ccのポロは下位に位置付けられていた。デビュー当時はこの900 cc(40 PS)エンジンを搭載した3ドアハッチバックのみで、グレードは標準仕様と装備の充実したLの2つ。最高速度は135 km/h(アウディ50は145 km/h)。サスペンション形式は、フロントがストラット、リアがトーションビームアクスル。アウディ50とは異なり、ブレーキは前後ともドラムブレーキで、フロントディスクブレーキはメーカーオプションだった。
1976年 - 1.1 L(50 PS)エンジンが追加。
1977年 - ダービィと呼ばれるセダンタイプが加えられ、このダービィには1.3 L(60 PS)もラインナップされた。
1979年 - ポロにも1.3 L(60 PS)エンジンが追加され、ポロGTと呼ばれるホットモデルが加わった。外観的にはバンパーの樹脂化、ヘッドランプの角形化、フロントグリルのデザイン変更が行われている。
1980年 - LとGLに895 cc(最高速度:135 km/h)、SとLS、GLSに1.0 L (1,093 cc)(最高速度:142 km/h)、LSとGLS、GTに1.3 L (1,272 cc)(最高速度:154 km/h)のエンジンをそれぞれ搭載。前期型、後期型あわせて500,000台が生産された。
搭載エンジン
895 cc 直列4気筒 ガソリン 40 PS 4MT(ハッチバック専用)
1,093 cc 直列4気筒 ガソリン 50 PS 4MT
1,272 cc 直列4気筒 ガソリン 60 PS 4MT
後期型(フロント)
後期型(リア)
2代目 86C型(1981年 - 1994年)
86C型
3ドアクーペ GT(前期型)
概要
販売期間1981年 - 1994年
ボディ
乗車定員5人
ボディタイプ3ドアハッチバック
2ドアセダン
3ドアクーペ
駆動方式前輪駆動
パワートレイン
エンジン直列4気筒 1,300 cc / 1,000 cc
直列4気筒ディーゼル1,300 cc
変速機5速 / 4速 MT
サスペンション
前マクファーソンストラットコイル
後トーションビーム付トレーリングアームコイル
車両寸法
ホイールベース2,335 mm
全長3,725 mm
全幅1,570 mm
全高1,350 mm
車両重量780 kg
その他
ブレーキ前: ベンチレーテッドディスク
後: ドラム
データモデル3ドアクーペ CL 5速 MT(後期型)
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1981年1月 - フランクフルトショーにて発表された2代目は同年8月にデビュー。この時デビューしたのはポロハッチバックと呼ばれるモデルで、独特な垂直のテールゲート形状により1,000 L近い大きなラゲッジスペースを持ち、C/CL/GL/FOXなどのグレードが存在した。当初搭載されたエンジンは1.0 L (1,043 cc)(40 PS)、1.1 L (1,100 cc)(50 PS)、1.3 L (1,300 cc)(60 PS)の3種類で、1.0 Lのエンジンは従来の900 ccエンジンを拡大したものである。このエンジンは燃焼室に手が加えられ、扱いやすいトルク特性へと改良された。
1982年 - 1.3 L(75 PS)エンジンが搭載され、ポロクーペと名付けられたオーソドックスなハッチバックスタイルを採るモデルが追加され、日本にもCLモデルがヤナセにより少数限定輸入された(167.0万円)。この時ハッチバックには1.3 L(55 PS)エンジンも加えられた。
1984年 - ダービィがポロクラシックの名で限定輸入された。
1986年 - クーペに「Gラーダ」と呼ばれるスーパーチャージャーを搭載し、エンジン出力を115 PSに上げたGT G40が登場。これはVW初の過給機付モデルで、当時はまだ一般化していなかったスクロールコンプレッサーを採用しており、最高速度は200 km/h近くに達した。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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